ブログ記事(vol.3)お薬の話と服用後の症状の変化

お薬の話 と 服用後の症状の変化 (vol.3)
2015年07月24日

前回の日記(vol.2)で「双極性障害」について
大まかではありますが概要をお伝えしました。
「双極性障害」が「気分の病気」であることだけでも
分かっていただければ幸いです。

前回に引き続き、ここでも「双極性障害」について
話を進めていきますが、今回は特に病気回復のために
服用する「薬」と「その効果」について、お話したい
と思っています。

・・・・・ ・・・・・ ・・・・・

気分の波のコントロールがきかなくなり、
ハイテンション と鬱状態 を交互に繰り返す
「双極性障害」。前回の日記にも書いた通り、
正式に認知されたのが割と最近だという問題に伴い、
お薬も開発が遅れています。ですので、処方される薬
の種類は限られています。詳しくは、専門書を読まれる
ことをおすすめしますが、私の場合は、

・ラミクタール   (別名「ラモトリギン」)

・シプラレックス (別名「レクサプロ」)

を服用していました。気分の波が安定した今
(2015年7月現在)でもまだ、服用は続けています。

精神科医の先生に相談に行った初日、
すぐに「双極性障害」と診断を受けてから、
まず、最少量 5mg の「ラミクタール」(英: Lamictal)
を朝、同じものの25mg を夜服用し始めました。

医者から「服用し始めても、最初の2週間は効果が
見られないので、やめずに服用し続けること 」と、
「その間に強い副作用が感じられたら、すぐに
電話連絡すること 」を伝えられました。
半信半疑ではあったものの、言われるままに
とりあえず「ラミクタール」を服用しつつ、
自分で見つけた「双極性障害者用のアプリ」
を使って、毎日寝る前に気分の変化などを
細かく記録付けするようにしました。

双極性障害を持つ人のために、
気分を記録できるアプリが世界中にあります。
私は現地語の無料アプリを使っていますが、
調べると日本にもあるようで、ある方は
「MentalRec」をご使用とのことでした。

手書きでメモする方もいらっしゃるようですが、
情報を医者に伝えたいときに楽に送信できたり、
気分の変化が自動的に グラフ化されたりして、
とてもわかりやすく、かつ使いやすいです。
オススメですので、一度お試しください


話がそれました。お薬の話に戻ります。
診察はお薬の効果を観察するために、
月に1度でしたので、最初の1ヶ月は
「ラミクタール」(5mg & 25mg)を服用して、
効いているか、副作用がないか を確認しました。


先生の話によると「ラミクタール」は最大で
(確か)500mgまで処方が可能だということで、
「かなりの少量なので、恐らく副作用は出ないはず」
ということでした。ありがたいことに、副作用は
全くありませんでしたが、代わりに飲んでるのが
効いているのかも自覚できませんでした。

その頃の記録を見ると、グラフ状は以前より波が
少しだけ落ち着いてきた様子でしたが、あまり
変化を感じませんでした。


2回目の診察で、先生にそうのように伝えると、
「では、少し薬を増やしてみましょう」
といわれ、「ラミクタール」の量が
  朝 5mg 10mg
  夜 25mg 50mg
の倍になりました。

「倍で副作用でないかな… 」なんていう、
不安な気持ちが拭えないまま、
「副作用が出たら、すぐに連絡してね。
それ以外でも、気になることが合ったら即、
電話してきなさい 」
と助言を受けました。
「ひとりで考えても無意味。すぐ相談。」
今考えても、とても的確なアドバイスだったと
思います。でも、そのときはそんな余裕もなく、
「大丈夫なのかなぁ 」
ってな感じでした。


お薬が倍になっても、また2週間は様子見で、
「副作用がくるかもしれない」ことに怯えながら、
時を過ごしていました。
そのときは、まだ布団から起き上がるのも「やっと」
という状態で、シャワーを浴びたり、ご飯をつくったり
ということは勿論ですが、なんと 歯磨 きすら億劫で億劫で…
本来「キレイ好き 」な私も、この時ばかりは辛かったです。


それでも、薬を飲み始めるそれ以前は、
文字通り「布団から起き上がれない」
状態が何週間もつづいていたので、
それに比べると回復していたと思います。

半信半疑のまま、薬が倍になって2週間目。
「あれっ…?」
という感じで、なんだか身体が動きます。
なんだかわからないけど、歯磨き も シャワーも、
そんなに億劫じゃないぞ…
そのうち、
「そういえば、あれ食べたいな」
と思い立ち、今までは炊飯器の中の
ごはんをお茶碗につぐだけでも、
ヒーヒー言ってたのに、なんだか自然と
自炊ができるようになりました。

自分でも「これ、薬の効果なのかな〜?」
って(まだ)完全には信じられなかったです。
でも、お薬は確実に効いてきていて、3回目の
受診の前になると「早く先生に会って、薬について
もっと詳しく聞いてみたいな」
と思うようになっていました。

寝床からトイレにも起き上がれないような
状態だったことを考えると、かなりの奇跡!
まだローテンション(軽い鬱状態)では
ありましたが、波はかなり安定していました。

3回目の診察で先生に状況を説明し、
「薬の効果はあったと思うのですが、まだ
現状では『低いところ』で安定している感じがする」
と伝えました。喜んでくれた先生は、
「では、最少量の『シプラレックス』という
抗うつ剤を飲んでみましょうか。」 と
いわれ、『シプラレックス』(英: Cipralex) の5mg
を処方してもらいました。


ここで気をつけなければならないのは、
「双極性障害」の患者の場合、気分を押し上げる
作用をもつ「抗うつ剤」を服用すると、
躁状態のハイテンションに陥る危険性がある点です。
「双極性障害」で躁状態が続くと、後には必ず
気分が落ちます。 更に、その落ち方が 薬を使って
無理に「上げていた分」、半端ない落ち方 です。
分かりやすく言うと、

  ● 鬱エピソード中「抗うつ剤」使用
       ↓
  ● 回復したように見えて、躁状態になる
       ↓
  ● 躁状態が続き、コントロール不可状態
       ↓
  ● 鬱エピソード到来で、服用前より悪化

…という感じです。
よく言われていることですが、
これが「双極性障害」と「うつ病」の大きな違いです。
知らぬままに「うつ病」だと思い込み、服用を続けると、
考えただけで恐ろしいです…


しかし、繰り返しになりますが「双極性障害」は
割と新しい精神病なので、現実には精神科や
心療内科の専門医でも診断を間違えるケースが
多数 あります。

かの私も心療内科の先生2名から、
「あなたは少し鬱なだけで、病気ではないし、
双極性障害でもない」と言われ、発見が遅れ
てしまい苦しい思いをしました。
そのうち一人は、40代で現役バリバリの先生で、
もうひとりは、経験の大変豊富な現役引退した
60代後半の先生でした。
どちらも一見、信頼できそうですし、診察のときは
とても親切でしたが、2人ともセラピストとして
「双極性障害」を本当のところは知らなかったんだと
今は思います。

私が今担当してもらっている精神科医は、
全国一だという腕のいい先生として有名で、
特にめずらしい「双極性障害」の専門家です。
そういう先生を見つけることも、回復には
必要不可欠だと思います。

お薬の話に戻ります。
「ラミクタール」(朝10mg・夜50mg)に加えて、
「シプラレックス」(朝のみ5mg)の服用を始めました。
先生には「この抗うつ剤は、処方できる量でも一番少ない
量だから、効き目がないかもしれないけど、副作用を確認
しながら、飲んでください」
と言われ、服用を始めました。

すると、2週間経たないうちに、またもや
「あれ?なんか気分がいいな…」
と感じるようになり、でも
「いや、ひょっとすると躁エピソード到来かも…」
と疑って、行動はゆっくりするようにして、
派手に動いたり、がんばったりしないように
自分に言い聞かせて過ごしていました。

「無理するのが一番、病気の敵」
というのをどこかのブログで読んだので、
日本の義務教育で叩き込まれていた
「日本人の『がんばる』精神」
を必死で投げ捨て、「できるけど、ここで止めよう!」
という感じで生活しました。

できる限り気をつけて「自分にストップをかける」。
これは日本人の私には思っている以上に難しかったです。
改めて「日本の美徳」である「頑張る 精神 」という名の
まさに「呪い」 から、少しずつ自分を解き放っていきました。

それが功をなしたのか、ぐんぐんと
気分が回復していくのが実感できました。
躁状態が戻ってこないように心の中で祈りながら、
 ● 朝は 薬、バナナジュース、太陽の光を浴びる
 ●  昼は 主にネット動画鑑賞(お笑い番組中心)
 ●  夜は 薬 & 眠くなくても22時には寝床に入る
を約5週間、繰り返していました。

そして4回目の診察の日。
今までとは違って、外に出るのも億劫でない自分
に気が付きつつ、久しぶりに会う先生には笑顔で挨拶が
できていることを本当に奇跡のように感じました。

先生に様子を伝えると、本当に喜んでくださり
「副作用のことや『躁エピソード』が戻ってきた
のではないか、という疑いのある中、きちんと
処方通りに服用した成果ですね。」
と、前向きなコメントをいただきました。
久しぶりに、心から幸せを感じた瞬間です。

お薬を飲むまでは、なるがままに気分の波に
飲まれてしまっていて、自分ではどうすることも
できずにいました
頭の中にあるのは「私って、なんでこうなの?!」
「なんでこんなに、弱いんだろう…」 と泣き、悩むばかり。
人に相談しても、誰一人として的確な
アドバイスをくれた人はいませんでした。

でも、それってよく考えたら、当たり前のこと。
「どうすることもできない自分」は当たり前だった。
「助けることができない友人・知人」も当たり前。
心療内科の先生にも分からなかったこと。
そんな病気、腕のいい精神科医に頼るしか方法がない
のは、本当に当たり前のことだった。

でも、長い長い年月、悩みに悩んで、
疲れ果てるまで、私は精神科に行こうとしなかった。
今思えば「もっと早めに行っとけば、こんな苦痛も… 」
って思ったりしますが、そんな過去だから
今ここにブログを書いている自分がいるような
気がします。

過去は変えられないけど、「今」は自分のものですからね
…って、こんなポジティブ思考でいられている自分すら、
当時は全く想像できなかったし、今でもまだ信じられないくらい
回復しました。
先生、お薬ありがとう

今現在、私が気をつけていることは、

  ● 薬は続けて服用すること
  ● 日本の美徳「がんばる」を意識的にやめること
  ● 気の向くままに、ゆっくり生活すること

です。これを続けていくうちに、普段の生活で
全く支障が出ないくらいに気分が安定して、
お薬を減らしてもよいという指示を受けたら
少しずつ減薬して、最終的には服用しなくても
いい状態までいきたいです。

例え治療に長い時間がかかっても、あの頃の苦痛を
考えれば、たいした苦労ではないですし、何よりも
病気の再発を防ぐためにも、今集中的にゆっくりと
時間をかけて回復できるように生活したいなと思います。

繰り返しになりますが、「双極性障害」と「うつ病」では
処方されるお薬の観点からも「別物」ですが、
「薬を飲まないと回復しない」という点では同じです。

「精神病」と聞くと、なんだか「心の病」だけのような気がして、
お薬では治らないようなイメージがあるかもしれませんが、
きちんと調べていくと、多くの場合は「脳の異常」からくる問題です。

「双極性障害」の「鬱エピソード」ならびに「うつ病」の場合は
脳内の「セロトニン」が異常に少ないということが主な原因です。
つまり、ちゃんとした(?)「身体の病気」でもあります 
なので、他の病気と同じように回復に「お薬」は欠かせません。


気分の波にのまれて、苦しんでいる方には、まずは
「双極性障害に詳しい専門医で、自分に合った精神科医を見つけること」
と、
「自分に合ったお薬を処方してもらい、指示された通りに服用すること」
の2点を強くおすすめしたいです。

・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


またもや長文になってしまいました 。
次の日記(vol.4)では、私がどうしてこの病気に
悩ませられるようになったかを踏まえつつ、
今も課題の「毒親」についてお話しようと思います。

では、さーちゃんの「異国の地で双極性障害になっちゃった」ブログを今後もどうぞよろしくお願いします。
ご意見、ご質問など コメント大歓迎です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?