見出し画像

勝手に10選〜タイトルに数字が入るイカした曲〜(邦楽編 前編)


(前記)

この様な、ある条件を頭の中で構築し、自分の頭の中の引き出しを空けて曲をピックアップすると、また違う観点、時代からイカした曲達と相対する事が出来る。

そこで今回はタイトルに数字が入る楽曲をピックアップして、勝手に10選する。


・十七歳の地図

1983年に尾崎豊さんのデビューシングルとして、ファーストアルバム"十七歳の地図"の表題曲である。

以前にも記している事であるが、
"15の夜"、"I LOVE YOU"、"OH MY LITTLE GIRL"、"僕が僕であるために"
と羅列した楽曲は現在の音楽シーンにおいて今でも鳴り続け、歌い継がれている大名曲達でたる。
これらの曲は全て高校2年生の少年によって作詞作曲され、その少年のデビューアルバムに全て収録されているのだ。

尾崎豊さんのデビューアルバム"十七歳の地図"だ。
実際にレコーディングしたのは高校3年生の時で在学中であったが、プロデューサーが直接高校側に許可を取り、レコーディングで海外に行かない条件で承諾を得るや否や、尾崎さんは飲酒、煙草、喧嘩にて無期停学となり外出禁止となったが、仕事という理由でレコーディングは許される、というなんともはや、激しいエピソードの中でレコーディングを行い、結果的に高校は自主退学となった。

この曲はそんなデビューアルバムの表題曲だ。
疾走感に溢れるロックンロールに17歳の少年における、恋愛、愛、夢、大人、経験、疑問、葛藤、怒り、様々なマテリアルが描かれている。

最後のフレーズである、

歩道橋の上 振り返り 焼けつく様な夕陽が
今 心の地図の上で 起こる全ての出来事を照らすよ Seventeen's map

に全て帰結するが、これは尾崎さん自身が渋谷の歩道橋から夕陽を見た際に着想したものであり、今では尾崎さんが夕陽を見た同場所、渋谷クロスタワーの歩道橋にこの曲の記念碑があるのだ。



・2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-


1984年に郷ひろみさんのシングルとして発表された曲だ。

筆者は長期に渡り、日本の音楽史において老若男女問わずポピュラリティーを獲得してご活躍なさっている郷さんの全ての曲を知っているわけでは無い。

本曲はなんと郷ひろみさんの50枚目のシングルにあたる。それでも、それから40年の月日が流れている間で、筆者はこの曲が郷ひろみさんのアイコニックな存在であるとの印象を持つ。

勢いと疾走感が気持ちの良い前奏、間奏などにおける"億千万"の合いの手、勢いのあるAメロから、ややスローダウンしたBメロへ移り、Bメロの最後で盛り上げて、実に気持ちの良い疾走感と突き抜けるメロディラインとキャッチーさを伴ったサビへ、そして最後に"JAPAN"で締める時の高揚感が堪らない。

楽曲の肝となるフレーズ"エキゾチック ジャパン"とは当時の日本がバブル期であり、人々がこぞって海外旅行に行っており、本曲はJRのCMソングであった為、海外も良いけど日本も面白く、エキゾチックな場所だから、と国内旅行を勧める意味合いがあったのだ。

郷さんの歌声、歌っている姿を見るだけで、誰もが世代を超えて自然と笑顔になれる素晴らしい楽曲である。

郷ひろみさんには笑顔でずっと歌って頂きたい、人々が否が応でも笑顔で盛り上がる曲なのだ。


・六本木心中

1984年にアン・ルイスさんのシングルとして発表された曲だ。

筆者が音楽、ロックに目覚めた頃に最初に認識した女性のロックボーカリストはアン・ルイスさんだと記憶している。
歌謡曲がまだマジョリティであった時代に、革ジャンにロックの香りがプンプンする威風堂々とした存在感と、イカしたボーカルを異性ながらカッコいいと思っていたのが懐かしい。

アメリカ人の父親と日本人のハーフとして生を受け、14歳の時に横浜にてスカウトされ、1971年に最初はアイドル路線としてデビューを飾るが、1974年の"グッド・バイ・マイ・ラブ"のヒット以外は、あまり大活躍の場は得られず、1980年代になるとロックに路線を変更する事により、女性ロックボーカリストとしての地位を確立したのだ。

そんなロック路線にしてブレイクしている中の代表的な曲が本曲である。

前奏から始まるギターの音色、カッティングがやたらとカッコよく、疾走感に溢れるロックである。
歌詞の内容は、年下の男性に恋をした主人公が、プライドからの強がりであったり、つい出てしまう本音などの間で揺れ動く心境を散文的に綴った印象だろうか。
サビにおけるコールアンドレスポンスも実に気持ち良い。

アン・ルイスさんのボーカルが実に艶っぽいがストレートで、時に強く、時に弱く緩急がついて、その魅力を遺憾無く発揮しているイカしたロックである。



・ONE NIGHT GIGOLO


1988年にチェッカーズがシングルとして発表した曲だ。

作詞は藤井郁弥(フミヤ)さんで作曲は武内享さんによる。

当時のはとんねるずのバラエティ番組に友人という事もあり、度々出演していたチェッカーズであるが、この曲は一時前奏の部分がコントに多用されており、覚えておられる方々もいらっしゃるかと思う。

実に艶っぽくもあり、勢いとキレを兼ね備えたイカしたロックである。

先に記した通り、前奏は艶っぽくありながらもキャッチーかつシンプルなテナーサックスのハーモニーが素晴らしい。

曲の構成はシンプルにAメロ、Bメロ、サビからなるが、特にAメロにおける、この曲の作曲を担当した武内享さんのギターのカッティングが、冴えに冴え渡るところが素晴らしい。

チェッカーズというバンドは藤井尚之さんのサックスがソロやリフを奏でる曲が殆どで、あまりギターサウンドには着目されにくいのは否めない。
しかし、武内享さんのギターのカッティングは正確性も然り、実に人間的なグルーヴを曲にもたらすカッティングであり、時にクールに、時に優しく、時に激しく、時に艶っぽく、その曲の求める雰囲気を最大限に引き出すカッティングである。
上手いとか、テクニックだけでは無い、チェッカーズの楽曲に欠かせないグルーヴなのだ。

その好例がこの曲で、そんな実にイカしたカッティングに藤井尚之さんのサックスが絶妙に絡まり、曲の艶っぽいグルーヴに見事に華を添えている。

AメロからBメロ、そして気持ちよく突き抜けるサビ、各々のパートの緩急が見事に曲を盛り上げ、一夜限りのラブソングをテーマにした、これまた艶っぽい歌詞が見事にハマった名ロックである。


・JUST ONE MORE KISS

1988年にBUCK-TICKのシングルとして発表された曲だ。

最初に記すが大名曲である。

筆者は当時の日本におけるバンドブームみたいな流れに少し疎いところがあると自負している。
でも、この曲は燦々と輝いていて、自分のプレイリストの中で今も輝き続けている。

ドラムの2拍子が心地良いシンプルなギターリフが突き抜けていく美しさも兼ね備えた前奏から、曲は始まる。

Aメロは控えめながらも、しっかりとビートが効いておりメロディラインの美しさに櫻井さんのリードボーカルが見事に呼応し、ダークでありながら奇妙な心地よさを感じさせる世界観だ。

一転してBメロに移るとギターのカッティングが冴え渡る疾走感を兼ね備えた実にイカしたパートとなり、もはやサビにも劣らない存在感を見せつける。

そして、サビに移行する前に、この曲における独特で外せない、短いパートが入るのだが、櫻井さんのボーカルの抑揚が激しくなり、サビへの見事な架け橋となる。

サビになると、2拍子のドラムが実に心地よく、メロディラインも前奏のギターリフを踏襲し秀悦しており、櫻井さんのボーカルも引き立ち、勢い、疾走感、グルーヴ、どれをとっても素晴らしい。

1曲を通して、数曲の名パートを凝縮した様な圧巻のロックである。

実にカッコいいロックのだ。

(後記)

後編へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?