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映画感想文「おいしい給食」肉体派コメディ俳優としてのジャンル確立の市原隼人が凄い

初めての出会いは「リリィ・シュシュのすべて」だった。いまから20年以上前の作品だ。

岩井俊二監督作品。青春の気怠さとかっこ悪さと残酷さを絶妙に描くカルトな作品。少年の危うさを体現する主人公を演じた市原隼人。

小柄で線が細い、目力の強い美少年。そんな印象であった。

「ROOKIERS ルーキーズ」の辺りまではまだそんな繊細な2枚目役がメイン。それがいつの間にか、がっちりした胸板を備えた肉体派に変貌を遂げた。演じる役もヤクザやガテン系な寡黙な男。

子役の大成は難しいという。にも関わらず、キャラを変えての長年の活躍ぶり。試行錯誤の生き残り方に勝手に感銘を受ける。俳優のキャリアの在り方を思う。そこには学ぶべきものがある。そういう意味で、注目している役者さんである。

本作は人気テレビドラマシリーズの映画化。しかも3作目らしい。評判が良いのは知っていたが、タイミング合わず、3作目にして初めて観た。

いやー、面白かった。いままた、肉体派コメディ俳優としてのジャンルを彼が確立していることを悟る。凄いなー。

舞台は1989年の函館。給食を愛する教師の甘利田(市原隼人)が、副担任の同僚教師(大原優乃)と急接近したり、給食を政治に利用しようとするヒール役の市長(石黒賢)と対立したり。

昭和感溢れる、生徒思いの不器用で厳しい教師である甘利田。こんな先生いたよねー、昔は。という懐かしさ。

そして肉体派の本領発揮。まるで往年のドリフターズみたいな、全身を使ってのコント的コミカルな動き。特撮は使ってないに違いない。

また様々な感情をオーバーに表現する顔芸。アップにも耐え得る、細かい表情の変化にさすがベテラン俳優だと感心する。

そして甘利田が脚本を書いたと言う設定の彼のクラスの学芸会の芸(ホワイトマンという劇中劇)が何気に深く、沁みた。

おすすめできる楽しめる作品。

ちなみに、「リリィ・シュシュのすべて」は、脇役で出てる当時15-6歳の蒼井優が大変素晴らしい。既に大女優の片鱗を覗かせており、当時もこれ誰?と印象に残った。一見の価値あり。

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