自動車に対する放火
今回はタイトル通り、自動車に対する放火について考えたい。
現行刑法によると、建造物等以外放火罪(刑法110条)が成立し得るにとどまる。
だが、はたしてこの運用は妥当だろうか。
一考の余地があると思う。
なぜなら、簡単に言ってしまえば、建造物等放火罪(刑法108条109条)との均衡を欠くから、だ。
建造物や汽車、電車への放火は、建造物等以外の客体よりも法定刑が重い。
すなわち、1人しか入れないような小さな小屋に放火した場合の方が、5人乗りの車に放火した場合よりも処罰が重いのだ。
これは不合理ではないか。
ただ、もちろんこれは条文上のお話で、量刑で本当にそのような不合理な事態になるかは別問題、ではある。
けどやっぱり、一考の余地はある、と私は思う。
他の想定される建造物等以外の客体(ゴミとかバイクとか)と比べて、数人が中に入って利用する自動車は、建造物や電車に近い存在だと考えるべき。
また、車の中に人がいなかったとしても、バイク等と比べて、トランクの中や助手席、後部座席等、人の物が車内に存在し、財産権を侵害する可能性は極めて高い。
したがって、個人的な考えではあるが、自動車に対する放火は刑法108条109条の客体として明文化すべきだ。
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