フォレストページは進化していた。

前回の投稿で、古の夢小説好き(ドリーマー)なら誰もが知っている「フォレストページ」というホームページ作成サービスについて紹介した。

この記事を書き上げた後、サイトの設定をいじっていたら、広告が出た。

その名も、「フォレストページ+(プラス)」

紹介文にある通り、スマホに対応している。つまり、先に述べた「フォレストページ」は未だにゼロ年代と変わらずガラケー対応優先なのだ。多くの企業がガラケー対応ページを廃止している中、フォレストは「ガラケーサイト作成」を棄てることなく、スマホとPC版を「プラス」としてサービス提供していた。

正直勢い余ってフォレストに登録してみたものの、「どれもデザインも微妙だし、そもそもガラケーサイト見づらい」というのは変わらない感想だったので、もう早々にプラスの方で新規アカウントを作成、フォレストでのサイトは中止した。すまんなフォレスト(元祖)、私の作業・管理ツールの半分近くはiPhoneなのだ…。

「でもテンプレのあるスマホ対応サイト作成サービスなんて他にもあるじゃん」と思ったそこのあなた。当方の本来の目的は「夢小説」である。JimboやらWordPressに名前変換機能なんかつけてる時間があったら、2000字の甘々小説が書けるじゃないか!フォレストプラスは夢小説機能が標準装備である。

加えて、フォレストユーザーにはお馴染みの「章機能」「ページ機能」もついている。これは小説を投稿する際、章やページに分けて投稿・更新できるという機能であり、書き手からすると「完成してなくても投稿できる」「連載しているというモチベを持てる」といったメリットがあるのだが、何よりも、読み手の「章やページごとの更新を日々楽しみにしてケータイやPCを開く」というあのルーチン的ワクワク感が魅力であったろう。当時は更新されても通知なんかないので、自らサイトを巡回し、そのルートまで決めていたものだった。学生だから読める時間が決まっていたりして、サイトチェックはほぼ習慣となっていた。
「プラス」でもその機能は継承されており、いっぺんに投稿するのには向いていない。私は「小説家になろう」などのサイトを利用したことがないのだが、たぶんあれに近いものだと思う。ちなみに通知に関しては、登録だけして、お気に入りのサイトの「読者になる」という機能で代替できるようである。

最高に郷愁を誘うのは、「キリ番機能」が存在していたことだ。キリ番とは、ホームページに設置してあるカウンターの特定の数字(キリのいい数字や連番など)が表示された際、訪問者に何らかの特典が与えられる風習である。キリ番をとったらイラストを貰えたり特殊な文章が見れたりして、訪問者にとってはラッキーサプライズだったが、管理人からしてみれば、訪問者が存在しているということを実感できるシステムであった。コメント機能が実装されてからは、訪問者も気軽にコメント出来て、まだ見ている人がいることを実感できるようになったが、それ以前の掲示板時代のことを考えると、比較的最近のことのように思える。なお、キリ番で管理人がリクエストを受け付けている場合、プレゼントされる作品は「キリリク」(キリ番リクエストの略)と呼ばれる。初めて訪問したホームページでキリ番を踏んでしまうと、しかもそのサイトが特に自分の好みでない場合、気まずかったりした。管理人が元気なサイトなどは、キリ番を踏んだら絶対報告してほしいという意味で「踏み逃げ禁止」のルールを課しているサイトもあるくらいだった。もちろん踏み逃げしたところで特定のしようもないわけだが……それくらい活発な制度だったのである。

私はフォレストを使ったことがなかったので、かつてキリ番に関しては自己申告スタイルのサイトを運営していたのだが、「プラス」においては特定の番号を指定して、キリ番が発動した際表示される文章やページなどを指定できる。ここにリクエスト方法や、ここでしか見られない作品を置いてもいいだろう。いやあ、とにかく懐かしい。

「プラス」ではイラストを掲載するのも簡単で、アルバム機能のようなもので管理できるようだった。かつてガラケーでは表示不可能だった解像度の絵が上げられるようになったおかげで、イラストも描く身としては、いずれこちらの機能にもお世話になるかもしれない。

また、デザインテンプレートも現在180種近くあり、HTMLやCSSが分かれば他のサイトと差別化することも可能だ。いじれる範囲もかなり簡単な仕組みなので、フリー素材を引っ張ってくれば看板代わりにはなると思う。私のサイトはジャンルに近い感じの色合いにしてみた。凝るとキリがないからね…!

フォレストを例に挙げて昔ながらのサイトの紹介をしたが、正直、私のような人間には、Twitterやpixivは流れが速すぎる。例えるなら家賃が高いがそんなに広くなくて常に騒音が聞こえる都会のマンションに住んでいるようなもので、実際には夢小説書きは孤独ゆえそんなに知り合いもいないのだから、文字数制限もランキングもない広い戸建で他人の目を機にすることなく悠々自適な生活の方が性に合っているのだ。なので、「フォレストページプラス」の存在は非常にありがたかった。ホモネタと無差別リツイートばかりの世界で病んでいた私は、今人里離れた新たな邸宅で落ち着いたドリー夢ライフを送っている。

しかも、フォレストプラスは月額540円で広告も消せるし検索ワードの登録も10件から50件に増やすことができる。よろずサイト(様々なジャンルを扱っているサイトのこと)気味な夢小説ユーザーにはありがたい機能だ。広告消しは訪問者に見やすくするための配慮も勿論あるが、自分の家を整備したい管理人側の欲求を満たすところが多いので、あくまで自分のために、検討している。

また、私はまだその真価を理解していないのだが、LINEやメッセンジャーのトークルームを再現した「ストーリートーク機能」なるものも、課金することで制限がなくなるので、こちらも気になっている。ストーリートーク無制限は、広告なしとURL変更と並んで課金の売り文句になっているので、そこそこ需要があるのかもしれない。(ここは自分で得るものがあったら、追記しようと思う)

まだサイトを公開してから日が浅いため、紆余曲折あるとは思うが、平成最後の夏に「自サイトを構える」というのは、なんとなく、時代の移り変わりを感じる。そういえば、先日「同人便箋」や「グラデ印刷ペーパー」なるものをあえて真似た画像を見たが、今そうした90年代への郷愁が我々の世代に起こっているのかもしれない。そしてそれは、若い世代には目新しいものに見えるのだろう。バブリーネタから始まって、写ルンですがアパレルブランドとコラボして、ルミネエストではプレイステーションの初代ロゴをプリントしたシャツが売られているような雰囲気。時代は繰り返すというが、こんなにも早く回帰するものだろうか。

最後に。私はある夢小説をpixivに載せていて、それを説明文ごとフォレストプラスのサイトに転載した。すると、わざわざメッセージ機能を使ってキャラクター名の誤字を訂正してくれる閲覧者がいた。pixivに載せていただけだったら永久に間違ったままだったろう。うまく言えないが、こういうのも、実に昔のサイトを運営していた頃のようで、懐かしかったのだった。すぐにiPhoneから修正した。やはり、「プラス」にしてよかったです。

あなたの感じたことって何物にも代えがたいよね、ってことを一人ひとりに伝えたい。感情をおろそかにしたくない。って気持ちでnote書いてます。感性ひろげよう。