見出し画像

回りながら音を鳴らす。

音楽の主流は、今はサブスクと言われる定額のサービスで、いつでもどこでも聴きたい曲だけを再生して、心を満たす。

まさに時代の恩恵。

もちろん、音楽好きの私も登録している。

通学中、勉強中、ランニング中、一本の指を画面に当てるだけで激しく情熱的な、はたまた胸を引き裂かれるような、そして明日に希望を持ちたくなるような「音の繋がり」が聞こえて来る。

でも、小さな四角い便利箱の中にあるだけ。

自分の手にその音の本質を詰め込んだ実体掴むことはできない。音楽はデータとなってしまった。

そんな時、ひとつの映画に出会った。

「ボヘミアンラプソディー」

言うまでもなく、最高の映画だった。
あんなにも激しく感情を揺さぶられた映画は初めてだった。

間違いなく人生の走馬灯に出てくる、タンスの奥深くに入れていても輝きを放っていて、存在を忘れたくても忘れられない作品。

そこから私はクイーンの虜に。
さまざまな曲を聴く。サブスクで。

なんか物足りない、なにか違う。

そんな時、CDショップでアルバイトをしている私の目に飛び込んできた、「レコードストアデイ」の文字。

ラインナップの中には、「ボヘミアンラプソディ」のサウンドトラックのレコードも。

これだ。

衝動的に欲しいと思った。
レコードプレーヤーやレコードの知識など全くない。

それでも欲しいと思った。このためなら全て揃えたいと思ってしまった。

最初は、インテリアとしても使えるそうだとか、時代と逆を行ってる俺カッケーみたいな、そんな気持ちだった。 


ところが、私はレコードの魅力に囚われてしまった。

なんだこの魅力的な黒い、丸い音を出す物体は。

一度針を落とすと、有限性のある宇宙を見せてくれてるよう。

サブスクとは違い、一度聴き始めると片面が終わるまで流れ続ける。その間は違う曲を聴きたくても、聴けない。

だが、そこにすごく魅力を感じるのだ。
アルバムを通して聴くことで、アーティストのメッセージを受け取ることができる。

今まで断片的に曲を聴いてきた。
でも違う。

曲はアルバムというピザの1ピースで、それだけでも美味しいが、1つでも欠けると見栄えが悪くなる。

そういったことも気づかせてくれた丸いやつ。

あんなものからこんなに魅力的な音が溢れ出してくる。音質も自分の好みに合わせることができる。

もう完全に虜だ。

これからも、様々な黒い、丸い、魅力的なアイツを集めていきたいと思う。