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映画感想文「ファルコン・レイク」不安定な思春期を丁寧に描く甘くて苦い作品

甘くて苦い時があった。

自分が何者かわからずいつも心が不安定だった。

そんな誰もが通ったはずの思春期を丁寧に描いた作品。

14歳の夏。家族でカナダケベックの湖畔の別荘で夏休みを過ごすバスティアンは、母の友人の娘、16歳のクロエと出会う。

少しだけ年上のクロエは、魅力的だった。

親に反抗し、ワインを飲み煙草を吸い、友人たちとパーティに、繰り出す。大胆で自由で、でもふとした瞬間に脆さも垣間見える彼女に、バスティアンは惹かれていく。

彼女の気をひくために、飲めない酒をがぶ飲みしたり、泳げないのに湖に飛び込んでみせたり。精一杯背伸びする。

そして、ラストに思いがけない事件が起こり、2人にとってそれは忘れられない夏となる。

16ミリフィルムで撮影された映像は画像の揺れや荒さでプライベートな感じも醸し出しており、それがまた不安定さを倍増させている。

また、本作は俳優でもあるシャルロット・ルボン監督の長篇初監督作品。わかりやすく伏線張りまくりだったりの初々しい監督ぶりが作品のトーンと一致してる。

誰もが思い当たるシーン万歳で、少し胸が痛む思春期王道作品。

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