ゾンビ論文の総括(2023年5月)
2023年5月にGoogleスカラーのアラートに次の3つの検索条件を設定して、ゾンビ論文の収集を行った。
「zombie -firm -philosophical -DDos」(経済学・哲学・情報科学のゾンビ論文避け)
「zombie」(取りこぼしがないか確認する目的)
「zombie -firm -philosophical -DDos -company」(-companyの効果を図るため)
「zombie -firm -philosophical -DDos」の検索条件に引っかかったゾンビ論文は42本だった。うち、私の目的に合致した論文は以下の一件のみであった。
ゾンビ・アポカリプスはなぜ女性にとってとても恐ろしいのか?世界の終わりにおけるジェンダー、軍国主義、存在論的不安
(政治学)
また、5月は次の三点の検証を行っていた。
①検索キーワードに「-DDoS」を追加し、情報科学のゾンビ論文を減らす
②検索キーワード「-company」の差分を確認して、このキーワードに経済学のゾンビ論文を減らす効果があるか
③医学のゾンビ論文を排除するためのキーワードを見つける
①は、想定通り情報科学のゾンビ論文を減らすことが出来た。
②は、「-company」には経済学のゾンビ論文を減らす効果が薄いことを確認した。
③には、“viability”という単語を見つけた。
また、6月の検索条件を次の2つに設定する。
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」(経済・哲学・情報科学・キシラジンに関する・医学・ジェンダー系のゾンビ論文避け)
「zombie」(取りこぼし確認)
条件が絞られ、かなり煮詰まってきたように思う。手軽に本物のゾンビ論文を手に入れるようになるまで後もう少し。そんな気がする。
以下、調査の詳細を記載する。
集計結果
まず、集計結果を示す。
最も多かったのは情報科学の六件。そして社会学の五件、教育学の四件、文学の三件が続く。
情報科学のゾンビ論文は「-DDoS」で排除していたはずなのだが、「-DDoS」で排除できるゾンビは"zombie bot"のみで、別の種類のゾンビを排除することはできない。たとえば、"smartphone zombie"や"zombie entry"に、"zombie packet"などは「-DDoS」をすり抜けてしまう。あるいは、何かゾンビの出てくるゲームを扱う論文でも情報科学に分類しているため、そういったものは中々排除できない。
とはいえ、13日で42件、そのうちの六件だ。気にするほど多いということはない。これ以上条件を足して情報科学のゾンビ論文の排除にいそしむこともないだろう。
社会学と教育学についても同様だ。
5月の検証結果
5月は次の三点の検証を行っていた。
①検索キーワードに「-DDoS」を追加し、情報科学のゾンビ論文を減らす
②検索キーワード「-company」の差分を確認して、このキーワードに経済学のゾンビ論文を減らす効果があるか
③医学のゾンビ論文を排除するためのキーワードを見つける
検証①はねらい通りに機能していた。六件の情報科学のゾンビ論文が引っ掛かったとはいえ、DDoSの単語を含むゾンビ論文を検索結果から排除できていたことは間違いない。誤算といえるのは、DDoSだけでは情報科学のゾンビ論文を網羅できなかったということだけだ。
検証②は、効果はあったものの、「-company」ではなく「-firm」の方が適していた。「zombie -firm」という検索条件は間違いなく"zombie firm"をねらって排除できていた一方、「zombie -company」は"zombie company"以外にも多くの"〇〇 company"という文字列を引っ掛けてしまっていた。ねらいは間違っていなかったが、余分な被害が出てしまえば効率が悪いと評価するしかない。今後は「-company」という条件は削除することとする。
検証③は、「-viability」という単語を見つけた。見つけたというか、よく読めば大概の医学のゾンビ論文は"Zombie Aqua"や"Zombie IR"といった試薬を使っており、これらの文字列が含まれる文を読むと"Zombie Aqua viability"などと続くのである。じゃあそれを検索キーワードに設定すればいいじゃん、という話だ。
以上の結果より、まず検索条件3は削除する。そして、検索条件1に「-viability」を追加する。
5月の検証
6月は以下の検証を行う。
検索条件1に「-xylazine -viability -gender」を追加し、キシラジン・医学全般・ジェンダー系のゾンビ論文が排除されるか確認する
検索条件もかなり煮詰まってきたため、あれこれと検証する必要はなく、ひとつ設定した検索条件で効率よく本物のゾンビ論文を検出できるかを検証しようと思う。
「-viability」は上述の通りだが、「-xylazine」と「-gender」を追加で設定したのは以下の理由による。
まず、5月にはジャンルが医学であるもののゾンビドラッグことキシラジンに関する論文を頻度よく見かけた。キシラジンと分かった時点で私の求める本物のゾンビ論文ではありえないので、排除しておきたい。そして、検索キーワードに「-xylazine」と設定しておけば、まず間違いなくキシラジンに関する論文"のみ"排除することができるため、使わない手はない。
次に「-gender」だが…私が決めた定義に従えば、ジェンダー系の論文であっても「本物のゾンビ論文」と認定して"しまう"からだ。思考実験としては大変興味がそそられるのだが、専門用語や引用が多いためにとにかく読むのに疲れる。読んだうえで意味が分からないケースも多い。だから排除しておきたい。効率よく本物のゾンビ論文を見つけるために。
検索キーワードを「-gender」としたのは、genderの単語が出てくるとき、展開される論は「男は女を抑圧している」か「女は男に抑圧されている」のどちらかであり、つまりはジェンダー系の論文=フェミニズム(女性学)の論文と言えるからだ。フェミニズムというなんでもありの学問がゾンビという便利ツールをどう使うか考えてみてほしい。本音を言えば、フェミニズムがゾンビを食い散らかすのをこれ以上見たくない、というところだ。
キーワードを「-feminism」とすると前者を引っ掛けることが難しいだろうし、「-woman」などという一般的な単語を使うのは論外だと感じたため、「-gender」と設定した。
したがって、6月の検索条件は次の2つに設定する。
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」(経済・哲学・情報科学・キシラジンに関する・医学・ジェンダー系のゾンビ論文避け)
「zombie」(取りこぼし確認)
変更は6/9(金)に行ったため、6/10(土)以降のゾンビ論文に適用される。
以上。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?