映画感想文「ほつれる」身に覚えあり過ぎヒリヒリ。向き合い避けるとこうなるね
いやあ、かなり無理。
と思った、主人公の夫(田村健太郎)。
いわゆるモラハラに近い粘着質。おまけに甘え方もアプローチも下手すぎるし、すぐさま離婚しないのが不思議なレベル。
でもこういう人、いそうで妙にリアル。
綿子(門脇麦)は、もはや冷え切った関係の夫とだらだらと家庭内別居を続けている。他人として距離を置かがゆえに一見穏やかに続いているふたり。
妻は不倫してそのバランスを保っている。しかしある時、不倫相手の木村(染谷将太)が不慮の事故で亡くなり、それにより少しずつ蓋をしていたものが溢れ出てくる。
妻役の門脇麦は、こういう少し濁った人を演じるのが抜群に、上手い。
ずるくて汚くて自分勝手で、でもなんだか、誠実な瞬間もある。そう、実際の人間て、こんな感じに矛盾を抱えてる。
そして、痛いほどわかる。
向き合わずにやり過ごしていたら、いつの間にか埋めようのない溝ができてしまっていた、ってやつ。
主に男女関係だけど、友人同士でもあるある、なパターン。
ひとつひとつは小さな違和感やちょっとした怒りなんだけど。積もり積もって溜まると取り返しつかない。
だけど日時の中で誠実にそこに向き合うにはパワーがいる。更にスルーして、やり過ごした方が上手く収まることも多い。
演出家・劇作家の加藤拓也監督の2作目の映画。身に覚えがあり過ぎて、ヒリヒリするリアルなストーリー。
なかなか、胸に迫る作品。
ラストは爽快と捉えた。おすすめ。
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