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トレイルランを通じた「新しい旅の創造」を―ITJ BASE Shuzenji(株式会社ソトエ 代表 千葉達雄)

伊豆半島のアウトドアツーリズム旅の拠点として、伊豆修善寺温泉でITJ BASE Shuzenjiを運営する株式会社ソトエ代表の千葉達雄さん。アウトドアツーリズムとの出会いや、トレイルラン競技者から見た伊豆半島の魅力などについてお話を伺いました。

ITJ BASE Shuzenjiとは

修善寺温泉街の中心地。温泉街のシンボル修禅寺のすぐ隣に建つITJ BASE Shuzenjiは、築48年の建物をリノベーションしたスタイリッシュな外観が特徴的です。千葉さんが代表を務める株式会社ソトエが、アウトドアツーリズムをコンセプトにしたカフェ兼ゲストハウスとして、2021年12月にオープンしました。

コロナ禍の波はアウトドアスポーツの業界にも大きな影響を与え、主催するトレイルレースが開催できなくなりました。そんな折、業界のために、地域のために、何かはじめられることはないか、という思いから修善寺を中心としたアウトドアツーリズムの拠点作りに着手。
「修善寺の既存の顧客を取り合うのではなく、目指すのはあくまでも新しい顧客の創造」と、千葉さんは話します。「新しい伊豆の旅の創造」をコンセプトにしたトレイルランニングレース・伊豆トレイルジャーニー(ITJ)の初めての施設として、伊豆半島のアウトドアスポーツ、自転車の旅の拠点を目指すのはもちろんのこと、これをきっかけに新しいことができる拠点として、波及効果が生まれてほしい、と。

ワーケーションスペース
カプセルタイプの寝室

ゲストハウスの1階にはシャワーとカフェ、2階にはワーケションスペースがあり、宿泊者は自由に利用が可能。カフェでは、戸田にあるホステル・焙煎所「Tagore Harbor Hostel」で焙煎された豆を使用したコーヒーや、修善寺を代表するクラフトビール「ベアードビール」を楽しむことができます。
3階には、カプセルタイプの部屋を用意。木の心地よい香りにつつまれながら、ゆったりと過ごすことができます。

アウトドア×ツーリズムへの転機

千葉さんは、「現在の活動の下地として、自分が選手としてアウトドアスポーツを経験してきたことが大きい」と話します。
大学時代までは陸上競技の選手として活躍。その後、フリークライミングやダイビングスポーツ、マウンテンバイクなど、30代までには一通りのアウトドアスポーツを経験したとのこと。
沼津観光協会在籍時には、松崎町で開催された「伊豆アドベンチャーレース」に参加。未踏の伊豆半島の洞窟や滝などを巡る中で、土地の魅力を再発見したことが転換期となりました。しかし、「伊豆アドベンチャーレース」は惜しくも2005年に終了してしまいます。
そんな中、2007年に箱根で開催された「THENORTHFACEエンデュランスランOSJハコネ50K」に参加。国立公園を使ったトレイルランレースでは、箱根湯本駅を出発し、彫刻の森美術館を目指す。観光施設等を経由したコースを体感し、単なるスポーツやアウトドアの枠にはおさまらない、トレイルランとツーリズムの相性の良さを実感しました。
「同様のレースを伊豆で開催できたら、もっと良いものがきるのではないか」「伊豆アドベンチャーレースを復活できないか」、という思いも後押しし、「伊豆トレイルジャーニー」(※)の構想を開始しました。

「伊豆半島」という地域が持つ強み

アウトドアスポーツにおける伊豆半島の強みは、「コンパクトな地形」と「雪が降らない」こと。「小さいエリアの中に多様な自然があふれ、多様なアクティビティができる土地は少ない」と千葉さんは話します。
マウンテンバイクやトレイルランは新潟や長野で開催されることが多く、11月頃から、積雪で物理的に競技ができなくなるため、競技者は一気に静岡に流れてきます。首都圏からのアクセスも良好で、伊豆半島はアウトドアスポーツにぴったりの土地だと、自身のトレイルレースへの参加経験を踏まえたリアルな視点から、地域の魅力を教えてくださいました。

事業を次のステップへ育てていくためには、官民連携が必要不可欠だと、千葉さんは話します。「行政も民間もお互い知らない部分がまだまだ多い。何を持って地域活性化なのかという共通指標を持った上で、お互い歩み寄りながら伴走していくような関係がつくれたらいい」と。利益追求のためではなく、地域の発展のために活動したいという、熱い想いが伝わってきます。
「伊豆トレイルジャーニー」は、今年も12月に開催予定です。

(※)伊豆トレイルジャーニー
2013年に始まったトレイルランニングレース。松崎町から伊豆修善寺までの約70kmの山道を駆け抜ける。2021年の大会では、約1400人が参加。「環境」と「人」に寄り添った持続可能な発展を運営方針として掲げており、プラスチックレスやペーパレス等の環境保護に寄り添った取組も実施。

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