『キリエのうた』/映画感想文
世界から雑音が消えてしまえばいいのに。
大事な人だけを大切にして、
好きなことだけをして生きていけたらいいのに。
自分自身だけで選ぶことができる人生だったら、
自分はどんな風に生きてきただろう。
そして、この映画に出てくる人たちはどんな風に生きるだろう。
そんな空想も許さないスピードで、
現実は続いていく。
津波で家族を失った路花。
津波で恋人を失った夏彦。
家族も名前も捨てて生きる真緒里。
世界の人たちの言葉が、現実を示す。
けれど、
雑音だと思っていたものが、
後から思えば希望だってこともある。
誰かにとっての雑音が、
その人にとっての希望だったりもする。
どっちがウラでどっちがオモテかも分からないくらいぐちゃぐちゃでも、それでも、
生きていくしかない。
そんな風に感じた映画だった。
歌がとても良かった。
アイナ・ジ・エンドさん。
知らなかったけど、
元パンクバンドのボーカルさんだと知って驚く。
内から絞り出すような泣き叫ぶような歌い声が、
心に響く。
映画館で聞けて良かったな。
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