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2020年、大切な君と出会えて良かった

大切な君へ

2020年2月のこと。出会いの場はライター勉強会だったね。

君は主催者側、僕は参加者側。参加者同士の交流が多い会で、本来なら交わるはずのなかったふたり。

きっかけは、インタビューのワークショップで僕が1人余ったこと。
せっかくならと、主催者側だった君に僕は声を掛けたんだ。

インタビューのお題は「好きな〇〇について」。

好きな本は人となりを表す、と信じている僕は、君に「好きな本について教えてください」と切り出した。

そのとき、君の眼の輝きが変わったことを覚えている。

「いっぱいあるなぁ、どうしましょう」と楽しそうに悩んでいた君。
好きな作家として、辻村深月を挙げた君。
悩んだ末に『ぼくのメジャースプーン』と『スロウハイツの神様』を挙げた君。

眼を輝かせて、「人の弱いところを丁寧に掬い上げる描写が好きなんです」と語ってくれた。

そんな風に紹介した君が、とっても素敵に思えたんだ。

その後、君は「じゃあ、お返しに!あなたの好きな本はなんですか?」と訊いてくれた。

「えぇ、どうしようかな」と、楽しみつつ悩んだ僕。
好きな作家として、恩田陸と上橋菜穂子を挙げた僕。
悩んだ末に『麦の海に沈む果実』と『獣の奏者』を挙げた僕。

「物語に没入できる感覚があって、小説好きで良かったと思わせてくれる作品なんです」と語った僕も、眼が輝いていたと思う。

本好きとして、かなりの数を読んでいるふたり。割とメジャーな作品を挙げたにもかかわらず、不思議とお互いが挙げた小説は読んでいなかった。

「そんな紹介されたら読みたくなっちゃうじゃないですか!」
「本屋よってから帰ります!」

好きな本についてこんなに語れる人がいるのか、と嬉しくなった。
好きな本について語るって、こんなに楽しいのかと嬉しくなった。

それが、僕と君との出会いだった。

*****

ここからはあっという間だったね。

勧められた小説を読んでみたら、とっても素晴らしくて。感想を送りたくなって、長文のメッセージを送った。

そうしたら、「私も読み終わったところなんです!」と、君からも長文の感想メッセージが来たんだ。

「あの小説がお好きだったら、これも読んでほしいです!」
「僕もこの本読んでほしいです!」

ふたりの間で、本の貸し借りが始まるのは自然なことだった。

君が勧めてくれる本はどれも魅力的で。
君から送られてくる感想はどれも熱がこもっていて。

会うたびに、話すたびに、君の感性を素敵に感じていた。

僕はどんどん君に惹かれていった。

本の貸し借りで始まったふたりの時間は、デートと呼ばれるものに変わっていく。

そして2020年5月28日。君と正式なお付き合いが始まったんだ。

*****

あれから半年以上。色んなことがあったね。

僕が体調を崩してしまったときは、とても心配をかけた。
君のしんどい時期とも重なって、何かが上手くいかない時期もあったよね。

別れた方が良いんじゃないかって悩んだこともあった。

実際、別れ話になったこともある。

それでも、こうしてふたりでいられるのは、君のおかげなんだ。

「あなたはあなたのままで良いんだよ」

君は、繰り返し言ってくれた。
君は、僕の存在をまるごと受け止めてくれた。

弱っているとき、無条件に認められるだけで、どれだけ楽になるだろう。
このままでも良いんだと思えるだけで、どれだけ楽になるだろう。

君の言葉に、君の存在に、何度救われたか分からない。

本当にありがとう。

君のその優しさに触れるたび、君を好きになる。
君の隣を歩き続けたいと、強く願う。

2020年、大切な君と出会えて良かった。


このnoteは「書くとともに生きる」ひとたちのためのコミュニティ『sentence』 のアドベントカレンダー「2020年の出会い by sentence Advent Calendar 2020」の24日目の記事です。

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