ブログ記事(vol.2)「双極性障害」って何?

「双極性障害」って何? (vol.2)
2015年07月23日
日記の vol.1 で、自己紹介と主なブログ内容の説明を終えましたので
早速、このブログの中心的テーマである「双極性障害」について、
簡単にではありますが、わたしの実体験を交えつつお話しします。


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「双極性障害」(そうきょくせい・しょうがい)というのは、
精神病の中でも「気分障害」というカテゴリーに属しているそうで、
以前は「躁鬱病」(そううつ・びょう)ともよばれていた病気です。

「双極性障害」(英語では 'bipolar disorder' ) をひとことで言うと、
ハイになる状態の「躁状態」(躁エピソード)と 落ち込みの激しい
「鬱状態」(鬱エピソード)が交互に現れる病気で、
自分の気持ちや身体をコントロールできなくなる「気分の障害」です。


「双極性障害」の多くは、激しい「鬱状態」から始まるらしいです。
私も離婚をきっかけに、答えのない問題について考えすぎてしまい、
寝床からなかなか起き上がることができない状態でした。
当時は大学の博士課程に在籍しながら、非常勤講師をしていましたが、
学生の前ではなんとか踏ん張れても、授業が終わり、自分の部屋に
戻ったとたん独りで涙 することが多くなり、
授業のない日は家で死んだように寝ていました。
起きていても眠気はとれず、身体を起こすだけでも一苦労
食欲は普通でしたが、やがて人生初の不眠症に陥りました。

ひとりではどうにもできなくなって、精神科に行くことに
なったわけですが、そこに行くまでに多くの時間がかかって
しまいました。自分が精神病だと、気がつかなかったんです。


さて、話が横道にそれそうなので、一般的な話に戻します。
「双極性障害」には「鬱状態」や「躁状態」の他にも、
「混合状態」や「軽躁状態」などがあるらしいのですが、
詳しく知りたいという方は Wikipedia などでお調べください。

 参考用に Wikiのリンクを貼付けておきます。
  https://ja.wikipedia.org/wiki/双極性障害

他にも、他の病気との併存も考えられる場合があるらしい
そうなので、気になる方は「ものは試し」で一度、
精神科で受診なさることをおすすめします。


「双極性障害」には、いくつかの種類がありますが
大きく分けると、現在は以下の3つに分類されるそうです。

  ・ 双極 I 型 障害
  ・ 双極 II 型 障害
  ・ ラピッドサイクラー(急速交代型)

他にもエピソードの交代が上記より更に激しい
「ウルトラ・ラピッドサイクラー」
というものなど、学術的に見るといろいろな
病名があるようですが、ここでは割愛します。

詳しい説明は、専門書をお読みになるのを
おすすめしますが、大まかな内容であれば
ネットで調べればある程度は分かると思います。

 参考までに、ひとつリンク先を挙げておきます。
  http://www5f.biglobe.ne.jp/~mind/griffin/bipolar002.html#DIAGNOSIS

一般にはあまり知られていませんが、
「双極性障害」という病気が社会で認識されるように
なったのは、実はつい最近のことです。

歴史をさかのぼれば研究の歴史はかなり長いにもかかわらず、
医学会で正式に認識され「躁鬱病」という名がつくまでに
膨大な時間がかかってしまい、双極性障害だった患者の中には、
医者から「うつ病」と診断を受け、苦しい思いで人生を
過ごしていた人の数は数えきれないと言われています。

少なく見積もっても、100人に5人 はかかると
言われている「双極性障害」ですが、やはり著名人にも多く、
日本の作家では 夏目漱石、宮沢賢治、太宰治
アーティストでは、高島忠夫(俳優)、桂枝雀(落語家)、
岡田有希子(歌手) などが いらっしゃいます。

アメリカでは現在だけでも例えば、大ヒット映画
「レジェンド・オブ・ゾロ」でアントニオ・バンデラス
の相手役だった キャサリン・ゼダ・ジョーンズ などが
「双極性障害で入院していた」と公表しています。

さて、症状の話に戻ります。
先ほど「双極性障害」が割と最近、認知されてきた 
「新しめの病気」であることは述べました。
わたしの場合は、その中でも更に新型と言われている
「ラピッドサイクラー」(英: rapid cycler) です。

「ラピッドサイクラー」というのは、日本語に訳すと
「急速交代型」で、その名の通り急速に「躁」と「鬱」
のエピソードが交互に現れます。

「ラピッドサイクラー」とは、1年のうちに4回以上
大きな 気分の波 があることをいいます。
私の場合は1〜2ヶ月に一度は気分の落ち込みが
激しかったので医者からこの診断を受けました。

それ以上に頻度が高い場合(例: 週ごとで気分の波が
大きく変わったり、2〜3日外出すると次の日は
ダウンして起き上がれない、というような場合)は
「ウルトラ・ラピッドサイクラー」(超急速型)という
らしいです。


しかし、どんな症状であっても、「双極性障害」
と専門の精神科医から診断を受けた場合は、
指示に従って、お薬は必ず服用してください。

声を大にして 言いますが、「双極性障害」は
お薬なくして治るようなものではありません。

更に、お薬を服用しはじめても、はじめの2週間は
変化がないのが普通ですので、効果がなくても
最低でも3週間は様子を見た方が無難です。
その場合、もし酷い副作用が出た場合は、
すぐに服用をやめて、専門医に相談してください。
副作用がひどいのに、同じ薬を引き続き服用するよう
強行するような精神科医の場合は、すぐに別の医者を
探してください。自分に合った、腕のいい先生に
診てもらうことも、回復するかどうか重要な要素の
ひとつです!!


初めて精神科医に行くことになった時、私の心境は正直のところ、

 「精神病って、頭がおかしい人がなる病気でしょ?」
 「私は狂人じゃないし、誰も傷つけていない!」
 (↑ なぜか「精神病患者=狂人=犯罪者的な立場」と思い込んでいた)
 「薬の服用で頭がおかしくなるんじゃないの?」
 「うつは心の病気なんだから、薬では治らないでしょ!」
 「薬に頼るのは嫌だな」

などなど、なんとも「偏見」で頭がいっぱいでした。
なので、できるだけ薬なしで調子を戻したい自分がいて、
「精神病かもしれない」と疑いたくない自分がいたと思います。
大げさにいえば、「精神病患者」=「人生の終わり」みたいな。

後になってですが、昔お世話になったことのある
ある外国人の先生の言葉を思い出しました。

ある日の語学学校で、「偏見」というテーマで
多種多様の外国人と話し合う授業がありました。
そこで、ある生徒が「この国では外国人への偏見が
垣間見られて、不快だ」と発言したことをきっかけに、
先生が言ったひとことは今でも 私の心 に刻まれています。
 
  「偏見というのは、無知から来るものだ。」

「知らない」から、頭の中にある「イメージ」に頼るほかない。
そのイメージが悪いと、差別や排斥の精神を生む。
恐ろしいことですが、それは人種差別だけではなく、
病気を持つ患者や、精神障害者、身体障害者、同性愛者や
貧困者の差別につながり、歴史を振り返れば分かることですが、
偏った「イメージ」で多くの人が命を落としたり、
たいへんな苦難の中で生活しています。

そういう私も、差別をする人々と同じように
「精神病」への悪いイメージから「狂人」と連想し、
薬にもかなりの抵抗がありました。

自分でも手に負えないほど、
日々の生活に大きな支障をきたすほどまでに症状が悪化して
はじめて、精神科の門をたたく決意をしました。
それでも半信半疑で、心理療法士(患者話を聞いて、相談にのる
専門家。口頭のみのセラピーを行う)の2人の先生から
「あなたは病気じゃないわ」
と言われたのもあり、なかなか精神科医(薬物療法が専門)
を信じることができませんでした。

薬を服用せずに、何度も何度もひどい状態を繰り返し、
薬を飲み始める決意をしました。この時を振り返ると、
信頼できる精神科医に巡り会えたのが大きかったと
思います。本当に感謝です。

精神科にかかわらず、内科や耳鼻科、歯医者などをはじめ
酷い医者にかかってきた身からアドバイスさせていただくと、
「いい医者」を見つけるときのポイントは

   あなたの話を真剣に聞いてくれているかどうか
   しっかり時間を取って診察してくれているかどうか

だと思います。
歯なんて削られたら戻ってこない、「一生もの」なので
そういう場合は、特に注意が必要ですね。
ひどい医者にかかって、病気が長引いたり、
受診前より悪化した例は数が知れないと思います。 
お気をつけ下さい。

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なんだか予定していたより、 長くなってしまいました
次の日記では、「お薬の話と服用後の症状の変化」について
お話ししたいと思います。

引き続き、さーちゃんの「異国の地で双極性になっちゃった」ブログを
よろしくお願いします。

ご質問、コメントは大歓迎です。

(2015年著)

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