見出し画像

映画感想文「水は海に向かって流れる」惜しい。広瀬すずの神々しさは必見

もったいないな、と。

ストーリーは良い。主演の2人の演技も良い。画も良い。素晴らしい役者もたくさん出てる。

だけど、なんだかイマイチ乗れず惜しい!作品。

雑に言うと、この布陣でやるなら、笑いとシリアスの配分が間違ってる(もっと、シリアス割合アップすべき)。

もしくは、この配分なら笑いに強い役者をアテンドすべき(役者は誰も悪くない。それぞれに個性や強みがあり、それに合わせアテンドすべき)。

監督は「こんな夜更けにバナナかよ(大泉洋主演)」「老後の資金がありません(天海祐希主演)」「そしてバトンは渡された(永野芽郁主演)」などヒット作連発のベテラン。

どの作品も大変素晴らしい。

ただ、これらの作品は主演の役者が笑いをうまく演じれる人たちだから成立してる。正確には最初の2つはかなり笑いに振ってる作品で、大泉洋も天海祐希も、笑いを誰よりもうまく演じることのできる役者だ。

3つ目にあげた「そしてバトン〜」は、永野芽郁はそこまで笑いに振り切れてないが、共演の田中圭がその役割をうまく分担してる(彼も笑いを演じれる芸達者だ)。そして、そもそも最初の二作品より笑いはかなり控えめな作品だった。

だから、映画は難しい。

そして、ここまで言っておいてなんだが、素晴らしいところも記したい。

まず、役者陣の演技。

主演の広瀬すずの存在感と神々しさ。綺麗な人なら沢山いるけど、それだけなら静止画のモデルでよく、女優ではない。女優にはそこにいるだけで物語を感じさせる身体から溢れる説得力が必要であり、その点、彼女は群を抜いてその才がある。

次に相手役の大西利空。その同級生役の當真あみ。高校生役の2人の初々しさ加減がとても素晴らしい。特に走るシーンが多く、その時の躍動感がとても瑞々しい。運動神経とはまた違う観点での身体能力(身体で語る能力)の高さを感じた。これからの活躍が楽しみな2人だ。

そして、次には画の美しさ。広瀬すずの服装の色合わせがどれも絶妙で印象に残る。人物だけではない。風景描写の色の配分にも、こだわりの効いた美意識とセンスを感じた。

これらを楽しみたいのであれば、おすすめ。

最後になったが、ストーリー。

高校生の直達は通学に時間がかかるという理由で、自宅より学校から近い叔父さんの家に居候することになった。

その家はシェアハウスで個性的な住民ばかり。その中にいつも不機嫌な、寡黙で料理上手の千紗さんがいた。直達は、自分より10歳年上の千紗さんにだんだん惹かれていく。

という、ど定番の王道ストーリー。

2人の淡い恋はとても映える。印象に残るセリフも多い。これらを楽しみたい人にもおすすめだ。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?