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泥中に咲く一輪の白い花(43) 最終回

  七五三

5年後、5歳になろうかという飛鳥を連れて、神田明神へと行く。七五三のお参り。
【飛鳥が、病気になりません様に、独り立ちできるまで幸太郎さんが元気でいてくれます様に、、、それが叶うなら、私はどうなっても構いませんから、、、】
そう願う桜子の願いに答える様に、何処からか声がしてきた。
『桜子、大丈夫だよ。3人共、元気で暮らせるよ。なんせ、もう私があんたたちの傍には行かないからね。』
【え、、、桜子?、、、ここに居たの?、、、、、でも前に来た時、何で出てくれなかったの?】
『うん、隣に良い人、居たみたいだし、、、あんた、惚れないって決めてたみたいだし、、、、私が出ちゃまた、誰かを死なせるからね、、、』
【……そうだったの?、、、】
『うん、実はね、、、、パパはちょっと前から、桜子と一緒に死のうと考えてたんだ。ママに見られて、桜子を連れて逃げようとした所を、一人で行かせたのさ、、、
 竜崎さんと一緒だった時はさ、、、薬漬けになりそうだったし、竜崎さんはもう内臓破裂寸前だったから、、、、
 帯刀は、あんたを殺すまで 甚振いたぶ ろうと考え始めてたのさ、、、だから、、、
 ここにはさぁ、将門さんって言う良い男がいるって聞いていたから、私だけここで降りたって訳。だから、もうあんたは誰も死なせないよ。安心しな。』
【……そう、、、、、】
『飛鳥が大きくなったら、またおいで。見てあげるから。』
【うん、わかった。毎年来る。必ず来る。そして、、、自慢する。】
『いいねぇ、、楽しみに待ってるよ。桜子、、、またな。』

「ん?、、ママ、どうした?、、、何、笑ってんの?」幸太郎が不思議そうに桜子の顔を覗く。
「ううん、、何でもない。さ、何か食べに行きましょ。飛鳥、何が良い?」
「う~んとねぇ、、、マックっ。」
「……他のものにしなさい。マックはいつでも行けるでしょ。」
「ハア~イ。」
「洋食屋さんで、オムライスとナポリタンでもどうですか?」と幸太郎。
「いいねぇ、、そこに決定。さ、行きましょう。」

誰かの笑顔が、生きる印。

泥中に咲く一輪の白い花

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