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映画感想文「リボルバー・リリー」綾瀬はるかの頑張りと美しさを堪能。シシド・カフカが健闘

綾瀬はるかが好きだ。

よい女優さんだと思う。そして本作でのアクションも頑張ってたのは間違いない。

キレのよい立ち居振る舞いには感心した。そしてどの場面を切り取っても美しい。

でも、彼女の持ち味はハードボイルドではないように思う。そうなのだ。アクションができるからってこういう役が似合うとは限らない。

どうしたって甘さが出てしまう。それが邪魔をする。だけどね、それが彼女の良さでもある。

よって、個人的にはテレビドラマなら『JIN-仁-』、映画なら『海街diary』『今夜、ロマンス劇場で』をお勧めしたい。

だが、気を取り直し、本作のオススメポイントを記載する。

大正末期、関東大震災の翌年。貧しくて暗くて軍国主義まっしぐらに進み始めていた日本が、舞台。

かつて東アジアでスパイとして活躍した小曽根百合(綾瀬はるか)は、3年間で57人を殺害した冷酷で凄腕の暗殺者だった。しかしある事件以来、引退。今は東京の下町で銘酒屋を営み、平穏な暮らしを送っていた。

だがそんな百合の元へ、莫大な資金の行方を知るゆえに、家族を殺され陸軍の特殊部隊に追われる少年がやってくる。彼を守るため、百合は再び銃を手に取る。そして過酷な戦いが始まる。

という、非常にハードボイルドな物語。原作は第19回大藪春彦賞を受賞した、長浦京の小説。

なんといっても本作の収穫は、主人公の盟友を演じるシシド・カフカ。

歌手とかモデルのイメージが強く、え?女優さんだったんだ、と認識新たにしたが、クールな表情と派手な立ち回りのアクションがめちゃくちゃカッコいい。

175センチの長身に銃を構える姿が絵になり、高いところから飛び降りるアクションも決まってる。

これ、次回もこの手の作品で声がかかるのではないか。の存在感あった。

そしてやっぱりすごいわ、としみじみ感じたのは登場場面が少ないながら、安定感抜群のベテランの2人。

まずは豊川悦司。主人公が愛した訳ありの男として登場するが、ほんとにわずかな出番ながら、大したセリフもないのに、そりゃそうだろうと説得力抜群の華やかさと色気。この人が出るだけで場が華やぐのが、いつもながら凄い。

そして野村萬斎。わずか2回の登場シーン。しかもいずれも一瞬ながら、全てを悟りその後も予知したかのような複雑な表情の演技に震える。

他にも長谷川博己、阿部サダヲ、古川琴音、清水尋也など、豪華出演者の演技が楽しめる(特に長谷川博己は彼の個性に役柄も合っており、なかなか良かった)。

また、当時を表す街並みや、小道具などが凝っており、風情があった。

いろいろ含め、映画館で観て損のない映画ではあるが、アクションシーンは、そこまで無敵か?のご都合主義も垣間見え、いまひとつリアリティに欠ける。

なので、アクションに期待するというよりも、綾瀬はるかの頑張りと美しさを堪能したい人、この時代を味わいたい人、におすすめ。

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