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勝手に10選〜CAROL編〜

(前記)
1972年に川崎にある楽器店に"ビートルズとロックンロール好きな奴求ム!"という貼り紙が貼られた。

貼ったのは、広島から上京してきた矢沢永吉さんであった。

この貼り紙が、やがて日本のロックシーンをあっさりと変えてしまい、日本のロック史に燦々とその名を残すキャロルの伝説の始まりだった。

リーダーでベース、ボーカルの矢沢永吉さん
サイドギター、ボーカルのジョニー大倉さん
リードギターの内海利勝さん
ドラムの今井茂利さん(デビュー時にはユウ岡崎さん)
の4人によるキャロルのメンバーが揃った。

時代はフォーク大全盛の時代。
長髪にベルボトル、フォークギター片手に、という時代に、革ジャン、リーゼントでツバを吐きながらロックンロールをシャウトする姿を、フォーク歌手達がメディアを避ける中、むしろ進んでTVなどで披露するキャロルに、若者の心は鷲掴みにされたのだ。

同年、音楽番組にて企画もののバックバンドとして演奏していた際に、内田裕也さんや、ミッキー・カーティスさんの目に留まり、着々とデビューへの道を突き進む。
同年11月にドラムの今井さんが脱退し、ユウ岡崎さんが正式に加入する。

楽器屋の貼り紙から約8カ月で、キャロルは1972年12月にデビューを果たす。

そしてキャロルが日本のロックを、ファッションをあっさり変えたのだ。

そんな、キャロルの曲を今回は勝手に10選する。

・ルイジアンナ
キャロルのデビューシングルとして発表された曲だ。

G7のカッティング1発で始まる、実にイカした疾走感に溢れるシンプルなロックンロールだ。

リードボーカルは矢沢永吉さんで、曲の構成としては3つのパートと間奏からなるが、Aメロは疾走感を主軸に、Bメロはコーラスがキラリと光り、サビはブレイクと重なり合うコーラスが実にイカしており、間奏のソロの完成度も高く、各々のパートの個性が遺憾無く発揮されている。

キャロルの名刺がわりとして、最高に気持ちの良いロックンロールだ。

・ヘイ・タクシー
1973年にキャロルのセカンドシングルとして発表された曲だ。

ミドルテンポの軽快でゴキゲンなロックンロールだ。
曲の構成としては甘いジョニーさんのボーカルが光るパートと、コーラスがイカす2つのパートと間奏からなる。 

歌詞はこの辺りからキャロル発祥とされる、日本語に英語が混ざり合うチャンポン歌詞が本格的に適用される事になるが、実にこの曲の歌詞に上手く融合し、実にイカしたロックンロールとなっている。
内海さんのギターもダンスを踊る様に躍動し、見事なのだ。

・恋の救急車
1973年にシングル"ヘイ・タクシー"のカップリングとして発表された曲だ。

イントロはハモりのコーラス1発で曲に入る。
構成としては、スピード感に溢れでジョニーさんのボーカルと内海さんのギターリフが光るパートと、幾分ムーディーな甘い雰囲気を持つパートが2つと間奏からなり、実に緩急がついて、愛してやまない彼女を想う心情を見事に写し出した、カッコいいロックなのだ。

・レディ・セブンティーン
1973年にキャロルの4枚目のシングルとして発表された曲だ。

ギターリフで始まる、ミドルテンポのメロディアスで爽快なロックンロールである。

曲の構成は、内海さんの軽快なギターリフに乗せて少女目線の歌詞がジョニーさんのボーカルに見事にハマるパートと、伸びがあり、ハーモニーが際立つパートと間奏からなるが、この曲は実にメロディラインが秀逸している。

オシャレな世界観を持ち、ジョニーさんのボーカルが見事にハマり、リフの効いた素晴らしい曲で筆者にとってフェイバリットの1曲なのだ。

・愛の叫び
1973年にシングル"レディ・セブンティーン"のカップリングとして発表された曲だ。

重厚感に溢れる骨太なロッカバラードだ。

曲の構成はコーラスが入ってメロディラインも美しいパートと、まさに矢沢永吉さんの熱のこもったボーカルが堪能できるパートと間奏からなる。

実に矢沢永吉さんのボーカリストとしての魅力が堪能できて、そんなボーカルに沿うように、華麗に踊る様に華を添え、見事に完成された内海さんのギターも素晴らしい。

・憎いあの娘
1973年にシングル"彼女は彼のもの"のカップリングとして発表された曲だ。

当時、このイントロを聴いてギターに目覚めたギタリストはどれくらい存在するのか。
バスドラに乗せ、ギターのバッキングが冴えるシンプルでいて、最強のイントロだ。

構成は、バッキングに忠実なパートと、Bメロ的なパートからなるが、このBメロのギターが、よくぞこのフレーズを思いつき、当てはめたものだ、と感嘆に値する。

パートの緩急も見事に歌詞も洒落ていて、素晴らしいミドルテンポのロックンロールであるが、特筆すべき事は内海さんのギターのテクニックがソロを含め存分に発揮されている名曲なのだ。

・0時5分の最終列車
1973年にキャロルの6枚目のシングルとして発表された曲だ。

イカした突き抜けるコーラスから幕を開け、マーチングドラムとともに矢沢さんのボーカルのパートに入る。

歌詞は駆け落ちの曲である。
曲の構成はマーチングドラムに乗った前向きなパートと、やや哀愁を持ちコーラスが美しいパートからなるが、前者は実に前向きな歌詞であり、後者が駆け落ちに対する後ろめたさみたいな心情を感じさせ、見事な緩急を見せている。

間奏のギターソロとコーラスの掛け合いも見事なミドルテンポの実にイカしたロックナンバーなのだ。

・2人だけ
1973年にキャロルの6枚目のシングル"0時5分の最終列車"のカップリングとして発表された曲だ。

実に美しい曲だ。
アコースティックギターの音色が煌びやかに奏でられる。
何故この時代に、これほどアタックも気にならず、ストローク、短音においても高音がぬけて、1音1音が輝くレコーディングが可能だったのか、と思ってしまう。

矢沢さんのベースもアコースティックギターの対極で、その存在感をみせると同時にアコースティックギターを引き立たせており、ドラムは控えめに華を添えている。

コーラスも素晴らしい、ジョニーさんの甘いボーカルが光る実に美しく、イカしたバラードなのだ。

・涙のテディ・ボーイ
1974年にキャロルの8枚目のシングルとして発表された曲だ。

切ないチェンバロが奏でられ、一気に重厚感に切なさをスパイスにした様なコーラスのパートで曲は始まる。
曲の構成は、その後の抑揚の少ない矢沢さんのボーカルが冴えるパートと、実に抑揚を増し、これまた矢沢さんのボーカリストとしての素晴らしさを反映されたパートと、間奏からなる。

間奏の内海さんによるギターソロも、哀愁を帯びながら無駄がなく、シンプルさが更に切なさに華を添える。

この曲の素晴らしいところは、ラストに最初の重厚感に溢れるコーラスがくるところだ。
要するに、このコーラスで曲自体を挟む事により、更に実に切ない重厚感のあるイカしたロッカバラードとなっているのだ。

・ファンキー・モンキー・ベイビー
1974年にキャロルの7枚目のシングルとして発表された曲だ。

発売順がずれてしまったがキャロルにおける最大のヒット曲であり、代表作である本曲をラストに記したかった。

まず、ギターリフだ。
ギターリフで曲がスタートするがこの曲の世界観を見事に決定づける、実に軽やかでキャッチーで、実に気持ちの良い素晴らしい名ギターリフなのだ。

構成はギターのバッキングを主軸にブレイクがスパイスとなるパート、少しだけ切なさを振りかけた様なパートと間奏からなる。
とても緩急がつき、パート同士がお互いを高め合い、間奏のギターもリフを踏襲しながら、テクニカルだが実に疾走感を持ち、曲全体を盛り上げている。ブレイクの入れ方も実にイカしている。

軽やかなロックンロール、最高のギターリフ、イカした歌詞、テクニック、キャロルの魅力を凝縮した様な大名ロックなのだ。

(後記)
日本のロック史における実質的なパイオニアであり、日本のKING OF ROCK’N ROLLこと矢沢永吉さん率いるキャロルを勝手に10選した。

わずか3年の活動期間でオリジナルアルバムは2枚しかない。
従って曲数もかなり限られた数となるが、そのクオリティ、密度の高さは記しても記しきれない。

キャロルがいなければ、BOOWYだってチェッカーズだっていなかった。

キャロルは日本の音楽史に単にロックンロールのみならず、テクニック、ルックス、世界観という点においても確実に消えない足跡を残し、今でも、これからもその影響力は継続するのだ。

読んでくださった方々へ。
ありがとうございました。

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