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整体ってほんとはなに?

よく質問されることに、「整体って民間の資格でしょ?」「無資格者が多いってほんと?」「ほとんど素人でしょ?」などがあります。質問にお答えすると、ほとんど正解です。

このノートの著者であるパタッカは理学療法士、鍼灸師の二つの国家資格を持っていますが、巷では通信講座で取得できたり、数日間の研修で整体師を名乗る方が多いのも事実です。

□整体とは

整体(せいたい)は、日本発祥の伝統的な治療法で、身体の不調や痛みを改善するために行われます。整体師は、手技を用いて筋肉や骨格、関節などの身体のバランスを調整し、自然治癒力を促進することを目的とします。
整体の手技には、徒手、ストレッチ、関節の調整、骨盤の矯正などが含まれます。整体は、身体のバランスが崩れることで生じる様々な不調や痛みに対して効果があるとされていますが、腰痛、肩こり、頭痛、スポーツ障害などを治療するものではありません。法律的には治療はできない(整体で改善したと謳ってはいけない)とされます。国家資格ではなく、整体の流派や技術はさまざまで民間での資格が発行されています。
日本では、整体は病院やクリニックではなく、整体院で提供されています。整体師は、まさにピンキリで専門の訓練を受けたプロフェッショナルである場合もありますが、数日間の研修で現場で働く整体師もいます。

整体の歴史は古く、整体の言葉を作った人物として、一般的には池坊専道(いけのうちせんどう)という人物が知られています。池坊専道は、江戸時代後期に生きた人物で、整体という言葉を初めて用い、整体という治療法を体系化しました。彼は、手技による身体の調整や治療を行い、後にその技術を「整体」と名付けました。その後、彼の影響で整体の技術や理論が発展し、近代の整体の基礎が築かれました。下記に日本の整体で著名な流派を挙げます。

  1. 野口整体(のぐちせいたい): 野口晴哉(のぐちはるや)によって創始された整体の一派です。野口晴哉は、日本の整体の発展に大きな影響を与えた人物の一人であり、彼の手法は日本国内だけでなく、世界中で広く知られています。野口整体は、身体のバランスを整え、筋肉や骨格の歪みを矯正することを目的としています。

  2. 柔整体(じゅうせいたい): 田中宗一郎(たなかそういちろう)によって提唱された整体の一派です。柔整体は、身体の筋肉や組織の緊張を緩和し、関節の可動域を広げることに重点を置いています。田中宗一郎は、整体の手技に科学的なアプローチを取り入れ、柔整体を発展させました。

  3. 北村整体(きたむらせいたい): 北村玄九郎(きたむらげんくろう)によって創始された整体の一派です。北村整体は、身体の不調や痛みの原因を筋肉や骨格の歪みに求め、手技によってその歪みを矯正することを目指しています。北村整体は、独自の施術手法や理論を持ち、多くの信奉者を集めています。

  4. その他の整体の流派: 日本にはこれら以外にもさまざまな整体の流派が存在します。例えば、小川整体、直接法整体、経絡整体などがあります。それぞれの流派は、創始者や理論、施術手法などに特徴がありますが、共通して身体のバランス調整や痛みの緩和、健康の促進を目指しています。

整体は医療ではありません。つまり病気の体を治すのではなく、病気にならないようにバランスを整えるような関わりが大事です。

□法律の話

マッサージや指圧、整体、カイロプラクティックといった施術は、古くから一般に広く利用されています。これらの施術は医師が行う医療行為(医業)に対し、総称して“医業類似行為”とも呼ばれます。医業類似行為は法的な資格制度の有無により次の2つに大別されます。

1)法で認められた医業類似行為
文部科学大臣の認定した学校または厚生労働大臣の認定した養成施設において3年以上の教育を受け、国家試験に合格した者が業として行うことが出来ます。特定の疾病に係る施術に関しては健康保険が適用され、その施術に係る費用を療養費といいます。

2)法に基づかない医業類似行為
法的な資格制度がない施術をいい、整体やカイロプラクティック等が該当すします。特にインスタグラムなどで骨を鳴らすようなカイロプラクティック療法による施術を行う者が増えていますが、その医学的効果についての科学的評価は定まっていません。

つまり国の資格を要するものとは『柔道整復師』、『あん摩マッサージ指圧師』、『はり師』、『きゅう師』の4資格のみです。ちなみに同じ国家資格で理学療法士や作業療法士が独立して整体院として開業するケースも多いですが、法で認められた医業類似行為ではないため、リハビリや治療と言えません。

冒頭にあった、「整体って民間の資格でしょ?」「無資格者が多いってほんと?」「ほとんど素人でしょ?」のコメントは、この法に基づかない医業類似行為者を指していると考えられます。

□整体は意味がない?

では整体には意味がないのでしょうか?特別なことではないですが、整体は、

  1. 身体のバランスを整える: 整体師は、身体の筋肉や骨格、関節などのバランスを調整します。身体のバランスが乱れることで生じる様々な不調や痛みを改善するために、整体師は手技を用いて身体のバランスを整えます。

  2. 筋肉の緊張を緩和する: 整体の施術は、筋肉の緊張やこりを緩和するのに効果的です。マッサージやストレッチ、指圧などの手技を使って、筋肉の緊張をほぐし、リラックスさせます。

  3. 関節の可動域を改善する: 整体は、関節の可動域を改善するのに役立ちます。関節の動きが制限されている場合、整体師は関節の動きを促進し、柔軟性を向上させる手技を行います。

  4. 姿勢の改善: 整体は、不良な姿勢を改善するのにも効果的です。身体のバランスが整えられることで、姿勢が良くなり、身体への負担が軽減されます。

  5. 痛みや不調の緩和: 病気ではない腰痛、肩こり、頭痛など、さまざまな痛みや不調に対して整体は効果があります。施術によって身体のバランスが整えられ、症状の改善や緩和が期待されます。

  6. 自然治癒力の促進: 整体の施術は、身体の自然治癒力を促進する効果があります。身体のバランスが整えられることで、自己修復能力が高まり、症状の改善が促進されます。

特に自然治癒力の改善は、薬や手術を用いないからこそ整体師が貢献できる分野であると考えます。治療はできませんが、相手の自然治癒力を阻害するようなものを整体によって除去できれば良いのです。そして、信頼できるクリニックや施術者と協力できれば、整体も補助として十分健康分野に携われると考えます。

□まとめ

整体にも意味がある!

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