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人生の手綱は絶対離さない

お風呂場の扉のレール、キッチンの壁、アルミ棚のホコリ。

そんなところのちょっとした汚れを、気づいたときに拭けるようになった。

そんな些細なことが、ここ数年出来なかった。

今は、先日拭いたキッチン横の窓ガラスがピカピカで美しいのをうっとり眺めながら、この変化に驚いている。

ウェットティッシュで軽く拭いただけなのに、こんなに綺麗になるなんて。窓も私も変化した。前に拭いたのはいつだったろう。定かには思い出せない。


子を産み、育てるというのは過酷で、あの頃は1日を1日と感じることもなく、ただ連綿と続く時間を生きていくだけで精一杯だった。

これはいつまで続くのか、と思いながら先を見通す余裕もなく、また知識も経験もなく、ただ嵐の中を必死に生きた。

気がつけば子は私の腰を超えるほど大きくなり、1人で着替え、排泄し、意思疎通も出来るようになった。

そして私もまた、ちょっとした汚れに、気づいたらすぐ対応できるようになっていたのだ。

ここまで、およそ3年半。
体感としては早かった。

子どもに手がかかる時期はあっという間というけれど、もうすっかり赤ちゃんではなく立派な「子ども」という貫禄だ。立派というのも変だけれど。

子の成長に合わせて私も私を取り戻しつつある。

それは少しさみしいけれど、嬉しい。

子育てはまだまだ続く。
また嵐が訪れることもあるだろう。

彼の成長に寄り添いながら、家族で助け合いながら、どのようにして自分らしい人生を歩むか。

あまり先が見えなくてたのしい。

人生の手綱は絶対に離さない。

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