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地域のつむぎ手の家づくり|小さな街並み×しつらい 住まいと暮らしへのワクワク感を刺激<vol.38/マクス:静岡県富士市 >
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地域のつむぎ手の家づくり|小さな街並み×しつらい 住まいと暮らしへのワクワク感を刺激<vol.38/マクス:静岡県富士市 >

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【連載について】“地域のつむぎ手の家づくり”って、なに?
家づくりをおこなう住宅会社には、全国一律で同じ住宅を建てる大規模な会社や、各地方でその土地の気候に合った住宅を建てる小規模な会社など、さまざまな種類のつくり手がいます。その中でも、その地域ならではの特色や、そこで暮らすおもしろい人々のことを知り尽くし、家をつくるだけでなく「人々をつなぎ、暮らしごと地域を豊かにする」取り組みもおこなう住宅会社がたくさん存在します。
この連載では、住宅業界のプロ向けメディアである新建ハウジングだからこそ知る「地域のつむぎ手」を担う住宅会社をピックアップ。地域での暮らしづくりの様子をそっと覗かせてもらい、風景写真とともにお届けします。

今回の<地域のつむぎ手>は・・・

社員大工が地域の木材や自然素材を用いて、性能・デザイン性に優れる住宅をつくるマクス(静岡県富士市)では、富士宮市内の分譲地内の3区画に自社の住宅3棟を近接して建てられたことから、景観の美しさなどを小さな街並みのようにし、その魅力を最大化して発信しています。

青空や自然の緑とよく合うダークブラウンの板壁の住まいの連なりは、生活者にどのように映るのでしょうか。分譲地に建てた3棟のうち2棟は、すでに施主家族が暮らしていますが、2022年5月に完成した1棟については建売とし、1年間ほどは販売せずにモデルハウスとして運用。家具や雑貨・小物までつくり込んだモデルハウスとして活用しながら、訪れる人たちの住まいや暮らしに対するワクワク感を刺激しています。

同社社長の鈴木克彦さんは「風景となる小さな街並みとモデルハウスを、自社の家づくりの世界観と価値の体感拠点として、ファンを増やしていきたい」と抱負を語ります。

マクス社長の鈴木克彦さんと「しつらい屋」としても活動する幸設計建築代表の奥野幸子さん
建築家・秋山東一さんの設計道場で共に学び、建築に対する考え方も共有している

このモデルハウスでは「訪れた人に、自社の住宅の魅力をよりリアルに体感してもらい、暮らしへのワクワク感を持ってもらおう」と『しつらい屋』の屋号を掲げて活動し、地域工務店のモデルハウスのステージング(飾りつけ)などを手がける幸設計建築(愛知県岡崎市)代表の奥野幸子さんに依頼し、家具・雑貨に小物まで含めてインテリアをつくり込みました。

女性建築家がステージング

鈴木さんは、建築家の秋山東一さんに学ぶ「秋山設計道場」の同門だった奥野さんについて「建築や家づくりの志を共有しているうえ、女性建築家ならではの視点によるきめ細かな“しつらい”によって家の価値を高めてくれる」と評します。

これに対し奥野さんは「マクスさんもそうなのですが、工務店さんは性能やデザインなど家づくりに関しては高い技術力を誇るプロですが、SNSなども含めた“魅せ方”や“伝え方”の面では苦手意識を持っている方も多いです。モデルハウスを魅力的にしつらえることにより、そうした方のお手伝いをさせていただいています」と話す。

鈴木さんは、奥野さんにステージングを施してもらったことにより「(住宅の)写真1枚にしても全く違った仕上がりになり、見る人を引き付けることができる」と話します。

奥野さんは「工務店さんの家づくりの特徴や雰囲気、こだわりポイントなどをつかみながら『こういう家具や雑貨が欲しい』と思わせるのではなく『好きなモノに囲まれて暮らしていきたい』という暮らしへのワクワク感やモチベーションを刺激するような空間を創造するようにしています」とし「工務店さんがつくる“素敵な器”を、訪れたお客様により魅力的に感じてもらえるように役立てたらうれしいです」と笑顔で話します。

“しつらい屋”として地域工務店のモデルハウスのステージングなどを
手がける奥野さんに依頼してしつらえたモデルハウスの内観
家具や雑貨、小物など細部までつくり込み
見た人や訪れた人の暮らしに対するワクワク感やモチベーションを刺激する

性能・デザイン・素材 全てにこだわり

マクスは、構造材に県産の天竜材(スギ・ヒノキ)を用いて、5人の社員大工がメインとなってつくる性能やデザインに優れる住宅で、着実に実績を積み重ねています。鈴木さんは「とにかく長く快適に暮らすことができることにこだわり、自分たちが“良い”と自信を持ってすすめられる家だけを提供しています」と語ります。

マクスの住宅事例。性能、デザイン、自然な素材の全てにこだわり
顧客もそれを求めてくるため、仕様はほぼ標準化されている

注文住宅であっても、同社を信頼する顧客が同社からの提案を望むため、住宅の仕様はほぼ標準化されているそうです。全棟が耐震等級は3で、断熱性能はHEAT20・G2以上(省エネ基準6地域)。断熱材には蓄熱性や透湿性なども考慮してウッドファイバーを、開口部には樹脂サッシ・トリプルガラスを採用しています。外壁はレッドシダーの板張りが特徴的で、室内の壁は合成樹脂を含まない珪藻土で仕上げます。

パッシブデザインで 恵まれた気候を生かす

高い住宅の性能に加えて、温暖な気候や長い日照時間など恵まれた地域の環境を生かすパッシブデザインにより「お客様に、できるだけ冷暖房費を抑えた経済的な暮らしを提供したい」と鈴木さん。自然の熱を利用して、冷暖房の補助的に室内を暖めたり冷やしたりするシステム「びおソーラー」を推奨し、多くの顧客が導入しているそうです。同社が、HEMS*によってオーナー宅のエアコンの使用料を実測したところ、冷暖房費は年間で3万円以内に収まることが分かったそうです。

HEMS*とは―「Home Energy Management Systemホーム エネルギー マネジメント システム」。モニター画面で電気やガスなどの使用量を確認したり、家電の制御ができるもの。

大工の多能工化を推進

鈴木さんは、造作家具なども含むクオリティの高い家づくりを支えているのは、自社の技術力のある社員大工と胸を張ります。近年では、大工・職人不足が深刻化するなかでも、いまの体制を持続していけるように、自社の大工が現場でさまざまな職種の作業をこなす「多能工化」を進めているそうです。すでに基礎工事や左官作業は、若手の大工が技術を習得し、実際に手がけているということです。

マクスの社員大工。基礎や左官も大工が手がける多能工化を進めている

再構築補助金を活用し家庭用サウナを開発

鈴木さんは今後、自社の住宅の暮らしの豊かさをさらに高めていく構想をあたためています。その1つが、家庭用サウナの開発です。マクスでは、国が新型コロナ対策として企業を支援する事業再構築補助金を活用して、既存住宅(富士市内)をG3レベルの性能にリノベーションしながら、そこにサウナを設置するプロジェクトを進めています。

事業再構築補助金を活用して、富士市内にある既存住宅のリノベーションプロジェクトを進める
性能はG3レベルまで向上させ、今後の自社の家づくりへの導入も踏まえて
家庭用サウナを設置する

「サウナブームが拡大するなかコロナの影響もあり、家庭でサウナを楽しみ、癒されたいというニーズは高まっているはず」と鈴木さん。コロナ禍に入り同社には、首都圏から移住するための住宅を建てたいといった引き合いが増加しており、家庭用サウナは、そうした層にも積極的に提案していくことを視野に入れているそうです。

文:新建ハウジング編集部
写真:マクス提供

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