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勝手に10選〜タイトルに"花"が入ったイカした曲編(後編)〜


(前記)

張り切って後半に入る。


・桜坂

2000年に福山雅治さんのシングルとして発表された曲だ。

実にタイトでソリッドでありながら、華やかさに切なさをトッピングした様な名バラードだ。

さて、この桜坂とは東京都大田区沼部駅の近くに実在する坂で、福山さんご自身が以前にこの
近くに住んでおり、当時よくこの坂を通っていて、今の福山さんと、当時の福山さんの心境が歌詞に反映されている。

ストレートな、かなり昔の事であろう、失恋ソングだ。
ふと、桜坂の桜が薫ると、記憶の棚にしまっていた昔の彼女を思い出し、当時の様々な彼女との思い出に耽るが、今はもう未練たらしいものでは無く、当時の未練の感情と、時を経て、今は心から彼女の幸せを願う2つの想いが錯綜して実に切なく美しい歌詞になっている。

曲の構成もシンプルに、打ち込みとコーラスとアコースティックギターが主軸となり、ピアノ、エレキギターは添える程度のシンプルなサウンドに、サラリと歌詞が融合してノスタルジックな少し切ないと同時に前向きな名バラードとなっているのだ。



・花唄

2002年にTOKIOのシングルとして発表された曲だ。

実に気持ちの良い軽快なロックナンバーだ。

作曲が元センチメンタル・バスの鈴木秋則さんにより、なるほど"Sunny Day Sunday"と共通した底抜けに心地よく、軽快な世界観が共通している印象だ。

歌詞は散文的かつ抽象的で、聴き手の解釈が様々だろうが、自暴自棄になっている主人公が桜の花を見て、自分自身を励ます事のメタファーとして花を用いている印象だろうか。

曲の構成がAメロ、サビ、ミドルエイトとシンプルでありながら、パート毎の緩急も素晴らしく、この歌詞、フレーズと曲が絶妙に混じり合って実に気持ち良く、痛快に心に響くのだ。

実に心を高揚させてくれるイカしたロックなのだ。



・花になる


2002年に奥田民生さんのシングルとして発表された曲だ。

実に疾走感に重厚感を兼ね備えたイカしたロックである。

奥田民生さんは格闘家をイメージして作詞をしたとの事だが、誰に対しても実にストレートに心に突き刺さり、気分が高揚する曲だ。

曲の構成はシンプルに、Aメロ、Bメロ、サビから成るが、どのパートをサビと言っても良い位に素晴らしく曲は展開する。

汗をかいて、涙をふいて、ここまで来たのだから、愛と夢を持って、闇を切り裂いて、風を引き裂いて、野に咲く花の様になろう、という実にシンプルに気持ちの良い歌詞が曲と見事に融合した素晴らしい前向きなロックなのだ。

実に気持ち良く、気分が高揚するロックだ。
さすが奥田民生さん、ここにありだ。


・花

2004年にORANGE RANGEのシングルとして発表された曲だ。

筆者は以前に自身が所属するバンドでこの曲をカバーした事がある。
ギター担当だった為、良い曲だなぁと思いながらギターに専念していたのだが、当時からこの曲に対して不思議な感想を持っていた。

素晴らしいラブソングなのだが、曲全体に切なさ、悲壮感みたいな雰囲気を感じ、きっとそのギャップがこの曲の魅力なんだろう、と思っていたのだ。

ストリングスに合わせて実に優しく切なげなボーカルから曲が始まり、サビを1度歌って前奏を経てラップのパートに入る。

曲の構成はシンプルにラップのパートとサビからなる。
ラップのパートはオケは控えめに、サビでストリングスがはいり、その緩急が見事である。

そのストリングスなのだが、イントロの次、2回目のパートでストリングスが入りサビを2回繰り返すのだが、1回目は華やかさを感じ、2回目になると切ない印象に転換する。

サビの歌詞に着目すると1回目が、

花びらのように散りゆく中で
夢みたいに 君に出逢えたキセキ
愛し合って ケンカして
色んな壁 二人で乗り越えて
生まれ変わっても あなたに逢いたい

2回目が、

花びらのように散ってゆく事
この世界で全て受け入れてゆこう
君が僕に残したモノ
“今”という現実の宝物
だから僕は精一杯生きて 花になろう

となる。

ここからの歌詞の解釈は独断によるものなので、そこはご了承頂きたい。

花びらの散る季節に出会った奇跡の様な出会いをした2人。花びらのように散っていく事を受け入れていく。君は僕に"今"とう宝物を残してくれた。僕はこれから精一杯生きていく。

この曲は彼女に対するレクイエムでなないだろうか。

花びらが散る様に彼女が旅立ってしまい、それを受け入れて、彼女の存在により、現実、今という事の大切さを教わった。君が残したもの、が過去形である事が重要だ。
僕は現世で精一杯生きて、生まれ変わってもあなたに逢いたい、となり、2人は、君とでは無く、僕だけなのだ。

と勝手に解釈すると、歌詞とオケのギャップが解消される。素晴らしいバラードだ。

歌詞の解釈は聴き手の自由だ。
素晴らしい名バラードである事には変わりない。



・マリーゴールド


2018年にあいみょんのシングルとして発表された曲だ。

実に美しいストレートなミドルテンポのラブソングだ。

2019年に日本武道館にて、あいみょんのライブ"AIMYON BUDOKAN -1995-"が行われた。
あいみょんにとって初の日本武道館における単独ライブで、しかも弾き語りライブである。

武道館のアリーナのど真ん中に円形のステージ。その周りを360度、14000人のオーディエンスが見守る中、ステージに上がったあいみょんが1曲目に披露したのがこの曲だ。

日本武道館におけるアリーナの真ん中の円形ステージにマイクとモニターとGIBSONのJ-45が1本。
ミニマムだ。これ以上に無いシンプルでソリッドだ。

今の時代に、シンガーソングライターかつ弾き語りで日本武道館を満席にして、1人きりで威風堂々とアコースティックギターを弾きながら歌うあいみょんには、心から敬服しかないのだ。実に素晴らしい。

ストレートなラブソングだ。
こんなにストレートに幸せな歌詞と素敵なメロディラインの融合させ素晴らしい曲を見せつけてくれたあいみょんには、感服しかない。


(後記)

こういった視点から楽曲のチョイスをする事が普段から余りないので、今回の様な機会を設けて頂いたnoteには感謝しかない。

これからも素晴らしい音楽の媒体、様々な音楽を、提示、伝える媒介になれるれば本望である。

読んでくださった人々へ
ありがとうございました。

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