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2024年7月新作映画Best3

7月は映画館で新作映画を23本みた。

邦画12本、洋画11本。その中で特に印象に残った3本を改めてここに記載したい。

■1位:キングダム 大将軍の帰還
誰が見ても満足の超大作。

春秋戦国時代の中国の乱世を描いた大ヒット漫画の映画化。4作目の本作は大沢たかお演じる王騎がメインのストーリー。

下僕だった秦国のシン(山崎賢人)。天下の大将軍を目指す彼が成長し、どんどん夢に近づいていく。それが見どころ。であるが、そこにこの王騎は欠かせない存在だ。

また本作は出演者がめちゃくちゃ豪華なことが特徴。大王であるエイセイ役の吉沢亮。王騎の宿敵ホウエン吉川晃司。李牧に小栗旬。高嶋政伸、要潤、山本耕史、長澤まさみ、清野菜名、佐藤浩市。これぞ日本映画を背負うスター総出演の体を成している。

主演の山崎賢人はじめ、日本が誇る豪華俳優陣もそろい踏み。よくぞこれだけのネームバリューある人々がスケジュール調整できたな、という感じである。

これぞ映画館で観るべき超大作。アクションは大沢たかおと吉川晃司が流石の貫禄で魅せる。

■2位:リッチランド
原爆を作るために人工的に作られた街、リッチランド。米国が世界をけん引する最先端の技術を作る街という誇りと後悔と。その複雑な苦悩が垣間見えるドキュメンタリー。

誰しも自分がしてきたことを否定するのは難しい。だが、何よりもそこに住む彼らが汚染の被害者でもある。このトラップは世代を超え彼らを追い詰める。

日本人として幼い頃から教えられてきた「原爆ゆるすまじ」の精神。そんな立場からすると、衝撃的な場面もある。

それでも、「あちらから見たらそうなのだ」がわかることは重要である。もやもやした気持ちでその主張をいったん受けとめる。

ここで否定してはわかりあえないから。不愉快でも受け止めてみる。

ドキュメンタリー映画が好きだ。不都合な真実もそのまま提示される。それを受け止め消化するのはひとりひとりである。

というスタンスが好きなのだと改めて思った。


■3位:先生の白い嘘
この作品に出ることは心理的肉体的負担がとても大きかったと思う。

何しろエロというよりも暴力的な性描写が多い。いくらプロとはいえ、相当にしんどかったのではないか。

よって、主演の奈穂、風間俊介、三吉彩花、この3人に心からの賛辞を送りたい。3人とも知らない顔を見せてくれた。役者として一皮剥ける作品であったのだろう。



高校教師の美鈴(奈穂)はお堅く地味なタイプ。広い一軒家に一人暮らし。彼氏もいない。

しかし実は性被害にあっており、しかも自分からそれを断ち切れずにいた。そんな自分に嫌気がさしてる。そんな気持ちもまた美鈴を蝕んでいた。

そんな彼女の生徒新妻(猪狩蒼弥)。ある日、彼から性の悩みを告白された美鈴は、彼につい自分の心のうちを吐露してしまう。驚くものの、それによりかえって美鈴に惹かれていく新妻。

ふたりの淡い思いが交錯する。そして秘密を共有したことで、その後お互いを支え合っていくことになる。

ここまでなら美しい青春物語で終わる。
しかし本作のポイントは、そこではない。見どころは美鈴に絡むふたりの人間、親友の美奈子(三吉彩花)とその夫早藤(風間俊介)のクズっぷりにある。

奈緒の演技力が高いことは織込み済みであった。しかし、あとの2人には本当に驚かされた。

特に奈穂を追い詰める早藤(風間俊介)。怪演すぎて、最初誰だかわからなかったくらいだ。確かこの人はジャニーズ出身だったはず。でも歌より演技のイメージが強い。様々なドラマや映画にそれこそちょっとした脇役にも躊躇なく出てる。全部違う顔出し、器用でいい役者さんだと思う。

またモデルのイメージ強い三吉彩花。女を振りかざすこの役にぴったりだし、彼女の持つ華やかさが画を救うところあった。が、それだけではない怪演ぶり。彼女の持つある種の太さ、みたいなものが活かされる役であった。

そして内容について。

男女の性の格差、不平等を描く作品。というような宣伝を見た。しかし観終わって思うことは、そうでもなかった印象。確かに男女で性の不平等はあるだろう。でも男女共に同じく、我々の肉体が精神を裏切ることがある。というそっちがむしろ主軸に感じた。

その悲しい真実を描き、そこから抜け出そうと奮闘するそれぞれを描いた作品であった。
そんな人間の弱さと同時に強さが印象的。

インティマシー・コーディネーターを希望した主演の奈緒の要望を聞き入れず、更にこれを断ったことを自ら語った監督の振る舞いが非難されている。それは確かに残念な話ではあると私も思う。

しかし、その話が先行して本作の内容に話が及ばないことこそ、悲しい。作品は作品で評価されるべきと願う。

なお、この他にも「じょっぱり 看護の人 花田ミキ」「アイアム・ア・コメディアン テレビから消えた男」「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」がよかった。

作り手の思いが溢れる作品で胸打たれた
確かに不愉快だ。でもそれを抹殺する恐ろしさを思った


スカーレット・ヨハンソン魅力全開のワクワク作品


8月も様々な映画に出会えるのが楽しみである。

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