見出し画像

アメ女にバイトに来てもらった話

まぁ、けっこう昔の話なんですけどまだメルカリとかない頃、オークションの出品代行を片手間にやってたんです。
依頼はかなりあって忙しかったんです。
梱包と出品作業を手伝ってもらいたくてアルバイトを探したんです。

有料求人広告が出せるほどの儲けじゃないから、当時あった沖縄宝島って売り買いサイトの求人コーナーに載せたらけっこう人が集まりました。

まぁ、それでミドリさん(仮名)にきてもらうことにしたんです。
ミドリさんは30代で、ピシっとパンツスーツを着てコーチのバッグを下げてきました。
小さなお子さんが2人いらっしゃるとのことで、急に欠勤されても困るって言ったら、「病児保育が近所にあるので大丈夫です」って頼もしいお返事。
住まいは宜野湾の大山。
コーチのバッグと大山住みで何かに気づけよ、自分。

けどミドリさんの感じの良さに絆されてきてもらうことにしたんです。

翌日からきてもらったんですけど、
「仕事の時の服装は決まりがありますか?」って聞かれて「なんでもいいですよ」って言ったのはたしかにわたしなんだけど、目が点になるようなピタピタのTシャツにローライズの裾すごいフレアーのパンタロンでいらっしゃいましたよ。
後ろ向きでかがむと派手色のTバックが見えるとか。

ちょっと待て、誰もオマエのパンツが見たいわけではない。
前日の仕事できそうなパンツスーツから一転、シスター過ぎる服装にうろたえました。

仕事の合間に少しずつ子供さんの話とかするじゃないですか。
その流れで写真を見せてもらったら、男の子ふたりなんですけれど、黒人とのハーフなんです。

いやーびっくりしたわ。
ミドリさんが初めて関わりを持ったアメ女なんです。

アメ女って沖縄の方言というかスラングですね。
アメリカ人を恋人や夫にする人のことなんですが、わりど小馬鹿にした表現で、アメリカ人がエアフォースだったり階級が上の人と付き合ったらアメ女とは呼ばれません。

ミドリさんはシングルマザーと言ってたので、黒人夫とは離婚しているんですが、なんか10歳年下の兵隊だったみたいで、子供が2人もいるのにアメリカに帰っちゃったらしいんです。
しばらく経ってミドリさんがわじているので話聞いたら、元夫がアメリカで3人の子持ち女性と再婚したんだそうです。

さっきちょっと書いた大山住みって言うのは、大山小学校に通うハーフの子が多いんです。

それで仕事ができたらもっと長くいっしょに仕事したかったんですけど、ミドリさんはとにかくミスが多い。
何をやってもらってもいろんなところで縦横無尽に間違えるので後でチェックするのが手間だし、何度もミスを指摘するんですけど、彼女絶対に「ごめんなさい」が言えないんです。
この強情さは宮古出身だからかなと思いました。
一言謝ってくれたらこちらも気が済むのに。

一度、ミドリさんのミスで送料かなんかが150円損したことがあるんですけど、その時も預けてあるサイフに自分の150円入れてから、これでチャラですよね。
って言われてずっこけました。
わたしの言いたいことを最後までわかってくれない人でした。

そうなるとわたしもやや態度を硬化させます。
ミドリさんのスマホを台所のコンセントで充電しているのを偶然見かけた時は「オマエの携帯の面倒まで見られねーよ」と言いそうになりました。

まぁ、ミドリさんにも不満はたくさんあったと思うんですけど、一年半きてもらって他の人を雇ったのでやめてもらいました。

この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,284件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?