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こっそり子どものかわいさを共有するのは

駐車場にゴミを捨てに行くと、ちょうど子育て中の同僚がやってきた。

「今朝娘が『パパ行ってらっしゃい』って言ってくれたんですよぉ! どんどん喋れるようになってて」

とこの前嬉しそうに話していた彼と、自然と子育ての話題に移っていく。

社内で同年代の子持ち社員と遭遇すると、たびたびこうなる。子育ての悩みや、喜び、子どもの可愛さをここぞとばかりに共有しあうのだ。

多分、家族以外の人とリアルで子育てについて話す機会がなかなかないからだろう。

コロナ禍で人と会えない、というのもあるけれど、「結婚しないの?」がセクハラになるように、子どもについての話題にもセンシティブになってしまう。

誰にも振れる話題ではない、とたぶん多くの人が思っているのだ。

今や子どもも結婚も贅沢品と言われるなかで、自慢だと思われるかもしれないし、不妊治療や婚活で悩んでいる人もいるかもしれない。

というか、居る。実際相談されたこともあるので居るのは知っている。その方たちは割と「お話聞かせて!」とやって来るけれど、中には秘密にしていて、内心聞きたくないと思っている人もいるかもしれない。

まぁ実際業務に関係ない話だし。

ということで、「たまたま」子持ち同士が遭遇したときに「こっそり」子育ての楽しみや悩みを話し合うのが常だ。

でも、これってどうなんだろうとたまに思う。

子育てについて世の中に出回っている情報は、ネガティブなものが多い。まるで、世の中の夫は全て家事育児をやらず自分勝手で、全ての子持ち女は虐げられ、キャリアを失い、義家族とギスギスし、不満ばかり言っているかのよう。

実際そういう面はあるのだけれど、でも、子育ては楽しいこともいっぱいある。しあわせだな、と感じる瞬間も多い。

「子育てって、こんなに楽しいんだなって最近思うよ」

と先の駐車場で思わず同僚に話してしまったほどだ。

ちいさな命がすくすく成長していくのを見守るのも、あたたかい体温が自分を欲してくれるのも。

葛藤も、悩みも尽きないけれど、でも、すごく幸せだなぁ、子育てがこんなに良いものだとは知らなかったなと感じている。

そういうのを、もっと自然と話せたら世の中の閉塞感漂う雰囲気が少しは変わるんじゃないだろうか、なんて、思ったり。

しかし、現状どうしたらいいのかわからない。
先程とは真逆だが、「子育てはいいぞぉ!」と無闇に喧伝するのもちょっと違うかな、とも思ってしまう。

どうしても「(相変わらず男尊女卑だし男性も雑に扱われがちだし男も女もキャリアとの両立は大変だしお金もかかるし無事産めるかも子どもの気質にも左右されるから一概には言えないけど私は)子育てって楽しいし、しあわせだよ」と括弧付きになってしまう。

単純に、もっと年齢を重ねたら語れるようになるのだろうか。でもそれじゃ遅いような気もするな、とゆるく悩みながらチョコパイを食べている。

美味い。

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