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風見鶏はどこへ行く??

子どもと話していると、時々これ以上どう簡単に説明したらいいんだろうと迷うことがあります(笑)。

大人にとって簡単なものほど、説明に困る。

説明しているつもりが、ただ似たような言葉に変えただけで、難しさは変わっていないのでは?と自分で思うことも・・・。

それでも子供から聞かれる素朴な疑問にはかならず答えるようにしていて、私の知識・語彙の範囲で、今、分かる分からないはあまり気にせずに、とにかく答える。


それが最近、ちょっと変わって来たなぁと嬉しく感じることが。

例えば、

早朝、風が強く吹いていたので庭のパラソルを片づけてありました。
すると、起きてきた子どもはそういう変化には敏感です。
小3の娘がすかさず「なんでパラソルしまってあるの?」と不満げ。
そこで先日読んでいた本を思い出し、
「風が強いからね。そのままにしていたら、『メアリーポピンズ』さんみたいになっちゃうよ」と言うと、
ああなるほど、という感じで笑うのです。
ああ伝わった、と私も笑う。

それから、先日小学校に用事があり子供二人連れて行ったその夜のお風呂の中で、まだ園児の息子が、「学校の、あの鳥には乗れるの?」と聞いてきました。

鳥?ニワトリは飼っていないはずだし、風見鶏の事かな、
そんなのあったっけ・・・?

あの時の私と言えば、あまりの空の青さに圧倒され、巨大な入道雲、そしてそのカラッと晴れ渡る青空を背景にまるで校舎が浮かび上がって見え、目の前に広がる光景が現実なのか分からなくなるほどで、じりじりと照り付ける日差しの暑さもひととき忘れてしばらく眺めていた。
時計のついた校舎の三角屋根の上に風見鶏があったかなんて覚えていない。

それにそもそも鳥に乗れるかな・・・とも思ったけれど、それは置いておき、娘に確認すると風見鶏は確かにあるとのことだったので、ジェスチャーを交え、
「ああ、あれはね、横から見ると鳥に見えるけれど、縦にこうして見るとペラペラで『スイミー』と一緒だよ。だから乗れないんだよ」と言うと
「ああ!」 合点いったよ!と言った感じで目を輝かせました。そして嬉々としてまた色んなおしゃべりが始まる。

家ではまだ『スイミー』を読んだことが無いので分かるかな?と思いながら言ったのですが、先生に読んでもらったとのこと。
園では流行り病が始まってから家庭への絵本の貸し出しがないので、園でどんな絵本を読んでもらっているかは知りませんでした。なので、そんなことも同時に知ることが出来て私も嬉しかった。

そして鳥に乗って冒険♪ なんて本もあったよね、借りてみようかなと広がる。

絵本や本てこういう可能性があるんだなぁって。

普通に説明している時よりも、何だか楽しい。

子どもがまだ赤ちゃんの頃「ベビーサイン」を習って、意思疎通していた時と同じような嬉しさ。

大人と共通の言語、というと大げさかもしれませんが、
大人と子供の世界を簡単に楽しく繋ぐ役割にもなるんだなぁと感じました。


□□□

夏休み前の話ですが、小3の娘が学校から帰ってきて
「先生が(国語の教科書)『前は”ちいちゃんのかげおくり”が載ってた』って言ってたよ」と言いました。
私はその時、まぁ教科書は毎年かどうか分からないけれど改編があるだろうから、他の物語に変わったんだなぁと思いました。
でも娘が気になっている様子だったので、すぐに図書館で借りました。

先日おひたちさんの記事を読んでちょっと気になって娘の教科書を見てみたら、
他のものに変わったのではなくて、戦争自体の物語が無くなっていました。

ただ1学期の教科書に「3年生の本だな」というページがあって、30冊程紹介されているその中にあった「ちいちゃんのかげおくり」のことを先生が一言「お父さん、お母さんは知っているかもしれない」と、取り上げてくれたそうです。

私が子どもの頃は広島・長崎からは遠く離れていますが、
もちろん教科書には載っているし、国語だけではなく道徳の授業などでもしっかりと取り上げ、また図書室に行けば「はだしのゲン」があり、男子がわざと残酷なページを見せてきたり、実際の生々しい写真を載せた本もあり、今でも脳裏に焼き付いています。
夏休み前には学校で「火垂るの墓」の映画を鑑賞したり、とにかく「もう見たくない!」って思うほど、学んで、心に刻まれてきたと思います。

私はもうその恐怖を知っているから、もう見たくない。
だけど、その恐怖を知らないことが一番怖いことだなって思いました。

授業数が少なくなって、大事なものが沢山あるのは分かるのですが、一番大事なものが抜け落ちてしまったのではないかと感じました。


先生の一言に感謝しています。


おひたちさんのコメント欄にも書いたのですが、
少し書ききれなかったので、記事に書くことにしました。


この本、とってもオススメです♪
この中に「ちいちゃんのかげおくり」も入っているし、1年生から6年生まで、みなさんがいつかきっと読んだことのある物語がたくさん、収められていますよ。

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