看護師1

ナースのための“教える技術” 教えることに理論や技術はある?

看護師は,誰かに何かを教える場面がたくさんあります。

まず,看護師に対してであれば,新人看護師に与薬,排泄援助技術,創傷処置など,たくさんの基礎看護技術を教えるでしょう。さらに,電子カルテの使い方,バイタルサインや看護記録,あらゆるシートの入力方法などを教えることもあるかと思います。また,違う部署へ異動するときには,引き継ぎをするために,これまで行ってきた業務内容や教育方法などについて教える必要があります。

次に患者に対しては,退院後の自己管理について教えることがあるでしょう。例えば,ペースメーカーを入れた患者に自己検脈の方法を教えたり,糖尿病の患者にインスリンの打ち方を教えたりします。他にも,院内で患者に道を聞かれ,外来や検査室,売店などへ案内することもあるでしょう。建て増しなどで複雑な造りだと,道順を教えるにもコツが入ります。

こうして考えてみると,私たちは仕事中に,教える場面がたくさんあります。したがって,仕事をしていく上で「教える」ということは絶対に必要です。しかし,教える場面がたくさんあるにもかかわらず,うまく教えられなくて困るということはないでしょうか。

例えば,新人看護師に教えているときに,こんな経験をしたことはありませんか?

・自分は一生懸命教えているつもりなのに,なかなかわかってもらえない

・教えたはずなのに「わかりません」「教えてもらっていません」と言われる

また,上司や先輩に教えられたときに,こんな経験をしたことはありませんか?

・「こんなレポートじゃダメだよ!」「書き直してきて」と言われたが,どこをどう直せばよいのかわからない

誰かに何かを教えるには手間も時間もかかります。しかし,手間や時間がかかることと“難しい”ということは別のことです。

では,うまく教えることができない原因は何か?それは,教え方を学んだことがないからです。つまり,教える内容に加えて「教え方」を身につけることができれば,うまく教えられるようになるのです。

うまく教えるための技術と科学を扱う学問として“インストラクショナルデザイン”があります。インストラクショナルデザインのモデルと理論を応用することによって,より良い教え方が実践できます。

「教える」とはどういうことなのか,「効果的な教え方」とはどのような教え方なのか,連載を通してお伝えしていきたいと思います。

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