大好きな「天使にラブ・ソングを」を観て泣いてしまったこと
「天使にラブ・ソングを」面白いですよね。
小さい頃から大好きで、なんども繰り返し観ました。サウンドトラックも聞きまくりました。
学校の合唱で歌ったりもした、そういう世代です。
とにかく笑えて、元気が出て、歌も素敵な映画です。ウーピー・ゴールドバーグがパワフルだし、他のシスターさんたちもキュート。
先日、視聴者リクエスト企画第一弾として金曜ロードSHOW!で放送してくれ、とても嬉しく観ました。
で、びっくりしたんですけど、デロリスが指揮で入って最初の歌唱シーンで、ぼろぼろ泣いちゃったんです。
いやあれ全然泣くシーンじゃないんです。
むしろ、バラバラでガタガタだった聖歌隊がデロリスをきっかけに楽しく、明るい歌唱を始め、人々を惹きつける、わくわくするシーンです。
でも泣いちゃった。
ガチ泣きです。
シスターたちの生き生きした姿と、私の心情がリンクしすぎてしまったんです。
私は子どもを産んでからずっとマミートラックに悩んできました。加えて、謎の苦しさの原因は、子どもを産んだ途端、「母であること」しか許されない点にあるのではないかとうっすら考えている時期でした。
ちょうどコロナの緊急事態宣言下で、皆さんと同じように、あらゆる制限と見えないウイルスへの恐怖にストレスを感じていましたし、保育園が休園し、休業せざるを得ず、かといって息抜きもできず、真面目に自粛する中で、なかなかに煮詰まっていました。
そんな時に、シスターたちが生き生きと輝いていく姿が、わくわくを通り越して過剰に身に染みてしまった。
シスターたちは、日頃はとても質素で禁欲的な生活をしています。同じような日々を繰り返し、楽しみや遊びもなく、淡々と生きている。皆同じような衣装を着て、真っ黒で、無個性に見える。
けれども、実は。
とても陽気でエネルギッシュでダンスが得意な人もいれば、奥手だけど綺麗な歌声を秘めている人も、車の修理ができちゃう人も、ピアノが得意な人もいる。
楽しくすれば楽しくするほど、ひとりひとりが生き生きして、表情が明るくなって、結果的に個性がどんどん見えてくるのです。そして、周りの人も、観ている私たちも楽しくなっちゃう。
最高にハッピーな循環!
そう、楽しくしていいんだ。
私たちは楽しんでいい。
楽しいって大事なんだ!
と思ったら、ぽろぽろ涙が流れ出てしまったのだ。
たぶん、世のお母さんたちは、結構質素で禁欲的な生活をしている。もちろんお父さんの場合もあるし、個人差はあるけれど。
自分の時間はなかなか取れないし、「お母さんなんだから、自分のことは後回しだよね?」という空気の中で、なにかと我慢しがちである。
働いていても、「お母さんだから、昇進とか昇給とかいらないよね?旦那さんもいるしね?」と扱われたり、服装も「え、そんな派手なの着るの?」となったり、動きやすくてガンガン洗えて子どもを追いかけられる服を選んでいるうちに、本当に自分が着たい服がなんだったかわからなくなってしまったりする。
そして、子どもたちが寝静まった深夜、こっそりアイスを食べるのを楽しみに、生きているのだ。
もしかしたら私たちは、デロリスが来る前のシスターたちなのかもしれない。
悪くはないし、これが自分で選んだ道。だけど、あんまり楽しいって感じじゃない。
もう少し何とかならないかなってぼんやり思っているけれど、どうしたらいいかわからない。
よく「子どものためにも、お母さん自身が楽しんで生きないと!」と言うけれど、それを真に受ける人ほど、日々頑張りすぎていそう。
っていうか、そんなこと言われても!というのが本音だったりして。
そんな時は、「天使にラブ・ソングを」を思い出そう。
楽しむには、楽しくすること。
楽しんでいい。
楽しくしていいんだ。
私たちは、好きなことを楽しんでいいし、楽しいことをしていい。
たまには夜遊びしてみたり、目の前にスロットがあったら触ってみてもいい。ちょっと脅しまがいのことをして要求を通してみてもいいし、アイスを食べる以上の楽しみを持ったっていいと思う。
彼女たちはシスターだけれども、それは彼女たちの側面のひとつにすぎす、魅力的な個性を秘めていたように、私たちも「母」であるけれども、それはあくまでも自分の一部にしかすぎない。色々な欲望や楽しみや、好きなことがある。
自分を出していいんだ。
この映画の面白さは、敬虔なシスター達×破天荒なデロリスという組み合わせの妙と、真面目で落ち着いたイメージのシスター達が、はっちゃけて生き生きして躍動している、一般的イメージとのギャップが屋台骨になっている。
そう考えると、日頃抑圧され気味な「お母さん」である私たちも、イメージを破って生き生き過ごした方が、側から見ると面白いのかもしれない。
とはいえ性格も生活も守るべきものもあるので、破天荒にいこう!と言うわけではないけれど、心の片隅にデロリスとシスターたちを住まわせておくと、不必要な罪悪感に負けずに済むかもしれない。
小さい頃から楽しんで観ていた映画、大人になって観たらまた別の見方ができて、まさか泣いてしまうとは微塵も思っていなかった。でもやっぱりべらぼうに面白かった。
いわゆるママにもおすすめだけど、もちろん、子育て中じゃない人だって楽しめる。
好きな仕事に就いてはいるもののパッとせず、悩んでいるデロリスは貴方かもしれない。
特に悩んでいなくても、人々が明るく力を発揮し、トラブルを乗り越えていく様は誰が観たって楽しいし、笑えるし、音楽も素敵だ。
何年経って観ても面白い映画はすごい。
というわけで、今日は歌いながら子育てしようかな。
息子にドン引かれたりして。
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