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お金のむこうに歯医者もいる・・・はずなんだが。

田内学著「お金のむこうに人がいる」を読んでみた。
そもそもお金とは何かについて、わかりやすく明確に、それでいて奥が深くて何度も読み返したくなる、というか一度読んだだけでは全内容をしっかりと把握できない(もちろんいい意味で)ような不思議な本であると感じたのは単にウチがアホだからなのだろうか。

歯医者と患者との視点で考えると

歯医者に行って保険診療を施され、患者が支払うのは一部負担金だ。
これに対し歯医者が受け取るのは一部負担金だけでなく健康保険料や国庫も含まれている。ご存知の通り診療報酬は決められた額なので、自由経済ではない。歯医者の集まりである歯科医師会も口出しはするが報酬の決定権はない。それは同じ標準治療をしたのだから対価は同じはずだという論理に基づいていると考えると至極当然にも思える。

しかし最近は歯医者が施している労働と受け取る対価が釣り合わないのを感じる。わかりやすい例では金属の逆ザヤ問題。受け取る対価だけでは間に合わないのだ。もちろん原材料の値上げにより歯科材料の値上げも出てくるであろう。それに対して診療報酬の伸びは微々たるもの。す○家や丸○製麺の値上げに比べればとんでもなく低い率である。

この状況が続くと・・・

今の状態が続くと歯医者の持ち出しばかり増えてしまう。神経が擦り減り悪循環に陥るのも理解できる。実際病んでいる人の割合も多い。

お金のむこうに歯医者もいるはずなんだが、その歯医者はどんな歯医者なんだろうか。少なくとも支払っているお金に見合う労働をいつまでも提供してくれるような歯医者ではないことを理解して頂きたいと思う。

こんな愚痴を書いても「とは言っても歯医者って派手に生活しているよね」とか一般的にはそういう目で見られがちなのも承知している。でも内情を見てみないと解らないものだし、そう簡単に内情が露見することはない。内情が露見された時には既に後戻りできないような、深刻で悲惨な状況になっていることのほうが多い。
そう考えると歯科医業はこの先どうなっていくのだろうか。

患者の皆様へ

あなたが支払った治療費は一部負担金のほかにも国庫も含まれていると書きました。言い換えるとあなたの口の中の被せものや入れ歯の一部は国のものと言っても過言ではありません。これは国が「しっかりと治してしっかりと働いてくださいね」というメッセージだと個人的には受け取ってます。よって治療の結果を無駄にせぬよう、被せものが末永く機能できますよう、お手入れの程お願いします。

これを見ている歯科医師の皆様へ

潰れかけの歯科医院のしがない開業医の戯言に最後まで付き合って頂き、ありがとうございます。最後に1つだけ言いたいことは、「独り勝ちは結局いいことがない」ってこと。
世の中を見渡すと食うに困っている人も増えている。食うに困っている人は歯医者に来ると思いますか?金持ち歯医者に襲撃するリスクが増えませんか?もちろん独り勝ちしてしまったのは努力の結果だと思います。しかし周囲の状況、地域の状況を鑑みて行動する必要があるのではないでしょうか。


#お金について考えていること

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