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多様性が活きるチームを考える

最近、とある大学のゼミでのエピソードを聞きました。多様性を活かすチームという視点で、面白いなと思ったので考えたことの記録です。
(又聞きした話なので、実際と違う部分もあると思います)

オンラインショップの企画をする課題でチーム分けをした時に下記のようなチーム分けがされました。

  • ①日本人が6~7割で他は留学生のチーム

  • ②日本人が2割で他は留学生のチーム(それぞれ、国も違う)

①の場合は留学生と日本人とお互いに気を遣い合いすぎてコミュニケーションが難しく、日本人同士も含めてコミュニケーションがうまくいかなかったそうです。
②の場合は、お互い言葉が理解しきれないながらもフラットな関係で、それぞれの国の文化やアイデアを伝え合い面白い企画が上がってきたそう。

多様性からうまれた課題

言わずもがなですが、「多様性」は企業や組織のイノベーションの発現のために重要な要素です。
紹介したゼミのように、異文化でのコミュニケーションが盛り上がり、素晴らしいアイデアが生まれることを期待している組織は数多くあると思います。
けれど、属性が近い人が過半数を占めていると、意図せずとも同調的な雰囲気を感じ取ってお互いに忖度してしまいます。 属性のバランスが均等だと、コミュニケーションが活発になる可能性が比較的高くなるのも想像に難くありません。けれど、属性がバラバラであるほど、統率は難しくなるものです。
実際、多様化することでコミュニケーションコストがかかり本来期待していたようなイノベーションにはつながっていない状況が多くあり、「多様性重視」からの揺り戻しが起こっているという噂も耳にします。

効率と創造性の両立

最近読んだ記事と、今回の大学ゼミでの話で繋がるコトがあったので紹介します。

多様な意見を取り入れる、段階を考える

②のような、一見崩壊しそうなほど多様な属性がいるチームの成功した理由には、「アイデア出しのフェーズがマッチしていた」というのが理由の一つとしてあげられるのではと感じました。

チームで文化的多様性を確保すべし、と主張する人がいるが、認識の多様性が及ぼす影響や解釈についての検討はされていない。

チーム力学はプロジェクトの開始から終了まで始終変化することが明らかなのに、認識の多様性は変わらないとみなされがち。

プロジェクトの各段階で設定されたマイルストーンごとに多様性が及ぼす影響が変わる。

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2020年6月号)
効率性と創造性をいかに両立させるか 目に見えない企業文化を測る方法
マシュー・コリトー、アミル・ゴールドバーグ、サミアB.スリバスタバ(高橋由香里/訳)

最近読んだ論文「目に見えない企業文化を測る方法」には下記のように語られています。

初期段階:目先の問題を定義している場合は障害になりやすい
中間段階:チームが新しいアイデアを取り入れるときは成功する
終盤段階:実行に向けて本腰を入れる時は障害になる

大学のゼミの場面で、グローバルな人選がうまく活かされたのは、チームで決めるべき内容が中間段階にあたるアイデア出しのフェーズだったからだとも言えそうです。
ゼミの課題では、初期段階である目的「何をつくるのか」は決められていました。それをどう表現するべきかのアイデアを求めるシーンで、多様な意見が活かされたのではと想像しています。

文化への順応性が高いメンバーをアサインする

一方で、①のような過半数は同じ属性を持っている中で、違う属性を持ったメンバーがどうしたら活躍できるのか。
そのヒントも、記事にはこう記されていました。

採用時に重視されるのはすでに組織に存在する価値観、規範、行動を身につけているかどうかだが、「文化への順応性」時間とともに変わる組織の文化的規範を素早く読み取り適合する能力が重要。

目まぐるしく変化するダイナミックな環境下で事業を展開する組織では、文化的規範が往往にして変化し、進化する。

組織に定着し、献身的に働く従業員を育てたい企業は、現在の従業員と類似の価値観を持つ人材を中心に採用すべきことがわかる。

世界観が異なり、さまざまなアイデアや視点を持つ人材は、組織に創造性とイノベーションをもたらすことが多い。しかし、正当であることが周囲に認められづらい。

順応者(企業の変わりやすい文化に素早く順応できる人材)と、文化に対する異分子を組み合わせて採用することが効果的な採用戦略。

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2020年6月号)
効率性と創造性をいかに両立させるか 目に見えない企業文化を測る方法
マシュー・コリトー、アミル・ゴールドバーグ、サミアB.スリバスタバ(高橋由香里/訳)

異分子ともいえる少数派の属性をもつメンバーが活躍できるようにするには、まずは異分子であることを評価してくれて、異分子であることが安心できる環境づくりが必要だと書いてありました。
人と異なる意見を面白がるような風潮がある部署やチームに配属すること。そしてさらに、橋渡しを役割とする、変化への順応性の高いメンバーが近くにいることが重要だと書かれています。

理想論ではあるし、なかなかそのような人材をチームに巻き込むことは難しいことのように思えますが、多様な視点を取り入れる環境づくりとして、覚えておきたいことです。

多様な意見を取り入れるために意識したいこと

わたしも職場やプライベートのシーンでも、考えが全く違う人や異文化圏の方がいるチームで、コミュニケーションがうまくいかずにグループの活動自体が停滞してしまう状況に何度か遭遇してきました。
意識していてもなかなか難しい課題ではありますが、成功の秘訣として

  • 多様な意見を求める場面を考える

  • 活躍できているという安心感が重要

  • 橋渡し役が必要

ということを覚えておきたいなと思いました。

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