見出し画像

Vol.8邦画「すばらしき世界」~観るべき映画BEST5とかは好きではありません!ひねくれ者の映画好き~

いつもお世話になっております。
するめでございます。

どんよりと気分が沈むような映画を観たかったというのと、役所広司の才能がすきなので、朝の6時半から見始めたわけです。

今回観た作品は、すばらしき世界 
監督:西川美和


役所広司の演技力が半端ない!

役所広司が素晴らしいの皆さんご存じかと思いますが、この作品は化物級の演技力を見せつけられました。役所広司が出演している作品で好きなのをあげれば、いっぱいありすぎてどれを選んだら分からないです。この作品は、役所広司以外の俳優の演技も凄すぎる


ネタバレ!ネタバレ!



ちょこっとあらすじ!

役所広司演じる三上は、元やくざ殺人の刑期を終え出所する。身元引受人の弁護士に世話になり、住居と生活保護の申請をする。三上は働きたいと思っていたが、持病をもっていることと、今までに何度も刑務所に入っていて出来る仕事が限られてしまっている。捨てられた母に会いたいと願いテレビ局に母を探して欲しいと依頼する。テレビ局は、小説家を目指している仲野大賀演じる津乃田が密着取材をするよう仕事をふり、何冊もある身分帳に目を通す


ざっくりとした話になっているが、

この三上は、ものすごく短気喧嘩っ早い。そして、正義感が強い。この2つが組み合わさるとどうなるかというと、正義感からくる衝動で人を殴ってしまったり挙句の果ては殺してしまったりするのでございます。こういう人って時代が違えば英雄になるのですが、今の時代だと犯罪者になってしまうんです。

印象に残っているシーンがありすぎて困ります。

三上と津乃田とテレビ局の人が焼肉屋さんにて番組の構成や熱意を三上に伝えて上機嫌になっている所に、オヤジ狩りに遭っているを目撃し、若者をボコボコに殴り、脚立で殴っている様を津乃田とテレビ局の人が映像に残そうと見ているのだが、凄まじい殺気に津乃田は逃げ出した時、三上は子どものような顔で「津乃田さーん」と声をかけるが、おらず三上は家に帰っても興奮して電気の紐でシャドーボクシングをしている。
この一連の流れが、元やくざの三上を呼び覚ますかのような演出にグッときてしまいました。

三上が運転免許証を学校で取ろうと思うが、ケースワーカー相談しても弁護士に相談しても自分が思った通り取り合ってくれず、それが自分が元やくざだからなんではないかと思ってしまい三上の出身である九州に昔のやくざ仲間に会いに行き、好待遇を受ける。兄弟分の女将さんがキムラ緑子なんですが、ものすごく色っぽい。そして、三上を逃げ帰すときに「娑婆は空が高い」といってカタギにさせる様がさすが、キムラ緑子なんですよね。

書き出せばいっぱいあるのですがここからは私の感想なんです。


少し話が変わるように思われるかもしれませんが、ちょっとお付き合いを。

清水の次郎長って知っていますか?

30代以上の方なら何となく知っている方がいるとは思いますがサラッと解説させてください。

静岡市清水区の廻船問屋の息子として生まれた次郎長なのですが、素行が悪く東海道の暴れん坊と言われ、賭博三昧を繰り返し挙句の果てには人を殺してしまい清水から逃げ転々と賭博しながら流れをしていました。いわゆるところのやくざなわけです。ですが、幕末で世の中が変わると思い清水に戻ってきてたのですが、世の中は荒れていて喧嘩の強い次郎長は当時の警察から十手を承り清水の街を守っていました。

幕府軍の船「咸臨丸」が、破船し清水港で停泊している所に新政府軍に見つかり攻撃され咸臨丸の全員は亡くなったのですが、新政府軍に幕府軍の骸を弔いをしているのを見つかると咎められると町中の人は恐れていたが、次郎長は「死ねばみな仏」と墓を作り埋葬する。それを感銘を受けた山岡鉄舟は次郎長を気に入り世話をすることにより、清水の街の人たちは次郎長を認め、次郎長もまた、清水の街の為に尽力する。

この2つの話は途中まで似ているなぁ~と思ったんです。


決して、殺人を犯した人を擁護するわけではないのです!!が、どんな罪を犯しても刑務所を出てからも生きていかないといけない訳です。そうなった時どうしたらいいでしょうか。そして、自分は罪を犯す可能性はないのでしょうか。そう思った時に他人事から自分事に変わると思うんです。

多様性が叫ばれている中に何故、こういった問題が取り上げられないのか。

多様性とはどういうことなのか。

多様性でもなぜ仲間に入れない人達がいるのか。

そして、殺人で服役した人を見た時に手を差し伸べることが出来るのか。

それを突き付けられているような映画でした。

手を差し伸べた時には、すばらしい世界が広がっているのでしょうか。

このシーンが一番ダメージを負う。

介護施設で働いている三上は少し障害を持った人と仲良くなりますがその人がイジメられている場面を見た時に、血が頭に上りイジメてるスタッフを何度も、何度も殴りつける衝動に駆られたが抑え。次はそのスタッフが障害を持った人の揶揄をしている様を観るが「そうですね」と三上は言う。

こういう場面ってどんな人でも経験しているんですよね。これを三上のようにそうですねと答えて順応するのか、怒ってなぐるのか。それとも諭すのか。色んなシチュエーションがあるんだと思います。

ずっとぐるぐる考えながら、自分事に置き換えるととても有意義で落ち込んでしまう作品でした。

ほんだらまた!

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?