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保護猫《さん》とウチの《まる》 ⑥

ケージ卒業・最初の1週間 の巻


これまでのお話
保護されて3週間。不妊手術とエイズや白血病無し!の確認が無事終わった《さん:タイプ白黒》、いよいよケージを出て先住の社会性のない絶対ナニモカモイヤ女王《まる:タイプ三毛》と同居が始まる。

8月13日 朝一で退院した《さん》、この日は大事を取ってケージの中で過ごしたけれど、トイレも普通、食欲もあり元気。(その④でも書いた通り、自分ののお祝いのお刺身を、まるが「ケッ」と残した分までガツガツと食す)

8月14日 いよいよケージなしでの同居スタート。連日38℃を超える猛暑の頃。

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↑ 写真はケージ開放からしばらくした頃。非常に珍しくもさんの居室に興味を示し、下々の暮らしを視察されるまる女王。さんが入居して以来1ヶ月ぶりの和室ご訪問であった。勿論さんは2階かどこかへ探検に出かけており、気配もない時のことだ。


最初の1週間の作戦
・さんは夜寝る時とご飯はケージの中。
・それ以外の時は柵で囲った和室を生活エリアとし、《まる》がさんに慣れるようにする。

結果 
・さんはリビングに来たくてあっという間に柵をぬるりと越え、策(柵)の無効性が明るみに出た。さんの行動は我々に甘えたいためだったので、私が午前中できるだけ和室にいるようにし、それで和室に収まって一応満足そうだった。(手術前も、午前中2時間ほど和室を締め切ってさんをケージから出し、甘えたり少し体を動かしたりできるようにしていた。その後の畳掃除や手洗いは徹底。)午後はケージの上のひんやりシートで昼寝。
・まるは2階からほとんど下りてこない。夏はいつものことだが・・・。夜さんがケージに入ったタイミングで、いつでも食べられるようにしてある自分のご飯を食べたりトイレをしたりして、少しうろうろした後また風通しのいい2階のお気に入りの場所へ。

という感じで、割と平和にさんのケージ外での生活が始まったのだけれど・・・

さんが和室でおとなしくしていたのは2,3日だった。ある日珍しくまるがご飯を食べに、日中1階に下りてきた。
さんは興味深げに柵を越えて ? とまるの後をぶらぶらついていった。

そして 



!!!


ボクのと違うゴハンがあっちにあるーー!!!!

タイヘンなことに気づいてしまったさん。
猛進するさん。んぎゃーーーーーと叫ぶまる・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さんを和室に連れ戻し、まるはさっさと2階へ上がってしまった。
この後さんは、俄然家の中の探検に熱を入れ始める。当然である。

さんは気のいい穏やかな性格だが、食べ物のことになると理性が吹っ飛ぶ。10月半ば栄養マンテンのボディとなった現在も変わらずで、「こいつの満腹中枢はどうなっているのか?」というのが目下の最大の謎だ。

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 ↑  チュールの空き袋の匂いに理性を失くし、ゴミ箱に頭を突っ込むさん。後ろ足に胸キュン。

さんに接していて凶暴性、つまり怪我をさせられそうで危ないと感じることは一切ないのだが(まるには割とその危険を感じる)、チュールをもらっている最中の理性の吹っ飛んださんは焦りのあまり袋を噛み、ついでに袋に添えたオットや私の指までガブガブと食べ、2人とも血が出たし数日は傷がジンジン痛くてちょっと腫れた。(猫が本気で咬むと手全部がグローブみたいに腫れてお医者さんに行く必要があるので、さんのはちょっとした事故、以後こちらが気をつけている(=_=)。 まるは自分が病院に連れていかれた腹いせに我々をやる気満々で咬み、病院送りにした実績がある 噛むと咬むの違いw)

話がちょっと逸れたが私の気も逸れた。この辺りまで書いてまるにPCに乗られ、執筆(笑)がずいぶん中断し、画面には@と9がずらーーーーーっと並んだ。

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さて気を取り直し、続きだ。
和室以外に俄然興味を持ちだしたさん。もう柵は無意味だ。そしてまるのご飯は出しっぱなしという訳にはいかなくなった。
まるは1回分の食事を、さらに何回にも分けて少しずつ食べるので、いつでも好きな時に食べられるようにしてあったのだけれど。

さらにまるの牙城、2階。
ここだって行かないわけがない。

せめて2階だけはまるが落ち着いて過ごせるように、高さ90cmの柵を階段の入り口に置いてみたのだが。

最初は柵に隙間が空いていて(オットのせいだ)あっと思った我々が見に行くと、そこはさんもびくびくしながらの初探検、我々の気配だけで慌てて駆け下りてきた。
うっすら行ってはいけない場所だという自覚もあったのか。
しかし意欲は全く削がれていない。

柵は多少は障害になったようでしばらくは落ち着いていたが、やがてさんはそれも乗り越える!運動能力的な問題ではなく心理的な効果だったようだ。華麗にひらりと柵を跳び越え、少しずつ様子を伺ううちに大丈夫だと自信をつけていった。

ボク イケる!!

上にいるまるにものすごく怒られたりしていたけれど、懲りずに2階訪問を繰り返した。

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気になっていたのは、例年よりもやはり2階にこもる時間が増え運動量の落ちているまるだ。夜を除きほとんど1日中、お気に入りのベッドの裏にうずくまっている。
たまに出てくると少しびっこをひいている。けがではなく、同じ姿勢のまま動かないのが原因のようだ。8歳だものなぁ。

さんがケージを出てからというものますます引きこもりがちなまる、何とかせねばとある日2階までチュールを持っていき、ベッドの裏のまるに見せた。
効果覿面。秘密基地から出て階段の上り口、風通しのいいところまで来てチュールをおいしそうに食べ始めた。

よしよし。愛しさが込み上げる・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・

あっチュールッ!ボクも食べるでしーー!!

一目散である。トコトコトコトコ、さんは階段を駆け上がってきた。
アイヤー、またまるが怒るか引きこもるかしてしまうぅぅ。

私は焦った。

しかし・・・


まるもチュールの魅力最優先だった!


さんが来ても、怒りも逃げもせずチュルチュルしている。

チュール恐るべし。

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さんは勿論チョーダイチョーダイ、ぐいぐい顔を寄せてくる。仕方なく途中で「はい!さん」と掛け声をかけ、さんにおすそ分け。そして「はい!まる」の声でまるに切り替え。

そこはさんも何故か聞き分けが良かった。ボクのじゃない、という自覚 笑

お互い顔を3cmほどまで寄せ、私のキビキビとした号令でw交互に仲良くチュールを食べ終え、そのままの距離で毛づくろいまでしている。

おおぉこれだ!!!

互いの気配を感じながらご飯を食べることは猫の同居のステップとして有効だ、ということをいくつかのTV番組で見た覚えがある。
そこで毎日お昼ごろ、チュールか固形のおやつ(モンプチ・クリスピーキス)を持って2階に上がり、まるを誘い出す作戦決定。

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まるは必ず出てきておやつを食べる。少しでも楽しみができ、体を動かすことにもなる。
そしてさんも誘ったわけでもないのに、必ず察してやってくるw

かくしてその時だけは2匹、至近距離で仲良くおやつを食べることになった。
場所は階段の上り端、踊り場の北窓に南からの風が抜ける。まるをベッドの裏から誘い出し、下からはさんが一心不乱に階段をとことこ上がってくる。
暑いけれど気分のいいひと時。

🐾  🐾  🐾

けれどその時以外、まるの態度は変わらなかった笑
そんなに簡単に行くわけはないと分かっていたし、実際まるは本当に頑固な猫だ。

それ以前も、おやつタイムが定着してからも、たまに1階に下りてきてさんを見かけたり、場合によっては近づいてしまったりした時、まるは悪魔のような顔で「シャアァァーー」と威嚇した。

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↑ これはあくびだけれど威嚇の表情とほぼ同じw

さんはどんな態度をされても怒らず、まるが好きなようで近くに寄っていく。まるに怒られるとすぐに床にゴロンしてゴメンナサイのサイン。 カワイイ

   ボク悪いスライムじゃないよ。

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怒られたさんはしょぼくれて私の方にとことこやってくるので、よしよしと慰め思いきりナデナデする。 

 ↓しょぼくりん on  膝

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まるはますます他者嫌いを発動し、我々に対しても威嚇や唸りを発動した。

うむ、予想以上!

私が近寄っただけで唸るまる。
けれどまるが私たちを嫌いなわけがない。私は構わずまるをわしわし撫でる。まるは嫌がらずに撫でられ、唸るのをやめて手をぺろぺろしてくれる。

頑固で一度イヤとなったら絶対に嫌!とは言ったものの、実はまる自身もそれほど全部がイヤなわけではないのだろう。思わぬ環境の変化や用心深さ、少しの恐怖感から、反射的に誰かれ構わず唸ったり威嚇したりしていたのだと思う。

まだ保護前、網戸の向こうの《野良猫さん》には慣れて怒らなくなっていたし、室内の仲間となったさんを距離を置いて眺めるまるは、目を細め猫の好意を表すサインを出しているのだから。

けれど反射でつい唸って威嚇・・・
しょーもねーなー、と若干まるのチキンぶりに苦笑しつつ、まるもさんも気の毒だった。

だんだんさんが2階にも上がるようになり、まるはおやつの時はさんを受け入れ、けれどそれ以外はまだまだね、という感じの最初の1週間。

さんの穏やかな性格と社会性のお陰で、危惧した激しい喧嘩は起こらず、そこそこ平和に過ごせた。
気がかりはまるの引きこもり。
そしてもう一つ、さんが夜ケージに入れられた直後と明け方、そしてまるが夜中に下で活動している時に、少々鳴いたり周りの新聞紙などをかき寄せてケージの中に入れてしまったりして、つまりはボクを外に出して!のアピールなのだけれど、それが気になった。

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すごくうるさいわけでもないし、長時間続くわけでもないけれど、少しの間鳴き続ける声とガサゴソする気配が伝わってくる。
何より「寂しいよー」の気持ちが伝わってくる。

出してけろー

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まるはその気配をうるさく感じたようだし、我々はさんが不憫だった。
さんが夜以外をケージの外で過ごすようになってから1週間、私はオットに言った。

「今夜からさんを、夜も好きにさせよう!」

オットも夜のさんを不憫に(そしてちょっとうるさくw)思っていたので、「うん、それがいい」と言った。


こうしていよいよ、夜寝る時もケージの外で好きにできるようになったさん。
まるどうなる?!

ケージ卒業の2週目に入っていく。
まだまだ暑い、8月20日過ぎのことである。

続く

その⑦へ


その① その② その③ その④ その⑤ はこちらから

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