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今は頑張らない!!

ある日、突然会社に行けなくなった。
仕事へのやる気を繋いでいた糸が突然切れてしまったのだ。
リビングで涙を流し、誰かにひたすら謝っている私に
旦那さんは「もうそんなに謝らないで。」と悲しそうに言いながら背中をさすってくれた。


大学卒業後、地元の百貨店に入社した。
「広告宣伝部」に異動願いを出していたが、ある程度のキャリアがないと異動できないと言われ、年功序列の体制に嫌気がさして2年もたたずに辞めた。
その後、飲食店へ広告の企画営業をする会社に、契約社員として入社し約4年間の契約を満了した。ここでは、新規クライアント獲得から自社メディアを使う広告制作までできるため、とても成長できた4年間だった。そして、何よりも職場環境が良かった。仕事内容はハードなことも多かったが、同年代が活躍しており、良いことも悪いことも共有して、嫌だったことも最終的には「まぁいっか。また頑張ろう」とポジティブに変換できる環境だった。


そこでの経験を活かせると採用してくれたのが、今の広告代理店だ。
広告代理店への入社は、私の念願であって、
「芸能人と会えるのかな~」
「イケイケのTVCMつくれるのかな~」
と入社が決まった時はとてもウキウキしていた。(ただのミーハー)

しかし配属された名古屋支社は男性営業(40歳以上)しかおらず、
本音を共有できる人もすぐには見つからず…
今までの環境との差を感じながらも、
「こっちが当たり前。これまでのところ(前職)が良すぎただけ」と言い聞かせて、なんとか先輩男性社員に食らいついていた。


しかしずっと背伸びをしていた私は、ある日突然会社に行けなくなった。
会社に行こうとすると、涙が止まらなくなり、心臓がバクバクするようになった。
会社を休み、人生で初めて心療内科に行き「うつ」と診断されたとき、
仕事を休めるという安堵感と、キャリアが途切れるんじゃないかという不安に苛まれた。

そんな私を救ったのは旦那さんや友達の言葉だった。
中でも旦那さんから言われた
「この歳でこんな色々と経験をした人いないと思うよ。よく頑張ったね」。
一番近くで私を見ていた人に言われる「頑張ったね」には重みがあって涙が溢れた。

そこで初めて「私は頑張っていたんだ」と自覚した。
(多分根っからの社畜ソウルを持ち合わせていた)
ずっと憧れていた業界に入れて、見たことのないキラキラした世界で活躍するために自分を何とかして持っていこう。私はまだまだいけると。

でも、今の私が頑張るところは、ここではない。
心が壊れてまでやることはない。
キャリアは今後どうにでもなる。
今は何が本当に大切なのかを考え、
背伸びをせず自分に素直になろうと誓った。


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