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日本数学会で札幌に行った話(その3)

9月12日から16日まで、日本数学会に参加するために札幌へ行ってきました。
今回は第3回、三日目の話です。





3日目(9月14日)

7時半起床。前日に食べなかったサンドイッチを食べてホテルを出発。

ほとんど迷うことなく会場周辺まで辿り着けた。が、やはり最後のとどめを指すのが難しい。
キャンパスに入ったあたりで声をかけてくれた(おそらく北大生と思われる)方が会場入り口まで連れて行ってくれた。
その方は自転車を押していて、冬は流石に自転車には乗らないとのことだった。
留学生には冬にも平気で自転車を飛ばす人がいるらしく、バイタリティが違いますよねと言う話をした。

この日は統計数学のセッションは午前だけだった。
この日までが確率論関係の話題で、専門的かつスライドの内容がわからないのでほとんど理解できなかった。
とはいえ、15分の一般講演は時間も限られているし、見えていても理解が大変なそうなので、雰囲気だけ掴むのが得策なのだろう。

セッションが終わってさあどうするかと歩いていると、同じく発表で来ていた大学の同期にたまたま会った。
ラーメンでも食べるかと言うことで近くのラーメン屋へ。
店主曰く、鶏出汁が美味いとのことで(味噌ではなく)それにした。確かに美味かった。
この同級生は指導教員に連れられて色々な方と交流しているそうで、そのような話を聞くとやはり羨ましい気持ちになる。

友人と別れ、一旦ホテルへ戻ることにした。
いくつかタスクがあったので、ホテルの下のカフェで2時間ほど作業をした。
我ながら良いホテルを選んだもので、駅直結な上に下にはカフェも居酒屋もあって視覚障害者向けで会った。

時間的な余裕があるうちにお土産でも仕入れるかと思い立って、大通にある丸井今井札幌本店へ向かうことにした。
Googleマップによれば真っ直ぐ南へ向かえば着くとのことで地上を歩き始めた。
途中方向があっているかを人に尋ねたところ、「南1西2だからそっちであってるよ」と教えてくれた。
札幌の住所の(デカルト座標的な)利用法をこの時初めて知ったのだが、ワンブロックがとてつもなくでかいのでその後もなんとなくしか役に立たなかった。

歩いている途中、再び親切な方が声をかけてくれた。
この方はこの旅で話た人の中で一番印象に残っている。
元々東京の会社で働いていたが仕事をリストラされ、今はきのこ取りを生業に個人事業主として事業を展開しているらしい。
僕が札幌に滞在する残りの二日間は日高の山に入ってしまうとのことで、タイミングが合えばきのこをご馳走したかったと言ってくれた。
山に入ると言うことはヒグマにも遭遇しそうだなと思って聞いてみると、襲われたことはないけど威嚇されたことはあると言っていた。
この日は午前中から労基へ赴いたりして、山へ入る前に事務的なことを済ませていたそうだ。
別れ際、「生きてりゃまたどこかで会えるでしょう」と言ってくれたことがなんとも侘しかった。ぜひきのこをいただきながらもっと色々な話をしたかった。

そんな話をしながら丸井今井のサービスカウンターまで案内していただいた。この方とはここで別れて店員さんに買い物のお手伝いを依頼することにした。
ここでまさかの事実が発覚する。

丸井今井では障害者の案内としては、サービス介助士によるアテンドが基本だそうだ。
このサービスは一人一日につき2時間利用でき、利用するためには1000円がかかる。
前日までに予約をすればこの1000円はかからず無料になるのだが、またもやコロナの関係で担当者が少ないそうで予約しないと利用が難しい場合もあるとのことだった。
詳しくはこちらのページを参照。

そうとは知らずやってきてしまったのだが、お土産を購入したい旨を伝えたところ、お土産品がまとまっているきたキッチンまでサービスカウンターの方が案内してくれて、そこから先はきたキッチンの店員さんが案内をしてくれると言う形で調整をして下さった、ありがたい!

ということでなんとかお土産を購入できた。
実はどうしてもこの丸井今井で購入しておきたかった大沼ビールと言うクラフトビールだけはこのきたキッチンには置いておらず、専門店街に行かなければ買えなかったのだが、きたキッチンの店員さんがご親切にそこも含めて案内をして下さった。これは本当にありがたかった。

帰りは地下道を通ってホテルまで戻った。札幌の地下道は点字ブロックもしっかり敷設されているし、何より人が一定数必ずいるので、地上よりも歩きやすいかもしれない。
広い道路の中央分離帯に取り残される心配もないし。

ホテルに戻ってから昨日入れなかったお店に今日こそ行きたいと思い電話をした。
すでにかなり予約が入っているようだったが、なんとか18時半から20時までの予約が取れた。
と言うことで一休みしてから向かってみた。

後から気づいたことなのだが、このお店に来るのはおそらく2回目だった。
去年、パートナーの家族と旅行に来た際に訪れていたのだが、その時は時短営業中で人が少なく、現在の混み具合をみて同じ店だとは到底気づかなかった。
まさに大繁盛で、通されたカウンター席から一つ開けて座っていた二人組のお客さんはだいぶ出来上がっているご様子だった。
このお客さんたちの会話を横耳で聞いていると、どうやら数学会で来ている人たちらしかった。
途中まではとても楽しそうに飲んでいらしたのだが、「ラストオーダーです」と告げられたあたりから雲行きが怪しくなってきた。
どうやらこの二人組は別の店舗に行ったのだが入れず、「向こうの店舗なら落ち着いて飲めると思います」と言う紹介を受けてやってきたらしい。
それなのにラストオーダーがこんなに早いなんて聞いていないということで、かなりイライラされていた。
そして会計のタイミングがやってくると支払いを済ませた後で、これこれこういう風に聞いてきたのに契約違反だ、と店員さんにかなりの腱膜で捲し立て始めた。
外では予約のお客さんも待っているので店員さんたちも困っているご様子だった。
話しかけてみようかなとも思ったが、こう言う時に限って勇気が出ない性格で見守ることしかできなかった。
二人はしばらく席に居座っていたのだが、途中で渋々出て行ったので僕もお店もなんとかトラブルに巻き込まれずに済んだ。
その後のカウンターの中では、「それ、契約違反だよ」が流行語になっていて、この後しばらくお店のネタにされたことは想像に難くない。

ということで、とんでも数学者の一件を横目にジンギスカンとホタテ、そしてクラシックや馬鈴薯を楽しんだ。
ホテルに戻り、「明日はどうなるかなあ、でもまあどうにかなるだろう」と言う気持ちで眠りについたのであった。

(続く)

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