2024/1/20(土)のゾンビ論文 ゾンビ星は太陽の未来の姿

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」

  2. 「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network

  3. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」(取りこぼし確認用)

検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firms」:ゾンビ企業を扱う論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う論文を排除する

  • 「-drug/xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する

  • 「-network」:とにかく情報科学の論文を排除したい

  • 「-DDoS」:ゾンビPCを扱う論文を排除する

  • 「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

  • 「-narrative」:ゾンビ映画・小説などを評論する論文を排除する

検索条件2は「-drug」と「-xylazine」の差分を見るためにある。また、検索条件1と2には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。

今回、それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」二件

  2. 「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network」二件(差分ゼロ件)

  3. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」五件(検索条件2との差分は三件)

検索条件1は評論、天文学が一件ずつだった。


検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」


近世演劇における生ける死

一件目。

原題:Living Death in Early Modern Drama
掲載:このタイトルの本がある
著者:James Alsop
ジャンル:評論(文化批評)

アブストラクトから概要を引用する。

This book explores historical, socio-political, and metatheatrical readings of a whole host of dying bodies and risen corpses, each part of a long tradition of living death on stage.
(この本は、舞台における「生ける死」が有する長い伝統の一部分でもある、多数の死にゆく体と復活した死体を読み解き、その歴史的、社会政治的、そしてメタシアター的な解釈を探求します。)

本の紹介文より

特に舞台演劇における「生ける死」を複数の観点から読み解く。その対象はゾンビはもちろん、グールにアンデッドも。

ジャンルは評論。文化批評に該当するとは思うが、既存の批評のジャンルに当てはめるには苦しいようにも思う。たとえば、モンスター批評というのはどうだろうか…。


惑星探査の未来

二件目。

原題:The Future of Planetary Exploration
掲載:What's Hidden Inside Planets?という本
著者:Sabine Stanley
ジャンル:天文学

様々な惑星に関する本。Googleアラートのメールによると、zombieの単語は次の文で出てくる。

When the Carnegie Observatories went back through some old data on a white dwarf in 2015—the kind of zombie star our Sun will one day become—they were surprised to find something strange in data from 1917.
(カーネギー天文台が白紙の古いデータを調べたとき 2015 年の矮星――私たちの太陽がいつかなるゾンビ星のような存在だった――彼らは 1917年のデータに何か奇妙なものを見つけて驚いた。)

同論文より

ゾンビ星は、観測上は死んでいるにも関わらず、さも生きているかのように超新星爆発を繰り返す天体のこと。以前にも扱ったことがある。上の引用文では、「ゾンビ星のようなものを見つけた。そしてそれは太陽がいつかなるであろう存在でもあった」と言っている。

ジャンルはもちろん天体学。


検索条件2「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network」(差分なし)

検索条件1との差分を調べ、「-drug」が「-xylazine」よりも論文を排除しているか確認する。

今回はヒットがなかった。



検索条件3「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」

上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビ試薬、ゾンビPCは排除されるように設定してある。

ゾンビ・リーダーシップ: 未だに私たちの間を歩き回る死んだアイデア

原題:Zombie leadership: Dead ideas that still walk among us
掲載:The Leadership Quarterly
著者:S. Alexander Haslam と Mats Alvesson、 Stephen D. Reicher
ジャンル:教育学

「-gender」および「-narrative」で排除。ゾンビ・リーダーシップなるものが定義されている。単なるゾンビアイデアのようにも読めるが。

Considerable progress has been made in the field of leadership in recent years. However, we argue that this is undermined by a strong residual commitment to an older set of ideas which have been repeatedly debunked but which nevertheless resolutely refuse to die. These, we term zombie leadership.
(近年、リーダーシップの分野では大きな進歩が見られました。しかし、私たちは、この考えが、何度も否定されながらも、断固として死を拒む古い一連の考え方への強いこだわりが、この進歩を損なっていると主張します。これらを、私たちはゾンビリーダーシップと呼んでいます。)

同論文より

また、「ゾンビの学術的リーダーシップ」という言葉なら、以前にも触れている。名称こそ似ているが、別の概念らしい。


ジャンルとジェンダーを超えた作品:ネオ・ゴシックナラティブにおけるマスキュリズムと(ポスト)フェミニズム

原題:Transgressing Genre and Gender: Masculinities and (Post) Feminism in Neo-Gothic Narratives
掲載:このタイトルの本がある
著者:Miriam Borham-Puyal
ジャンル:評論(ジェンダー批評)

「-narrative」および「-gender」で排除。タイトルの通り、「ジャンルとジェンダーを越えた作品」の分析・批評。それでゾンビなのだから、もちろん分析対象に『傲慢と偏見とゾンビ』が含まれる。


カメル・ダウドの小説『ムルソー再捜査』における都市空間

原題:Urban Space in Kamel Daoud’s Novel ‘Meursault Contre-Enquête’
掲載:Special Section on Ecocriticism
著者:Azzeddine Bouhassoun
ジャンル:

「-network」および「-philosophical」、「-gender」で排除。タイトルから想像するに『ムルソー再捜査』のレビューらしいが、ゾンビが出てくる小説ではなさそうだ。謎である。



まとめ

検索条件1は評論、天文学が一件ずつだった。

特にコメントすることがない。ゾンビの出るフィクション作品に、ゾンビ星、ゾンビアイデアの亜種。見どころのない論文たちが集まったものだ…。

今回はねらいの論文がなかった。


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