スクリーンショット_2020-01-12_PM_5

【図解】日本酒の「山廃仕込み」とは

Wikipediaによれば、下記のように説明されている。

山廃仕込み(やまはいしこみ / - じこみ)とは、単に山廃とも称され、生酛系(きもとけい)に属する日本酒の製法の一つ。 「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」が正式名称で、その酛で醸造した酒のことも一般に「山廃(仕込み)」と呼ばれる。

これだけ聞いても、「?」となるので、
いくつかのレベル(深掘り度)にわけて解説してみようとおもう。

【レベル1(もっとも簡単な説明)】

一般的な日本酒と比べて手間がかかってつくられる日本酒。

【レベル2(かかる時間について)】

現在日本酒の多くは、酵母をつくるのに2週間くらいかかる。
それに対し、山廃だと4週間くらいかかる。
ようは、つくるのに時間がかかる。

【レベル3(分類についてざっくり)】

日本酒の製法は大きく2種類あり、山廃は「生酛系」にあたる。

スクリーンショット 2020-01-12 PM 4.49.37

生酛系は古くからつづく伝統的な製法で、
速醸系は近代的な製法(1910年〜)である。

現在日本酒の多くが、「速醸系」である。

【レベル4(分類についてもう少し細かく)】

日本酒の製法は大きく2種類あり、さらに3つに分類される。

スクリーンショット 2020-01-12 PM 4.41.29

山卸廃止酛のことを、
「山廃酛(やまはいもと)」または「山廃(やまはい)」
と呼んだりする。

スクリーンショット 2020-01-12 PM 4.55.50


つまり、山廃というのは、
「伝統的な日本酒の作り方・生酛系(きもとけい)の一種で、速醸系に比べて酒母作りに時間と手間がかけてつくられる日本酒」
と説明できる。

(あっ、これでようやくWidipediaの文章と似てきた。)

さて、これ以降のレベルは興味がある人だけ読んでほしい。

【レベル5(生酛系と速醸系の違い)】

製法をおおまかに比較するとこんな感じ。

スクリーンショット 2020-01-12 PM 4.06.17

生酛系では乳酸菌を一から育てるのに対し、
速醸系は人工的に乳酸を加えることで、大幅な時間カットができる。

【山卸(やまおろし)】とは

簡潔にいえば、「お米と麹をすりつぶす作業」のことである。

山卸

明治時代以前は手作業でこれを行なっていたが(なかなかの重労働)、
現在は機械をつかうことがほとんどになった。

勘がいい人はお気づきかもしれないが、
「山廃」というのは「山卸を廃止した生酛の製法」なので、
すなわち生酛の工程から「山卸」の部分を除いたものである。
(実際にはそれ以外の箇所も微妙に違う点はあるが割愛)

【味について】

生酛系は、時間も手間もかかる。(乳酸が生成されるまで無防備なので、雑菌の侵入によって腐敗するリスクが高い)

ただその分、

・酒質が強い
・熟成に向いている
・醗酵中に旨味成分(アミノ酸など)をほとんど消費しないので、旨みが強い
・風味や香りがしっかりと仕上がる

といったメリットがある。

作るのは大変でも、
味を追求するとなれば生酛のほうが旨い日本酒がつくれるので、
最近は生酛造りを採用している酒蔵も増えてきている。

これだけ手間がかけられているのに、
国内では2000円以下で生酛系の日本酒が買えるなんて、
私たちはなんと恵まれているのでしょう。

酒蔵の方々への感謝を忘れず、
楽しい日本酒ライフを!

以上
Ver1.0

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?