思考実験~ブランド戦略、価格戦略

高級ブランドのM&Aによる統合化が進みそうですね。
「LVMHがティファニーを約1兆7千億円で買収へ、海外メディアが報道」

1兆7千億。生活者としてはとほうもない金額ですが、この案件を社内で提案した人がいて、ファイナンス計画たてた人がいて、相手方に最初に伝えた人がいて、それでジャッジする人がいるというあたりの会議もあったんでしょう。ワオ。

一方でこんなニュースも。
「ルイ・ヴィトンが最大90%の社員割引を縮小、税務当局を警戒-関係者」

で、最後にこんな記載がありました。
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社員販売はこれまで在庫の一掃に役立っており、今回の制度の縮小で、店舗では一切割引販売を行わない同ブランドの方針が難しくなる可能性がある。
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これは価格戦略を考えるにいい題材ですね。まず前提として押さえたいのは、「社員割引を縮小すると、店舗では一切割引販売を行わない同ブランドの方針が難しくなるとはどういうことか?」この因果関係はきちんと押さえておきたいところです。

社員割引を縮小する

社員向けに売れる「数量」が減少する。

廃棄する「数量」が増える。

廃棄にかかるコストがあがる

コストを解消するために手を打つ=値引き販売?

ということでしょうか。若干の飛び石感と、ほかの選択肢も考えられるのでいい思考実験ですね。例えばヴィトンがブランドの維持・向上をするためには、同じ価格で販売数量を増やす(売れ残りを減らして廃棄コストの上昇を抑える)工夫が必要になるでしょう。そうするとスタッフの教育なのか採用なのかプロモーション費用なのかも増加しそう。いずれにしろコスト高になるので生産性向上という名のコストカットもすすむかな?そうでなければ、ブランド方針を変更(高級路線→以前より安く買える路線)するかも、というあたりがニュースにある書き方なんだと思います。

ブランド方針を維持するにも変えるにも、今のファンのどういう層が離反して、新たに獲得できるファンはどういう人たちなのか。その獲得した人たちに対する自社ブランドの優位性はなんなのか。歴史なのか価格なのか。経済的価値なのか社会的価値なのか。そもそも、いったい誰に対して価値を届けたいのか。自社はどうなのか。いろいろ考えることができそうです。

最後に、関連して少し古いニュースも。環境への取り組みがブランドの脅威にもなるし、チャンスにもなる。ブランドはいちど作られたらほったらかしとはなりません。ずっとアップデートしないといけないんですね。

「バーバリーに新品大量廃棄を断念させた消費者の怒り
ブランド価値維持を狙う大量廃棄の業界慣習はもはや通用せず」


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