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映画「細雪」

スチール写真のは昭和25年版のもので、この時のキャストは鶴子が花井蘭子、幸子が轟夕起子、雪子が山根壽子、妙子が高峰秀子が演じています。
監督はハリウッドで修行をしたジャッキー阿部こと阿部豊。

蒔岡姉妹のキャスティングにはかえるちゃんはけっこう不満があって、ビジュアル、演技ともにまぁいいかなと思ったのは花井蘭子くらいで、あとの女優さんはそれぞれ当時の人気女優なんだけど、特にダメダメなのが轟夕起子。
若作りで西洋的な美貌の人妻って原作に書いてあるのに、見た目がほぼほぼキューピーちゃんで、大柄設定なんだけどただ太って見えるし。
なまじっか原作の描写が濃厚だから、コレじゃない感が半端ないです。

山根壽子の雪子って言うのもちょっと。
風貌は日本的なんだけど、声が野太くて、人前ではお話も満足にできないような箱入り娘の声じゃない。
それに顔にシミが現れたり消えたりする設定なんだけど、シミの描き方が真っ黒すぎて、これは山根壽子のせいじゃないけど雑だなーと思ったわけです。

妙子の高峰秀子はご本人がエッセイで、関西弁がうまく出来なかったと反省していたくらいだから、「こいさん」のコスプレって印象でした。
妙子は一番事件をたくさん起こす役なので、当時のトップスターをキャスティングしたんでしょうけど、別の女優さんでもよかったんじゃないかと思っています。

昭和25年当時はテレビがまだなくて映画が娯楽の中心でしたね。
細雪は大長編小説で、当時の日本人はそのくらい長い小説も難なく読みこなしていました。
その民度がバックボーンにあっても2時間程度の映画にまとめるのは大変だったと思います。
ジャッキー監督はハリウッド仕込みの娯楽大作として世に出すことにしたようで、大洪水のシーンにめちゃくちゃお金と時間をかけたようなんですが、当時の映像技術の粋を尽くしたはずの大洪水シーンが、令和の今見ると貧弱すぎて、力入れるのはそこだった?となります。

洪水のあと出てくる板倉の妹役でおさげ髪の香川京子が出ていますが、色が真っ黒で驚きました。
美少女ではありましたけど。

昭和25年版は細雪をベースにした娯楽作品ということで納得しています。

1982年にも細雪は映画化されています。
市川崑監督で、鶴子が岸恵子。
幸子が佐久間良子。
雪子が吉永小百合。
妙子は小手川祐子。
衣装にとてもお金をかけたと評判でしたが、ごめんこれは飛び飛びでも最後まで見るのがつらいクオリティでした。

雪子と幸子の夫、貞之助を演じる石坂浩二とのエロティックなシーンは超いらないし、雪子と結婚が決まる御牧の役なんか野球評論家の江本とか、すでにプロの俳優でもないと言うめちゃくちゃさ。

原作の耽美的な描写に淫靡さと言う独自の視点を加えたんだろうと思うけど、石坂浩二と吉永小百合のイチャイチャなんて興味ないし。
谷崎潤一郎もやや性的な描写は抑え気味に書いていたらしいんですけど、雪子はお嫁入り前のお嬢さんなのに家庭内に悪い虫がいたんじゃ話にならんだろうと思ったわけです。

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