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関西少女に罵られたら人生が開いたお話(1)

思春期。


人一倍異性に興味がある癖に、上手く接することができないお年頃。

これは、ある思春期ど真ん中男子高校生が、
関西少女と出会ったことで人生が動き出した、そんなノンフィクション。


私は中国地方の片田舎に生まれ、小学校・中学校と
同じコミュニティの中で育ってきた。

都会では「小学校→中学校」で生徒数が急激に増える、
学区を超えた進学で小学校の友達とは疎遠になってしまった、
等もあるようだが、

私の地域は「小学校」時代のメンバーそのままに、
他の学区からやってきた数十人を足しただけ、と言う構図だったので
ほとんどメンツが変わらなかった。

故に、いくら思春期の入り口に立った中学生とは言え、
鼻水を垂らしに垂らしていた時代を知っている女子とは
まだ会話程度は成立していたのだ。


問題は高校から。


私が進学した高校は県内でも屈指のマンモス進学校であり、
県内中から生徒が集まることもあり、田舎の割に生徒数が多い。

中学「1学年3クラス120名」→
高校「1学年8クラス320名」と大幅増。

また、同じ中学校から入った生徒は約20名足らず。
同じ学年だけでも男女合わせて300人とは「はじめまして」となった。


入学式を終え、自分のクラスに案内された日をよく覚えてる。

40名のうち、同じ中学の同級生は1人だけ、39人はじめまして。


完全にアウェー。
(誰一人ホームの人間などいるはずも無いのだが。)

同じコミュニティでしか育ってこなかったツケを
全身に浴びながらホームルームは進む。

しかしながら、ホームルームが終わった頃になると
周囲を見渡せる余裕が生まれ、あることに気付いた。


女子がめっちゃ可愛い。

めっちゃ可愛い。

田舎とは言え、各学区から集まった精鋭。
美人系から可愛い系まで手広く揃っている。

人は「目新しさ」に惹かれる生き物。

すまない中学時代の女性達よ。

そんな「目新しい可愛さ」に加え、
男子とすらコミュニティを1から築く必要のある私は
NEW女子ズに対して、コミュ障を爆発することになる。

それは同じクラスの男子(愛すべき童貞)も同じだったようで、
夏休みに入ろうか、という時期になっても
一部を除き「男子」「女子」の間に高い壁が築かれたままだった。


そんな状況下で生活していたので、
女子に対する免疫は落ちる一方であり、


挨拶されただけで好意を抱き、
1日の終わりに「女子から話しかけられた内容」を
脳内再生するような悲しき男子高校生となっていた。

そんなモヤモヤ(ムラムラ)した青春?を謳歌していた私に
転機が訪れる。


私にとっての恩人、タクヤ(♂)との出会いだ。


タクヤとは同じクラスだったのだが、
初めから周囲とは少し違った。

整った顔立ちをしており、髪型は全男子学生の登竜門、
「ヘアアイロンでストレート」マン。

(私も後にヘアアイロンでストレートマンとなったのだが、
後遺症により毛根が減っていく呪いを授かった)

周囲に流されないオーラ、というより「自分」を持っている男であり、
「違う」と思ったことは、空気に流されることの無いナイスガイ。


そのタクヤの個性が一番光るのは「英語」の授業だ。


私自身は英語の授業が苦手だった。

先生に当てられた時、受験以外で使わない言語を(当時はそう思っていた)
クラスの皆が聞き耳立てている中で、話し切る必要がある。

好きなあの子も聞いている(聞いていない)

間違った発音をした時の「...w...ww..」に耐えながら、一行一行読み進めていく。あがり症だったこともあり、一番苦手な科目だった。


私を含め皆が、「アイ はぶ・・・ ビーン とぅ・・」という日本語発音で
読み進めていたのに対し、

タクヤは「I have been to..」と、いわゆる英語発音で
恥ずかし気もなく読み上げるのである。


最初は「驚き」、2回目〜4回目は「嘲笑」と
タクヤが朗読する度に反応していたクラス(主に男子)だったが、
5回目以降は「いつものこと」として受け入れられていった。


そんなどこか異質なオーラを放つタクヤが好きで、
休み時間等も話し掛け続けていたこともあり、
日頃からよく話す友人となっていたある日のこと。


「期末テスト、英語の点数で俺が勝ったら、夏休み京都に行くぞ。」


体育の授業中、熱波を避け木陰で休んでいた私に
オッズが成り立たないギャンブルを持ち掛ける策士。


私「京都で何するの?」

タクヤ「テストが終わってからのお楽しみ」


不毛なやり取りを重ね、嫌々承諾したギャンブルの結果、
ダブルスコア近い点数差で見事に私は敗北した。

分かってたけど。

観念した私にタクヤは京都旅行の目的を告げる。


「3泊4日、京都で外国人との異文化交流キャンプに参加するぞ」



<続く(まだ関西にも着いてない)>







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