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映画感想文「カモンカモン」ありのまま感情をぶつける甥っ子に振り回される、それもありだな

感情を表すのが苦手だ。

長女はいつも妹や弟たちの聞き役で主役になることはない。おまけに長年働く中で、効率の悪い「自分の気持ち」を蔑ろにしてきた。

だからこの映画はグサグサと心に刺さった。

ニューヨークに住むジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)は、仕事熱心で責任感が強く、自分の感情を表すことが苦手だ。

そんな彼が妹の9歳の息子ジェシー(子役のウディ・ノーマンが天才的演技を魅せる)をひとりで数週間預かる羽目になる。

空想好きで気まぐれで繊細で。核心をついたまっすぐな質問を次々と投げ掛け、ありのままの感情をぶつけてくる甥に戸惑い、時にぶつかり合い、ジョニーは無意識に自制していた自らの内面に向きあっていく。

NY、デトロイト、ロサンゼルス、ニューオリンズ。物語に出てくる4つの都市で9-14歳の子供たちに実際にインタビューした映像が随所に差し込まれる。

「自分達の住む街について」「世界について」「未来について」、率直に綴られる言葉の美しさと力強さに涙が流れる。

鎧を脱いで裸ん坊になれる映画。

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