手づくり絵本を息子に読んでみた話
大学生の頃、課題で2冊の絵本をつくった。
それぞれ別の授業で、教養の授業と、司書免許がらみの授業だったかな。
そして妊娠中に、思った。
無事産めたら、あの絵本を子に読む機会もあるのでは……?
それってなんだか、とっても、素敵、だなぁ
なんて。
そして先日、絵本を自らペラペラめくり、記憶を辿って音読するようになった息子に、ドキドキしながら手作り絵本を差し出してみた。
しかし、しかしだ。
私はわかっていた。
これ、たぶん、ウケないやつだ。
ああ…………っ!!!
親になった今ならわかる。
この絵本、独りよがりがすぎる。
全力で空ぶっている。
子どもが惹かれるポイントが、あるか……?
市販の絵本と、何かわからないが、何かが、決定的に違う。既に滑る予感しかない。
うう、恥ずかしい。
でもせっかくだから、やる。
絵本のコンセプトは「触って楽しむ絵本」。
当時実家にあった様々な素材を組み合わせて一晩でつくった。
徹夜作業なあたり、まさに学生の課題である。
もうちょっと丁寧に作ってもよかったのでは、と今なら思う。あくまで課題で、自分が作るのを楽しむためにあり、提出するのが目的で、リアル子どもに見せるとは思ってなかったんだよな……。
でも作るのはなかなか楽しかった。
まず、いきなり説明文。細かい。
学習書かよ。
「目をつぶって触る」とか「魔法使い」設定とか、読者への要求が多い。しにたい。
そう簡単に子どもは言うことを聞いてはくれない。少なくとも我が家の2歳児には無理。
私は一体、何歳くらいを読者として設定していたのだろう。
これは今でもわからない。
このページはサクッと飛ばして、「触って遊ぶ絵本だよ〜」と示してみた。
結果、
おお、プチプチには反応してくれたぞ!
ふわふわのリボンも、ちょっと気になったみたい?
しかし、他のページは秒でスルー。
全体として、私の絵本が息子を惹きつけたのはものの数十秒。
うん、正直な反応をありがとう。
世の中の絵本は、本当にすごいなぁ。
ちなみに他には、紙、毛糸、網、ヤスリなどのページもあるのだが、残念ながらサクッとスルーされた。
表紙
第1魔法 プチプチ
各ページにある文章、こわくて恥ずかしくて読み返せず……。
第2魔法 包装紙
第3魔法 毛糸
この猫はちょっとお気に入り
第4魔法 みかんのネット
これはネットを紙面に止めるのが大変で、最終的に縫った。
結構、ページを開いた時のインパクトがあって気に入っている。
息子も私の猛プッシュにより、少し触ってくれた。慈悲。
第5魔法 紙ヤスリ
細かめの紙ヤスリの触感、割と好き。
第6魔法 ポリエチレンシート
ネタ切れ感がある。
終わりが見えてきて気が緩むころ。眠かった。
第7魔法 紙
色彩の渋さよ。
第8魔法 リボン
最終ページ 修了式
今みるとどこまでも独りよがりで、拙くて、つらい。
架空の子ども相手に、妄想で作った妄想絵本すぎて痛い。
作者、世界を知らなさすぎ。
絵本の世界に引き込む力が、圧倒的に足りないなと思う。
しかし、作る作業は楽しかった。
これ、実はレポート提出でも良い課題だったのに、わざわざ絵本を作ってしまった。
やっぱりこういうことが好きだから、出版社に勤めたのだと思う。
ちなみにもう一冊(こちらの方が先に作成)はストーリー仕立てのものだが、こちらも文字が多くて息子にはまだ無理があり、何より自分の至らなさを痛感したのでこわくて見返せなかった。
たぶん、見習い魔法使いさんが、自分の役割に気づくいい話だったような気がする。
つらい。
今見返すとどちらもしぬほど恥ずかしい出来なのだが、大学生当時の自分には、これが限界だったのかもしれない。
さほど子どもと触れ合ったこともなかったし。
本当に、世の絵本作家さんはすごい。
ちなみに製本も自分でしたが、器用なタイプではないので、なかなかにガタガタだ。
やり方さえわかればそう難しくないので、「豆本 作り方」とかで検索すると出てくると思う。
サイズは違っても要領は同じです。
今は無地の絵本や、布絵本のキットなんかもあるそう。手作り絵本、案外気軽に挑戦できそうです。
ふわふわ綿あめみたいな思い出になるかなぁ、手作り絵本を囲んできゃっきゃうふふタイム…うふふ……と夢見たものが、軽く黒歴史開陳デーに。
しかしこれはこれで、当時の私には想像もつかなかった、愉快な未来なのでありました。
息子、付き合ってくれてありがと!
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