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大人と同じく振舞いたい
「えぇ……」夫の戸惑う声に、息子のすべすべの肌に頬ずりしていた私が顔を上げる。
「キッチンの流しにポテチ入ってるんだけど……」
夫が手に持っているのは肉系の味のポテチ2袋。床にはセブンイレブンの袋だけがカサカサと転がっている。
ああ、息子だ。私には心当たりがあった。
***
1歳2ヶ月をこえ、トコトコとよく歩くようになった息子。
歩く、ということそのものが楽しいようで、トコトコトコ、にへへ〜。
トコトコトコ、あはは!
トコトコトコ、あはははは!
と歩くようになってから益々楽しそうに過ごしてる。
そんな息子は最近お手伝いに目覚めたらしい。
保育園では給湯室で洗った哺乳瓶を調理室まで運んでいる。
先生が哺乳瓶を洗い出すと、後ろでちょこんと座って待機。
ぼくの出番?とばかりにキラキラした視線を送ってくるという。
最初はよろよろ、ヨチヨチ。違う方へ行ってしまうこともあったが、今ではまっすぐ調理室へ自分ひとりで運べるそうだ。
思わずため息が出るほどのわが子の可愛いエピソードを聞き、家でもお手伝いをお願いするようにしてみた。
たとえば、食材の出し入れ。
料理に使う材料を冷凍庫から取り出し、運んでもらう。使ったらまた息子に渡して、冷凍庫を開け、「ここに入れて?」とお願いすると、小さな手でよいしょ、と入れてくれる。
「ありがとう」と頭を撫でながら冷凍庫を閉めると、息子もどこか誇らしそうだ。
料理中は息子に構えないので、どうしてもぐずられがち。背中で泣き声を聞きながらこちらも焦って手元が狂ったり、せっかく準備しても機嫌が悪くてスムーズに食事に取りかかれずイライラしてしまう。
しかし手伝ってもらうようになってから、ぐずられ、食事にもたつく事が減った。
息子もきっと何か一緒にしたかったんだなぁ、というのが最近の発見である。
料理中に一緒にいると、まとわりつかれたり、火まわりに触ろうとするのが難しいところではあるけれど。
***
さらに最近驚いたのが、自分のお皿を流しに持っていくようになったこと。
特に教えた覚えはないが、保育園でのお手伝いの影響か、大人の動きを見ていて学んだのか。
食べ終わった食器を重ねていたら息子がやたら持ちたがったので、ぶん投げられたりこぼされたらどうしようとヒヤヒヤしながら見ていたら、トコトコトコ、と流しの方へ持っていくではないか。
もちろんキッチンには届かないので、「ありがとう」と受け取って流しに入れる。
息子はそのままご機嫌でトコトコトコ、と部屋へ遊びに戻る。
それがいつものこと。
だけど今日は私もちょっと疲れていて、息子をリビングで好きに遊ばせていた。
何かを崩したり、いじったりしている気配は感じたが、危険なものはないはずなので、そのままに。
その結果が流しの中のポテチだ。
軽いから、お皿を置くノリで投げ込んだのだろう。
私から見ると息子はちいさくて可愛くて、まだまだ手助けが必要な存在。
でも息子からみると、世界にそんな差はなくて、大人がやっていることを自分も同じようにやりたいし、できるし、やるもんだと思っているのかもしれない。
こちらの想像を越えてどんどん成長していく息子。面白くて、目が離せない。
そしてこれを機に床やテーブルに適当にものを置かない、というのを身につけてくれてもいいのよ夫よ。
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