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映画感想文「ソウルに帰る」痛さに目が離せない、主演パク・ジミンの演技が素晴らしい

終始「痛い」映画で目が離せなかった。

生まれてすぐフランスに養子に出された韓国人フレディが、バカンスで向かうはずだった日本行きの便が台風で欠航したため、韓国ソウルに向かう羽目になり、思いがけず自分のルーツと向き合うことになる、というストーリー。

本作で演技が初めてだという主演のパク・ミジンが素晴らしい。

25歳から33歳までの心揺れるフレディを演じているが、寂しがりやで全身で愛を求めているのに、誰かと親しくなると怖くなり距離を置く、というどうしようもなく不安定で自分勝手で(でもどこにでもいそうな)若い女子を見事に演じており、その剥き出し感が、たまらなく魅力的だ。

そして、そのあれこれが、たまらなく、痛い。

きっと、若さとはそういうものだ。

傲慢で痛くて、でもキラキラと輝いてる。

フレディの年代の頃は自分にもそういうところはあったのかもしれない。

でも歳を重ねた今、思うことは、結局人はひとりなんだ、ということ。いいか悪いかはさておき、悟ってしまった悲しさよ。

でもだからこそ、誰かとの時間は美しい宝物だ。

7年に渡るフレディと韓国の変遷を描いているため、彼女の心の変遷や変化が楽しめる。

更に、要所要所で流れる音楽がカッコよく、物語を引き立てる。フレディが音楽にあわせて踊るシーンも素敵だ。

最後に、ひとりであることを受け止めざるを得ないラストが、沁みた(ここは解釈が色々に分かれる場面だとは思うが、私はそう感じた)。

若さを思い出したいあなたに、若さの真っ只中で生き辛さを感じるあなたに、おすすめ。

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