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ただ自分のペースで生きられる1日がどれだけ大切かということ

子どもが産まれて思い知ったのは、小さい子がいると、そのお世話に追われとても自分のペースでは過ごせないということ。

例えば、トイレに立っただけで離れるなと泣き、ドアをゴンゴン叩かれる。ごはんを用意しているものなら遊んでとキッチンから引き離そうとするし、朝はもう少し寝ていたいのに体を叩く髪を引っ張る顔を持ち上げるなどして全力で起こしにかかってくる。

泣いていたらとりあえず駆け付け、観察して思いつく限りのことをする。

いつ呼ばれるかは不明。

ごはんを食べるのを手伝う必要があるうちは、調理して、ごはんを食べさせ、食べさせ終わったら子どもはまた自由に動き出すし甘えてくるし、私が食事する時間はどこ……?という感じだ。

いやぁ、知らなかったなぁと思う。

特に後追いの精神的ダメージはすごく、まったく可愛いやつめ、という思いと頼む解放してくれ!!という思いの板挟み。

愛おしくして幸せで、しんどい。

そんな日々をなんとか乗り越えてきた。

夫、息子と実家へ帰る

そんな中、ひょんなことからひとりの時間が与えられた。

年末年始、ずっと仕事で帰省できなかった夫が、ようやく2日間休みが取れたので、息子を連れて1泊2日で実家に帰ることになったのだ。

私は仕事があるので東京に残った。

久しぶりの、ひとりの夜である。

最初は、慣れない夫の実家で怪我をしたりしないかな、体調を崩さないかな、ご飯は大丈夫かしら。もし、交通事故に遭ったりしたら、どうしよう。家族をいっぺんに失ってしまう、などと過剰に心配していた。

けれど、どれも杞憂に終わった。

ピコンピコンと、携帯電話に2人の楽しそうな旅の様子が送られてくる。

サービスエリアで休憩し、ボーロをつまむ息子。富士山を背景に少し寒そうな顔で佇むまるい顔。

久しぶりの夫の実家に、少し緊張した面持ちの息子。しかしあっという間に打ち解けて、義父母の嬉しそうなオーラがにじみでている写真。息子がスプーンを握りしめて食卓に向かっている姿などなど。

ちょっと羨ましいくらい楽しそうだ。

さて、私はといえば、この1年以上ぶりのひとりの夜をどう過ごそうかと思案していた。

久しぶりに映画が観たいなぁ。
でも気になるやつは公開前かぁ。

うーん、映画を観ちゃうと、美味しいものを買い込む時間が無くなるんだよなぁ。
次の日も仕事だし。

結局ノープランで当日に臨み、思ったより疲れていたので映画はなし、新宿あたりをブラブラして、デパ地下でご飯を買って帰ることにした。

久しぶりに当てもなくブラブラお店を眺めてみたのだけれど、思ったよりワクワクしなかった。

自分の好みが変わったのかもしれないし、今のところ特に不足を感じてなかったからかもしれない。

うーん、せっかくの機会なのに、案外楽しくないなぁと思いながらデパ地下へ。

美味しそうなものが、たくさん。
これにはさすがにワクワクした。

ああ、パン、美味しそう。
ああ、ホテルのカルボナーラですって?
これがテレビで紹介されてたおむすびね。

最初はお弁当を狙っていたが、米が多く野菜が少なく感じたので、色々ちょこちょこ買うことにした。

ところで私はデパ地下で迷うタイプである。

迷う、というかさっきの店がどこにあったのかわからないのだ。

結局中華のお惣菜とケーキを買ったのだが、さっきの店どこかな〜〜と探すうちに店内を5周くらいした。

よく歩いて健康的だったと思う。

予算度外視で食べたいものを買って、ついでに最寄駅で明日の朝用のパンも買って帰宅。

料理なんてしねぇ!
皿も極力あらわねぇ!

と決めた私の意志は固いのだ。

最大に幸福な瞬間、あらわる

ひとりでマンションのエントランスをくぐり、部屋へ向かう。

ガチャリ、と扉を開けて、最高の解放感につつまれた。

ひとり、ひとり、ひ・と・り〜〜〜〜!!!

本当に歌った。

心は踊り出していた。

狭い玄関に息子と自分とベビーカーを押し込んでぎゅうぎゅうになったり、靴のまま上がりそうになる息子を制止したりすることもない。

保育園の荷物を片付けたり、急いで息子のごはんと自分の食事の準備に取り掛かることもない。

寝かしつけまで気が抜けないあの感じじゃない。

あいむ、ふりーーーだむ!!!!!!

最高だった。

デパ地下よりショッピングより自宅で自分のペースで動ける喜びが一等賞

自分でも意外なことに、自宅で、自分の好きなように、自分のペースで動けることが一番嬉しかった。

もっと、映画を観るとか、買い物とか、デパ地下グルメとかの方がテンション上がるかなと思ってたのに。

育児中はマズローの欲求段階でいうところの「生理的欲求」「安全の欲求」あたりまで満足度が下がる。

よくある「子持ちが遊びたいとか言うな」「ひとりになりたいとか言うな」という言葉は、普通に生理的欲求と安全欲求が満たされている人が、自分と同じような感覚で子持ちのことをみているから発せられるんだろうと思う。

私もね、なってみるまでわかりませんでした。

3時間未満の細切れ睡眠で何ヶ月も生きたことなかったですもん。

普段満たされている人ほど、そういうのはなかなかわからないだろうなぁ仕方ないよなぁと、我が身を振り返っても思う。

小さい子どもを育てていると、

ゆっくりお風呂に入られること
急いでご飯を食べなくてよいこと
自分の荷物しか持たなくてよいこと
トイレに落ち着いて入れること
やりたいように家事ができること

が、贅沢になる。

今日は、その全てを満たすことができた。

日々の疲れが出たのかあっという間に眠くなってしまって、ちょうどスマホゲームを頑張る日だったのでゲームをして、あっという間に1日が終わった。

遊べばいいのに、つい家事もしてしまった。

ひとりで家事をこなせるのは恐ろしく楽なのだ。

案外特別なことしなかったなと思うけれど、普通のことを、自分のペースで普通にできたことが最高に幸せだった。

***

翌日夕方には、夫と息子が帰宅する。

仕事が終わったら買い出しをして帰宅して、息子を受け取り、夫はレンタカーを返しに行かねばならない。
だからもうフリーダムな時間はさほどなかった。

2人が帰ってくるのが嬉しいような、楽しみなような、もうちょっと自由でいたかったような。

2人に会ったら私はどんな気持ちになるんだろう。

と自分でも少しドキドキしていた。

実際会ってみると、

あーーーー息子かわいいかわいいかわいいかわいいう〜〜〜〜宇宙一かわいい!!
夫、無事帰ってきてくれてありがとう!!

となった。

お子さんがいる方はたまに、主に子育てしている人に自由な時間を与えてほしい。

多分、家庭が円満になるよ。

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