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わかっているのかいないのか

なにもかも見透かした目で僕を見る猫の前ではうまく笑える

猫の魅力は、わかっているのか、わかっていないのか、わからないところだ。

「猫は、自分の名前を─A:わかっている B:わかっていない」というアンケートを採ったことがある。母数も少なく、これで何かがわかるとは思わないけれど、結果はAが67%、Bが33%だった。ちなみに僕は断然B派だ。「自分に向けて何か言ってるな」くらいはわかるけれど、名前までは認識していないように見える。

でも、この意見の分かれ具合こそが、猫なのだ。猫は、意味があるのか、ないのか、いかようにも受け取れる振る舞いの天才なのだ。実際には何も考えていないのでは、と思わなくもないけれど、そのわからなさがいい。

「名前を呼ぶと、わかっている(ように見える)」、「こちらが弱っているときは、そばに来てくれる(ように見える)」……。この「ように見える」感じが絶妙なのだ。

いま後ろの棚の上で、何も考えていないような、何もかもわかっているような顔をして、猫があくびをした。

なんだか、かなわないな、と思う。

【告知】
「これから猫を飼う人に伝えたい10のこと展」では、こんな感じの短歌・エッセイに、イラストレーターの小泉さよさんが素敵なイラストを付けてくれています。
会場は、猫が走り回っている開放型猫シェルター。これから猫を飼う人も、いまは予定がない人も、すでに猫と暮らしている人も、ぜひお立ち寄りいただき、猫を撫でながらお楽しみいただければ、と思います。

これから猫を飼う人に伝えたい10のこと展
仁尾智(短歌・エッセイ)
小泉さよ(イラスト)

●会期:12月2日(水) 〜 1月31日(日)《火曜定休日》
●会場:東京キャットガーディアン 大塚(http://www.tokyocatgurdian.org

保護団体が運営する猫カフェのため、ご入場の際にご寄付をお願いしています。

そんなそんな。