ルンバが欲しい!-ルンバが市場の総称名・代名詞になるまで-
こんにちは。
引越しをきっかけにルンバを買いに行きました。
しかし、ちょっと待てよ!と。ルンバルンバ言っているけど、ルンバはあくまでロボット掃除機市場の1商品であって、ルンバ以外にもロボット掃除機は各社出している訳です。
ですが、自分含めて多くの方は「ロボット掃除機欲しい!」ではなく、「ルンバ欲しい!」となると思います。
そう、このように商品名が新市場の総称になっている商品は、マーケティングでいう純粋想起(〜といえば◯◯)のもはや〜の部分になっているということ。ルンバといえば、ルンバ状態。
他ではヒートテックやサランラップにセロテープ、アロンアルファなんかもその部類かなと思います。
Googleトレンドで「ルンバ」と「ロボット掃除機」を比較すると下記のように(水色がルンバ)、約5倍程の差が出ています。
そこで「ルンバ」からブランド戦略や普及、マーケティングについて色々な示唆が得られるはずと思い、、ルンバが日本市場にここまで浸透し、市場の総称名・代名詞にまでなった流れを簡単に調べてみました。
アイロボット社について
まず初めにそもそものルンバの製造メーカー米国のアイロボット社についてブランドサイトより。
アイロボット社は、生活に役立つ実用的なロボットを現実のものにしたいという思いを抱いたマサチューセッツ工科大学(MIT)のロボット学者たちにより、1990年に創設され、今では世界トップのロボット専業メーカーとなりました。
そしてそんなアイロボット社から2002年に登場したのがルンバ
また日本での販売総代理店は、セールス・オンデマンド社。
アイロボット社は2002年の発売から、~一家に 1 台 すべての家庭にロボット掃除機がある時代へ~を目指し、市場を牽引。
2016 年には出荷台数 200 万台を達成しましたが、その後わずか 2 年でさらに 100 万台を出荷し、2018年に累計 300 万台を突破となりました。
現在は、「2023年までに世帯普及率10%」を数値目標としており、20年1月時点で6.3%。これまでルンバの性能にフォーカスを当てた訴求に注力してきたが、20年は顧客体験にこだわり、10%達成を目指していく模様。
普及までの道のり・戦略
上記グラフからも分かるようにルンバは2009年以降に急激に出荷台数を伸ばしました。
時系列ごとに施策をみていくと、
初期(2004年):百貨店に一点集中
2005年~2007年:家電量販店中心に、通販・TV通販(ショップチャンネル等)や富裕層向けカタログ誌で補完
2008年:ロードサイドの家電量販店へ拡大
2009年〜:マス広告の開始。テレビ・新聞・雑誌のみならず交通広告(JR・地下鉄)までマス広告幅を広げていった
着実に販路(place)を広げ、メディア戦略(promotion)も拡大していったことが分かる。そしてTVCM開始の2009年から急激に出荷台数が伸び出しました。
普及までの課題とターゲット
課題としては下記のようなものが考えられたと思います。
・ロボット掃除機という存在自体がそれまでなかった=商品の認知ももちろんまったくなかった
・日本では吸引力が強いものが良いという常識ができあがっていた
・日本人気質( 日本人は真面目で、楽をしたらダメという空気感)
それに対してターゲットは、お金で時間を買う人達
ルンバは通常の掃除機とは異なり、買い換え需要でなく、あくまでも掃除機との併用的な買い増し需要がメインとなり、元来掃除機とはバッティングはしない。
そこで、共働き世帯、専業主婦だが比較的小さい子供がいる世帯、高齢者などがメインのターゲットとなってきました。
ばっくり4Pの視点で施策をまとめると下記イメージ
広告からクチコミへ
①まず市場自体がなく、製品理解がないタイミングでは、店頭デモを徹底的に実施し、製品の特長や優位性を理解してもらうことに注力。「ルンバを置くと掃除機売り場が活性化する」と提案し、家電売場を取っていった。
②そして、吸引力が重視される日本の掃除機市場において、ロボット掃除機が人がする掃除よりも綺麗になることをエビデンスを用いながら積極的に啓蒙。
③そして、日本人の掃除は自分でしなくてはいけないという気質に対しても、掃除はロボットに任せてと、一歩先の生活・ライフスタイルの提案。
上記をストーリーでここまで提案してきたのがルンバです。
そして認知度に関しては、2009年〜のTVCM等に力を入れた結果、90%を超えました。そしてさらなる市場の拡大に向け、現在は上記ストーリーの③のマインド・ライフスタイル推進の為、クチコミやファンと繋がる施策を積極的に実施しているようです。
「アイロボット ファンプログラム」
2016年頃より「アイロボット ファンプログラム」を開始。
ファンプログラムでは、常時行う「SNS投稿キャンペーン」、3カ月間の「製品モニター」、「ファンイベント」、大きく3施策を軸に運営しています。
また2019年6月には、月額1,200円のサブスクモデルも開始するなど、使用すればやめられなくなる商品力をいかし、まずは1度使ってもらう仕掛けも多数行っています。
このように、「2023年までに世帯普及率10%」を目指し今なお様々施策を続けているルンバ。
先駆者として新市場を作り、デモ(製品理解)〜認知(広告)〜啓蒙(クチコミ)とフェーズごとの課題に対して段階をおってコミュニケーションを生活者と取り、常に先頭を走り続けるルンバ。圧倒的なシェア・市場の総称・代名詞になる強さを少しだけ知れた気がしました。
ありがとうございました。
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