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プッシュ型からプル型へ。キャズムを超えたエアウィーヴのブランド戦略

こんにちは。今回はタイトルの通り、エアウィーヴについて少し調べてみました。その背景として私は現在米スポーツブランドで働いておりまして、弊社商品にもスリープウェアなるものがあり(一応リンク貼らせて頂きました)、年々睡眠への需要の高まりを感じているからでもあります。

ちなみに下記がGoogleトレンドの2004年からの「睡眠」というキーワードの推移ですが、年々上昇しているのが分かります。

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浅田真央さんはじめとした一流選手の使うイメージとともに市場に浸透したエアウィーヴ。特に従来ベッドやマットレスは買うことを決めた人が買いにお店に行き、売り場勝負。売り場でのプッシュ型が主流だった中で、ブランド力を高め認知獲得。売上を拡大していったエアウィーヴを知ることには大きな学びがあると思った次第です。

そして上記の通り売場勝負の為、寝具業界には大きなイノベーションが起きていなかった。そこにイノベーションを起こしたのがエアウィーヴでした。つまり後述する様々な話題作りの仕掛けはあるものの、第一は商品のイノベーション・品質です。(浅田真央選手も契約する前から商品を使用等)

※ただ、これはあくまで外からみた私の見解であり、様々な情報を収集してみましたが、誤りもあると思いますので、そのあたりは多めにみて頂ければと思います。

エアウィーヴ社について

沿革は下記(会社HPより)。
エアウィーヴの販売は2007年6月です。

2004年クッション材・リサイクル商品の製造及び販売を開始
2006年エアウィーヴ素材完成
2007年2月会社名を株式会社中部化学機械製作所から株式会社ウィーヴァ ジャパンへ変更
2007年6月「エアウィーヴ」販売開始
2009年早稲田大学スポーツ科学学術院との研究開始
2011年6月フィギュアスケート浅田真央選手とブランドアンバサダー契約締結
2011年8月文部科学省マルチサポート事業参画
2012年8月「愛維福(上海)貿易有限公司」設立
2012年10月「株式会社エアウィーヴ」に会社名変更

企業理念は、「THE Quality Sleep 眠りの世界に品質を
-眠りの世界に新しい価値を創造し、常に革新的な製品を生み出すことで「生活インフラ事業」としての使命を果たす。
最高の眠りを提供することを通じて、世界中の人々の豊かな生活を実現する。- となっています。

理念を見ても分かるように、質にとことん拘り、世界を目指す。
そしてこれは浅田真央さんや錦織選手といった当社のアンバサダー選定にも大きく繋がっていると思っています。まさにブランドの目指す質・世界を体現する人がオリンピアンやアスリートであり浅田真央選手や錦織圭選手という訳です。

第1ステージ:2007年~(広告からPRへ)

当初エアウィーヴ社は広告中心の戦略をとっていたようです。

ターゲットとしては女性を狙い、「睡眠=美」や「メイドインジャパン」を訴求。しかし市場の反応は良くなかった。

そこで、広告からPRへの転換を実施します。

エアウィーヴのPR戦略

・厳選された、高級な場から製品を広めていくことで、常に話題を提供していく
・「エアウィーヴ=眠りにこだわる一流が使う寝具」というイメージを維持しながら、徐々にブランドの認知を上げ、お客様が品質を実感できる場を広げ、市場の拡大を図る

その結果として、商品への関心を高め、ブランドの認知・信頼度を向上し、プル型の販売を実現するという目的があったようです。

その為に下記順番で商品を展開
まさに厳選された場から徐々に拡大していっているのが分かります。

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下記は少し前の映像ですが、株式会社エアウィーヴ代表取締役会長兼社長の高岡本州さんがエアウィーヴの戦略について大変分かりやすく説明してくれています。

この動画でも述べられているこの時期の戦略としては下記が挙げられております。

・認知が徐々に向上
・継続してアスリートのサポートをしながら、エア・高級ホテルへのアプローチを開始
・大学との共同研究
・一部店舗での限定した販売の開始

第2ステージ:2011年~(キャズム超え)

ここから徐々に知名度の高まり出したエアウィーヴはより売上を拡大していく為に戦略の展開を図っていきます。

「一流」のポジショニングを維持しながら、顧客層を拡大する。

・引き続きトップアスリート・高級ホテルにアプローチ
・高級百貨店と同時に、ブランド力を落とさないように限定しながらも販路を拡大
・セグメントを明確にした新製品の投入

さらに2011年6月に、エアウィーヴを既に愛用していた浅田真央選手とブランドアンバサダー契約を締結します。

色々ある中でも、この浅田真央選手の契約は大きいですが、既に愛用していたというところが重要なポイントです。

マーケティング戦略の変化

マーケティングの戦略についてはこちらの動画で詳しく述べられています。

こちらの動画から一部資料を抜粋させて頂きましたが、2011年を境に戦略としても大きく進化を遂げているのが分かります。

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成功要因

上記のような変遷を遂げながら進化していったエアウィーヴ。その中で私自身が一番感じるのは、商品の質、「一流」への徹底した拘りとそれを体現するブランディングの実施です。

ブランディングとしては、

・アスリート等による使用を紹介し、製品の効果も効果的に訴求
・信頼性の高いPRの実施
・安易な商品の販路や販売を制限し、ブランドを管理。素材研究に拘った製品開発とともに、値下げ販売の禁止

これらにより強いブランド力が構築されていきました。

さらに2011年からのマーケティング戦略の転換により、顧客層の拡大に成功しております。

そしてその根底には、独自の素材を用いて質の高い製品を開発して市場に投入。新しい需要・市場を創造したことが挙げられます。

競合を見るのではなく、自社の「一流」に拘り体現し、お客様への価値を追求。それが今のエアウィーヴブランドに繋がっているのだと思います。

そして地道なPR活動からの拡大。近道はありません。

まだまだ触りくらいですがエアウィーヴブランドの一流の強さを少しだけ理解できた気がします。また機会があったら深堀し、発信したいと思います。

ありがとうございました。


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