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子育てのご褒美期

もうすぐ3歳になる息子がこのところ、とてつもなくかわいい。

いつの間にかおしゃべりが上手になり、朝私がパタパタと朝食の準備をしていると、クッションを指差してあのね、と語り出した。

「おかあさん、ここね、濡れちゃったの」

「おむちゅパンパンで、しゅわったら、ここ(横)から息子くんのおしっこ、でてきちゃったの」

「ふいてくだしゃい」

と理路整然と話してくれたときは感動して脳天に土星が突っ込んできたみたいだった。

横になってぱたぱた手足を動かすばかりだった赤子が、こんなに成長して……と思うと、涙を禁じ得ない。

しんどかった0〜2歳半

実は息子を産んでから、0〜2歳半までは本当にしんどかった。

0歳の頃は、はじめての育児という緊張感と夜間授乳から、ずっとズタボロだった気がする。1歳を超えたらいたずらやイヤイヤ。仕事との両立、ワンオペ、転園にコロナ。精神的にも肉体的にも厳しかった。

もちろん、「かわいい」という気持ちはあった。
愛しいとも思っている。
でもそれとは別ベクトルで「しんどい」「つらい」「消えたい」「休みたい」「なんでこんな目に」という思いが常に渦巻いていた。

ワンオペがちだったので、突然涙がこぼれることも、自分でも驚くほどカッとキレてしまうことも、クッションに顔を押しつけて声を上げて泣いた夜もあった。

保活の一次調整で落ちたときはどん底だったし(二次調整で入園先が決まった)、復職後はマミートラックに陥り、キャリアの死に苦しんだ。

そんなふうに、色々なことがしんどかった。

そんな楽しいと苦しいが並走した日々を抜けて、今は、たぶん今までで一番育児が楽しい。

コミュニケーションがとれる楽しさ

転園して保育園が近くなり、時間的に楽になったこと。
息子が自分の荷物は自分で背負えるようになったこと。
夫が転職して朝の登園を任せられるようになったこと。
コロナの影響で夫の週末自転車レースがなくなり、大人の手が足りていること。

楽になった要素は色々ある。けれど、息子と言葉でコミュニケーションが取れるようになったことが一番大きいと思われる。

今まではうまく要望を伝えられなくて「むきーーー!」となっていたところを、今では自分のやりたいことを彼なりに伝えてくれる。
「きょうはねぇ、かぼちゃたべたの!」「みずまたり〜(水たまり)」「とみかであしょぼ!」「デロリアン、みるー!」と、楽しそうに話してくれ、愉快に生きているさまをみていると、私も楽しい。

言葉の拙さもまたかわいいし、謎に自信満々でふんす!とキラキラ目を輝かせてものを見せてくれたり、教えてくれたりするのもかわいい。

今ようやく、「大変でもあるけど、子どもは面白いよ」という母の言葉が腹の底から理解できた。

まるで今まで踏ん張ってきたご褒美みたいだなと思う。

ずっと、他の2〜3歳児育児中の方がお子さんを「かわいい かわいい」と言っているのを見ては、私はなんでああなれないんだろう、と思っていた。

けれどもたかが1・2歳の差が、乳幼児期はとても大きい。昔子連れ外食中に、途中で座っていられなくなった息子を追いかけていたら「今はまだ通じないよね、でももう少しすれば話が通じるようになるからね!」と声をかけてくれたお母さんの言葉の意味が、今ならよくわかる。

スポット的な、ご褒美期に入っている。

もちろんイライラしてしまうことも、課題も沢山ある。トイレトレーニングは進まないし、わざと嫌がることをされるとイラッとするし、気に食わないことがあると物を投げたり人を蹴ったりするのも、いずれ我慢できるようになるとはわかっていても、胸がきゅっと痛くなる。

けれども、総合的にみて、今はとても育児が楽しく、子どもがとてもかわいい。

以前までは「この状況では、女性が子ども産みたがらないのも無理ないわ」「なんなら私も積極的にはおすすめしない」と思っていたが、今は「課題も多いがそれはそれとして子どもはかわいいし面白く、子育ては楽しい」と、言えそうだ。

まだこれから先もっと可愛いと感じるようになるのかもしれない。私は子どもが1人だから、そう思える部分もあるだろう。

いずれ成長し離れていく息子。いまのうちに、このご褒美期を堪能しておきたい。

#エッセイ #育児 #子育て #2歳 #3歳 #ワーママ

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