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ちょっと待って、その「数字」になんの意味があるの? #4

「明日の降水確率は80%です」
「内閣支持率が29%に下落しました」
「Black Fridayで全商品10%OFF!」

このような数字は世の中にありふれていますよね。
新聞、テレビ、YouTubeから何気ない日常会話まで、「数字」というものは必ずひょこっと姿を表す、そういう存在なのではないかと思います。


しかし、この「数字」というやつは結構厄介ものです。
数字はテキトーに言うこともできるし、きちんと算出した上で言うこともできる。

例えば、英語で「I guess〜」と「I think〜」の違いは?と問われた時の回答で、”「I guess〜」は確信度30%で、「I think〜」は確信度70%かなー”というのと、数学で「大小1個ずつのサイコロを同時に振って出た目の積が6の倍数になる確率」の答えが約41.7%という感じ。
前者の英語の説明はなんとなくの"感覚”。対して数学の方はゴリゴリに”計算した結果”ですよね。

こんな感じで「数字」にどのような意味があるのかは、”感覚”なのか”計算結果”なのかでだいぶ意味合いが変わってくると思います。


と言ったものの、別に”感覚”なのか”計算結果”なのかは重要ではないです。
現にさかなばさんも”なんとなくテキトーに”数字を言っている場合ももちろんあります。そして相手がきちんと”こいつ、テキトーに言ってるな”とか”感覚で言っているな”という認識があればなんら問題はないと思います。


一番問題なのは”その数字になんの意味があるのか”を考えないときなのかなと思います。その数字が「感覚で言っている」とか「計算した上で言っている」とか「テキトーに言っている」とか分別がついていれば良いですが、その分別がつかずごっちゃになっていると、会話の意味だったり、その話の信頼性だったりを見誤ることになるのです。


さて、”その数字になんの意味があるのか”を考えないと何に困るのかなぁと考えた時、以下の2点のぶち当たるもしくは騙されるのかなぁと思った次第。

①”その数字は意味があると思っているけど、実はなんら意味がない”

②”言いたいことありきで、都合良い答えが出るようにデータを抽出している”

とかになるのかなぁと思う。

①に当てはまる典型例はSNSのフォロワー数とかページのView数とか、いくら資産があるとか。

これらの数字が大きければ大きいほど世の中へ与えるインパクトが大きいと思ってしまう、いや、実際与えられる確率は高くなるのは事実だと思うけど、じゃあどこまでその数字が大きければどの程度のインパクトを与えられるのか、とか。

例えばの話をします。あるフォロワー数に到達すると世の中へ与えるインパクトが一段大きくなるという壁が存在していて、それが1,000人、100,000人、1,000,000人だとしましょう。
SNSのフォロワーが1,000人→100,000人に1年で増えましたとなれば、その人は1年間で世の中へ与えるインパクトが一段大きくなったと確かに言えましょう。しかし、1,000人→10,000人に1年で増えましたとなっても、フォロワー増えた万歳!となるのは良いのですが、先ほどの仮定に基けば世の中へ与えるインパクトはさほど変わりません。

ここで大事なのは”当の本人がそれを自覚できているかということ”にあります。確かにフォロワーの数が増えた、嬉しい、けど世の中へ与えるインパクトはさほど変わってないのだから、相応の謙虚さでないとぶっ叩かれると思っていれば、炎上することはないのでしょう。
しかし、ここで調子に乗って世の中のことを見下すような発言をすれば”調子に乗るんじゃねー!”と総スカンを喰らう羽目になりそうです。


ここまでの話は所詮例え話であって、リアルには同じ1万人フォロワーだとしても、その界隈のトップインフルエンサーのフォロワー数が1億人で数百万フォロワー数がそれなりにいるようだったら1万人はそこまで多くないという話になりますし、その界隈のトップインフルエンサーのフォロワー数が3万人というならば、1万人フォロワーはその界隈ではそれなりの影響力を持ちそうとか、話はもう少し複雑になると思います。

ただ言いたいこととしては「その数字にどれだけの意味があるのか」は、それを生かして何かしたい人にとっては、それなりに考えた方が良いことなんだろうなと思ったりするわけです。まぁ、余計なお世話ですが。


さて、②”言いたいことありきで、都合良い答えが出るようにデータを抽出している”の方ですが、これは”平均”という言葉を使うときによく出てくる時のことを考えればわかりやすいかと思います。

例えば、「10人クラスのあるテストの平均点が50点」ということにしましょう。
この場合の平均点は「10人のテストの点数を全て足し合わせた後に10で割る」ことで求まります。

しかし、これでこのクラスは”平凡な成績のクラス”と決めつけるのは危険です。なぜなら、平均点だけではこの10人の点数がどのような分布(ばらつき)になっているかがわからないからです。
何言ってるんだ?となりそうなので具体的に考えてみましょう。

クラスAもクラスBも10人クラスで平均点が50点とします。

クラスAの10人それぞれの点数は以下の通り、
{40, 43, 45, 48, 50, 50, 52, 55, 57, 60}
確かにこの結果だったら”このクラスは成績は平凡”とか言えそうです。

次にクラスBの10人それぞれの点数は以下の通りだとします
{0, 5, 10, 13, 20, 80, 87, 90, 95, 100}
この結果で”このクラスは成績は平凡”と言えるでしょうか?多分そうは思わずに”このクラスは頭いい人と悪い人の差が半端ない”と思うでしょう。

しかし、クラスAもクラスBも”平均点は50点”です。しかしその実態はクラスAとクラスBで大きく違いました。つまり何が言いたいかというと
”「平均値」にすることでテストの点数の「ばらつき」という情報が失われる”
ということでした。統計の数字とは便利なものです。それこそ”平均”というものはよく統計で出てくる代表的な数字と言えましょう。しかし、統計処理をすることで必ず何かしらの情報は失われます。そのことはきちんと認識しなければなりません。
そして、その情報が失われることを良いことに、その見えなくなる部分に何かしらの意図を含めることで、自分の都合の良い答えにすることもできてしまうのです。

例えば、人口1000万人の国にある某テレビ局が政権与党のことを悪く言いたいとします。そのために「政権与党の支持率は低い」という結果を導きたいとします。何かしらの支持率を出すためには国民全員に聞けば良いのですが、普通に考えて老若男女合わせて1000万人一人一人に聞いて回るのは非効率です。ITが発展したこの世の中でも少しばかり難しいと思います。

そこで普通は”標本抽出”を行います。
簡単に言えば”1000万人全員になんか聞いてられないから、ある程度の人数に聞いて調べよう”ということです。このある程度の人数というのは数学によって求めることができます。つまり、”これくらいの人数に聞けば1000万人全員に聞いた結果とそこまで差がない”という人数を求めることが出来るということです。

さて、この”標本抽出”においてとても大事なことがあります。それは、
”無作為に抽出する”
ということです。つまり、これは完全にランダムに選びましたということとほぼ同義です。ここがめっちゃ大事です。

ここで先ほどの某TV局は「政権与党の支持率は低い」という結果を導きたいので、この”標本抽出”の工程において、元から政権与党を支持してない人のリストをなんらかの方法で用意し、その人たちに聞いて回れば当然政権与党の支持率は低い」という結果を導けるというわけです。

そしてその国民たちに「政権与党の支持率は低い」という結果をTVで流せば、みんなが『その数字がどのように出されたかに注目しなければ』、すんなり信じてしまうでしょう。


今回は話簡単にするため、凄まじく誰でも見破れそうな話にしていますが、この世の中、統計による印象操作は意識的に無意識的に行われているものです。無意識的というのは、”しめしめ印象操作してやるぞ!”という気概がなくても、知識不足やら見たいものしか見たくないという心理やらのせいで、統計的に間違っているデータの選び方、処理の仕方をしてしまっている場合もあるということです。恐ろしい話ですね。

そんなわけで、この世の中には「数字」というものが飛び交っているわけですが、
『ちょっと待って、その「数字」になんの意味があるの?』
ということは常に意識に持っておかないと、何かの行動をする際に「数字」を根拠にする際は痛い目にあう原因になってしまいかねない、というお話でした。

なんか導入部分が短い割に説明がクソ長い文章になったなぁ。その割には結論部分が鬼短いし苦笑。まぁいいか。

ちゃんちゃん♪


<書き手の自己紹介>
201X年よりとある大学院でお天気の研究をしていました。今の奥さんである彼女と2020年に出会い、その彼女がカナダ🇨🇦に行くことが決まっていたので一緒に行くことを決意。それから2021年7月〜2023年5月まではVictoria🇨🇦、2023年5月からSan Jose🇺🇸に在住。2023年後期のYMS🇬🇧にも当選しており、そのうちイギリスにも行くかも。

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Canada在住のさかなばです♪時間ができたら、カナダのお菓子や小物を紹介したいなと思っています!