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映画感想文「ニキータ」
独特の湿っぽさ、そしてラストの曖昧さ。
それがフランス映画の特徴だ。ハリウッド映画みたいに勧善懲悪ではないし、エンドロールになっても白黒はっきりしない。
でもね、現実はそうなんだよね。
だからこそ、せめて映画では違う展開を期待し、カタルシスを得たいと思う人もいるだろうが、個人的には現実に近いシニカルなフランス映画の方が好きだ。
本作もハリウッドでも別タイトルでリメイクされている。しかし、いかにもハリウッドらしく、情緒要素がごっそりぬけ落ち、わかりやすい娯楽作品になってしまっていた。やっぱりオリジナルのフランス版が好きだ。
1990年公開。当時、何者でもない若い女の子だった私は、この映画にひどく共感し涙した。
不良少女のニキータが政府の工作員「殺し屋」になっていく様を描く、リュック・ベッソン監督の初期の頃の作品。
監督の妻であったアンヌ・パリローがニキータを演じてる。スラリとした長身のスレンダーな身体にブラックドレス。そのいでたちでごつい拳銃を肩にかかえる。これがとても似合う。
女の殺し屋というのはそれまであまりなかった。だからこそ、ポスターも衝撃的だった。
凶暴だけど、か弱くて。凄腕の殺し屋で強いんだけど寂しがり屋で脆くて。そんな普通の女の子のニキータ。周囲に求められることと自分のこう在りたいにいつも葛藤してる。そして、泣きながら職務を果たす。
当時、社会に出たばかりだった私。きっと同様の葛藤を抱えていたんだろう。
最初は映画館で観て。そのあとレンタルビデオ屋で借りて。何度観たことだろう。
過去の映画には、その時の自分の人生が染み込んでる。昔の映画をみると「あの頃」の自分が、脳裏によみがえる。
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