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#本の感想。*1 家が好きな人(井田千秋/著)

家を見ればその人がわかる?

久々に買った紙の本。
こういうビジュアル系の趣味の本は、やっぱり紙で読みたいし、手元に置いておきたいなぁ。と思います。
そういう意味で、これだけ電子化が進む出版業界で紙媒体として残るのは、中身以前に「装丁」が良いもの。手触りや質感や本物の色味、に魅力のあるものなんだろうな。と思います。

って、いきなり話がそれましたね。
内容的には「さまざまな家とそこに住む人をオムニバス形式で描く大人気イラストレーター【井田千秋】初のコミック&イラスト集!」(帯より抜粋)だそうです。



間取り図もちゃんと描いてあって、ちゃんとそれに沿ってお部屋の中が事細かに描写されています。家具やテキスタイルはもちろん、部屋にあるいろんな小物がきちんと描き込まれています。もう、これでもかってほど。笑

食べかけのお菓子、その包み紙、棚の上の雑多な小物。カンカンやお皿の模様。電化製品の配線や、エアコンの配管カバーまで!
すごくリアルで、生活感のある「住みたい!!!」という部屋で、尚且つ「私でも出来るかも」な親近感もわく部屋の数々。

好きなんですよねぇ、小物。もう、細かく書き込まれていればいるほど、萌えます。そこまで細かく描き込まれているからこその一体感とかリアル感とかね。最高です。
書き込み過ぎたら全体像が雑多な印象になるんじゃね?と思う人もいるかもかもしれませんが、そこは作者の技量次第。ほら、ここに素晴らしい成功例がありますよー。

さらにコミック形式なので、部屋の住人の個性とか人となりも分かる。
ストーリー自体が売り物の漫画じゃなくて、短編というか一場面を切り取ったショートストーリー。的な。
そうすることで、ただのお部屋イラストじゃなくて、奥行きとか背景、その人の物語を想像させる。こういうジャンル?というか手法?かな。大好きです。
好きですしか言ってませんが。

これ読んで思い出したのが、ほろよいのCM。ブギーバックのやつ。
あれ好きな人はハマるんじゃないかな。
実写バーションもイラストバージョンも、最高でしたね。あと、この女優さんもピッタリ。

電車編も好きです。

短い限られた時間でいろんなことを詰め込んで、受け手の想像力を刺激する。『印象に残る』って、こういうことですよね。良きCM。

最近の流行りって、おしゃれな部屋=シンプルで白×ウッディ。それが鉄板で正義!なところあるじゃないですか(偏見)。私もそれ、嫌いじゃないですけど。
でもそこに個性はない。みんな同じですよね。ぶっちゃけ。
うおお、めっちゃ好き!!!とはならない。
ベースはMUJIにしとけば大丈夫。安心だし誰でも真似できるし、誰が見ても及第点。みたいな。(MUJIに恨みはないです。うちにもあります)

でも私は、シンプルで、整理整頓されていて、統一感のある洗練された部屋。よりも、自分の好きなもので埋め尽くされた部屋。がいいなぁ。
よく「本棚」を見ればその人の頭の中身がわかる。的なことを聞きますが、「部屋」は好みがわかります。好きなものに囲まれて暮らしている人は特に。

誰かの家や、部屋を見るのが大好きな私は、そこが個性的であればあるほど、嬉しいし楽しいです。部屋を見て、ああこの人と友達になりたい、なれそう!って勝手に思うくらい。

昔テレビで見かけた外国のおばあちゃんの家がすごく印象に残っているのですが、余白のないくらい飾られたいろんな人形や小物、壁紙もカーテンもクッションやテキスタイルも、全部がカラフルでまちまちな柄物。でもどれも全部おばあちゃんの好きなもの。断捨離とか統一感とか完無視のその空間の、可愛らしかったこと!

インテリア雑誌とかが大好きで、そこの載っている部屋をおしゃれだな〜、素敵だな〜。と思いながら読んでいた当時の私は、知らず知らずのうちに、これとこれ、好きだけど合わないよね。このカーテンの柄、素敵だけどうちには似合わないかな。この部屋の雰囲気とかインテリアには合わないな。柄物ばっかじゃバランス悪いよね。――なんて、知らず知らずに型にハマった考え方になってました。

でもその時、そのおばあちゃんの人生が詰まったそのお家を見て、目から鱗が落ちたのです。

自分が好きなら、それでええやん! 幸せやん!(急に関西弁)

とはいえ、まだなかなかそのおばあちゃんの境地には辿り着けませんけれど。

そんな偏った私にも、これから一人暮らしを始めようとする人にも、もうすでに一人暮らし歴が長い人にも、一人暮らしに憧れる人にも。
いろいろな好きがいっぱい詰まった「家が好きな人」に刺さる一冊でした。


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